政治

グッド!モーニング

2025年10月6日 12:31

「サナエノミクス」その手腕は 高市新総裁「何としても物価高対策」

「サナエノミクス」その手腕は 高市新総裁「何としても物価高対策」
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 経済政策はどう変わるのでしょうか?高市早苗氏の過去の書籍には「ニュー・アベノミクス」「サナエノミクス」の文字がありました。その内容とは…。

ニュー・アベノミクスとは

自民党 高市早苗新総裁
「なんとしても物価高対策。ここに力を注ぎたい」

 高市新総裁は4日の就任記者会見で、「物価高対策」を優先事項に挙げました。

高市早苗新総裁の経済政策
高市早苗新総裁の経済政策

 地方自治体が独自の対策に使える「交付金の拡充」や、病院・介護の現場で働く人の賃上げにつながる「予算の支援」。そして、野党が求める「ガソリンと軽油の暫定税率廃止」について、秋の臨時国会で対応すると明らかにしました。

初めての総裁選出馬時に出した本「美しく、強く、成長する国へ。」
初めての総裁選出馬時に出した本「美しく、強く、成長する国へ。」

 高市氏の考えを知るうえで参考になるのが、4年前に初めて総裁選に出馬した時に出した本「美しく、強く、成長する国へ。」です。出てくるキーワードが…。

「『サナエノミクス』と称すると少し間抜けな響きで残念だが、基本路線は『ニュー・アベノミクス』である」(本から)
アベノミクスとは
アベノミクスとは

 アベノミクスとは、第2次安倍政権で実行した経済政策の総称です。

 「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「民間活力を引き出す成長戦略」。この“3本の矢”で日本経済の再生を目指しました。

高市氏は…
高市氏は…

 高市氏は、このうち3本目を「大胆な危機管理投資・成長投資」に代えます。

 著書では、安倍内閣が「プライマリー・バランス黒字化目標」のもと、結果的に緊縮財政を継続せざるを得ない状況になったと指摘。これに対し、高市氏は時限的に「財政の黒字化ルール」を凍結して、投資に必要な財政出動を優先すべきだと主張しています。

 課題はその財源ですが、高市氏は会見で“新たな考え方”を持ち出しました。

「純債務残高GDP比」を重視
「純債務残高GDP比」を重視
「私は『財政の健全化が必要ではない』と言ったことは一度もございません。私自身は『純債務残高GDP比』。これを徐々に引き下げていく」

 必要な予算を税収で賄えているかを見る「プライマリー・バランス」ではなく、「純債務残高GDP比」を重視するとしています。

 「純債務残高」は、国に保有資産があれば、その分は借金の総額から除外して考えるというものです。

 さらに高市氏は、その純債務の額をGDP比で見るべきだとしています。もし借金が増えても経済が成長すれば、借金が占める割合は減るため、国債の発行を恐れすぎる必要はないという理屈です。

 先月19日の出馬会見でもこう述べていました。

「大切なことは成長することであって、財政健全化そのものが目的じゃないと。財務省にはぜひとも『これをやったら成長します』『経済規模が10年で倍になりますよ』というぐらいのマスタープランを示していただきたい」
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日銀利上げ牽制“アホ発言”も

 高市氏といえば、もう一つ注目されているのが、日銀との向き合いです。

去年9月23日公開のインターネット番組にて
去年9月23日公開のインターネット番組にて
「金利を今上げるのはアホやと思う」(去年9月23日公開のインターネット番組にて)

 去年の総裁選では、金融緩和を続ける必要性からこう日銀に釘を刺していました。

 改めて日銀の金融政策について問われると、次のように答えました。

「日本の経済はギリギリのところにある」
「日本の経済はギリギリのところにある」
「財政政策にしても、金融政策にしても、責任を持たなきゃいけないのは政府でございます。私は今は日本の経済はギリギリのところにあると思います。コストプッシュ型(生産コスト上昇)のインフレという状態で放置して、『もうデフレじゃなくなった』と安心するのは早い」

 足元の物価上昇を受けて、日銀は今月末にも追加の利上げに踏み切るとの観測が出ていますが、これを牽制(けんせい)するような発言です。

 高市新総裁の経済政策について、経済評論家の鈴木貴博氏はこう指摘します。

経済評論家 鈴木貴博氏
経済評論家 鈴木貴博氏
「最大の懸念点は実行されるかどうか。基本的に自民党自身が少数与党の状況で、かつ高市さん自身も自民党内での地位が盤石というわけではない。その意味でいうと、(経済政策に)期待感はあるけれど、非常に不安な船出だなというふうに思います」

(「グッド!モーニング」2025年10月6日放送分より)

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