自民党総裁選で高市早苗氏(64)が新しい総裁に選ばれました。女性が自民党の総裁に選ばれたのは初めてになります。ただ、早くも連立の枠組みに懸念の声が出ています。
高市氏始動 麻生氏と会談「ぼちぼち」
「日曜日なのに休んでください」
総裁選から一夜明けた5日、自民党本部に姿を見せた高市新総裁。さらに麻生太郎最高顧問の姿もありました。
新総裁のもと、早速動き始めた自民党。2人が本部に入ってからおよそ2時間後、高市氏が出てきました。
「(Q.麻生さんとはどのようなお話を?)いろいろです。皆様のほうはワーク・ライフ・バランスを大事になさって下さい」
「(Q.党の人事はどれくらい固まりましたか?)ぼちぼちです」
「パソコンを打つとか、そういう作業には向いていないが、伝統と格式ある椅子なんだろうなと。来月で立党70周年。そんななかで女性の総裁が初めて誕生した。自民党の景色が少し変わる」
4日に党本部総裁室の椅子に座ったのは、選挙が終わったおよそ4時間後でした。
少数与党脱却へ連立拡大か 公明と溝?
経済や外交など多くの課題が山積みのなか、注目されるのは「どの政党と連携」をするのか…。
「基本的な考え方の合う政党。首班指名より前にというのが、これからのやはり安定した政治ということを考えますと、非常に大事な私の希望だったわけでございますが、これも相手のあることです。自公連立と同じようにやはり政策。しっかりと協定を結んでやっていくと」
会見で高市氏は、少数与党から抜け出す、連立枠組みの拡大に意欲を示し、15日にも召集される臨時国会で、総理指名選挙が行われる前に新たな連立相手を決めたいと強調しました。
野党党首からは、このような声が上がりました。
「年収の壁の問題であったり、我々が言っていたことについては、かなり尊重する旨の発言もされていたと聞いていますので、政策協議の要請があれば、政策協議にはしっかり向き合っていきたい」
「高市新総裁は、政策に詳しい“政策通”だと思っています。もし本当に(連立の)正式な打診があれば協議をするというのは当然のことだと」
一方、現在のパートナー、公明党。総裁就任直後に斉藤鉄夫代表と面会しました。
「今後、政策協議を行いまして、一致すれば連立政権にということになりますが、まだ今の段階では何とも申し上げることができないのが現状」
斉藤代表は「政治とカネ」の問題や「靖国神社参拝」などについて懸念を示しました。また、日本維新の会との副首都構想を前提にした連立入りについても牽制(けんせい)しました。
「(Q.(高市氏は)どういう反応をされた?)我々が懸念している事項について、うなずきながら率直に聞いて頂いて『それらの心配がないようにしたい。しっかりとした政権協議、政策協議を行っていきたい』」
連立のパートナーである公明党が、懸念を伝えるのは異例です。
熱烈“トラ党” バイクにヘビメタも
新総裁に選出された高市早苗氏。一体どんな人物なのか?
奈良県出身の高市氏は、1961年に会社員の父と警察官の母の間に生まれました。高校卒業後は神戸大学経営学部に進学。学生時代にはバイクに乗り、ヘビーメタルバンドでドラムを担当。
大学卒業後には、多くの政治家を輩出した松下政経塾に入塾しました。
初当選は1993年の衆院選。無所属で立候補し、得票数はトップでした。
当時32歳の初登院の際にはこのように話しました。
そしてテレビ番組に出演し、さまざまな政党から勧誘を受けたことを明かします。
安倍政権で初入閣 憧れは英サッチャー元首相
自民党に入党したのは初当選から3年後。同期で政治信条が近い安倍晋三氏と親交を深めました。
しかし、2003年の衆院選では落選。
「あれだけ頑張って働いて厳しい審判を受けたんですから、国会議員としてそれ以上のことは私にはもうできないと思います」
結婚したのは、この議員バッジを外していた時期でした。披露宴では安倍氏が乾杯の音頭を取ります。
「おふたりのご多幸と、そして高市早苗先生の政界復帰を祈念いたしまして、杯をあげたいと思います」
そんな願いがかなったのか、この年の郵政選挙で政界に返り咲きます。
そして2006年、第一次安倍政権で沖縄・北方担当大臣として初入閣を果たします。
その後、女性初となる自民党政調会長や女性初の総務大臣など、着実に実績を積んだ高市氏。安倍元総理に近い保守派として存在感を高めていきます。しかし前回の総裁選では…。
「石破茂君をもって当選者と決しました」
1回目の投票で1位になりますが、決選投票では石破氏に敗れました。
「亡くなった両親からは素直で頑固と言われてまいりました。それは相反することかもしれない。割とこの信念は強い。一回決めたことは割とぶれない、曲げないというところが頑固」
尊敬する政治家については…。
イギリスで初の女性首相となった“鉄の女”の愛称で知られるマーガレット・サッチャー氏。そのサッチャー氏を象徴する「青」をイメージしたのか、青色のスーツで臨んだ今回の総裁選。
「高市早苗君183票、小泉進次郎君164票でございます」
総裁選決選投票で制す 地元歓喜で号外も
1回目の投票で高市氏は1位となりますが、過半数に届かず、決選投票へと進みます。
決選投票を前に、最後の演説にも力が入ります。
「日本列島を強く豊かに。そして次の世代に引き継いでまいりましょう」
国会議員票の得票が3番目だった高市氏は、決選投票が始まると、厳しい表情を見せます。そして…。
「高市早苗君185票、小泉進次郎君156票であります。よって高市早苗君をもって当選者と決しました」
初の女性総裁誕生に沸く高市氏の地元・奈良。
「奈良県で出てよかったな」
男性
「多様性とかの時代なので、女性を代表して頑張って頂けたら」
中国SNS「極端に反中」 高市氏決意「働いて働いて」
地元から喜びの声が上がる一方で、海外からは懸念の声も上がります。
「我々は選挙結果を注視しているが、これは日本の内政問題である。積極的で理性的な対中関係を堅持するよう希望する」
中国の検索ランキングでは1位になるほど関心が高く、SNSにはこんなコメントも…。
トランプ大統領の来日を控えたアメリカでも、東京と中継を結んで伝えました。
「彼女は保守派の国家主義者であり、イギリスのサッチャー元首相を『尊敬する人』に挙げています。そんな彼女が日本の総理大臣になる見込みです」
「高市氏の勝利は、自民党が保守的なルーツに立ち返ることを意味しています。保守派の信頼を取り戻す狙いがあります」
新総裁に選出された直後、会場の自民党議員を前に決意を語った高市氏。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年10月6日放送分より)