政治

報道ステーション

2025年10月7日 02:20

「麻生政権ではないか」「派閥政治に逆戻り」冷ややかな声も…高市新執行部発足へ

「麻生政権ではないか」「派閥政治に逆戻り」冷ややかな声も…高市新執行部発足へ
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週明け、6日の東京市場は大きく動きました。日経平均株価は2300円以上値上がりし、史上初の4万8000円を突破。一方、外国為替市場では、1ドル150円台まで円安が進みました。「責任ある積極財政」を掲げる自民党の高市新総裁が選出されたことに、マーケットが反応した形です。その高市氏は、党役員人事など新しい体制づくりに着手しています。

“高市トレード”市場が反応

円安・株高・債券安。こうした傾向がみられる“高市トレード”について、市場関係者は。

野村証券 西哲宏執行役員
「不確実性は引き続きある。高市さんが新総裁になるという期待で買われている部分がある。実際、政策が出てくる中で、マーケットがどう織り込んでくるのか」

「派閥政治に逆戻り」党内から批判

麻生氏の“義理の弟”

6日は人事に取り組んだ自民党の高市新総裁。総裁選で勝利の流れを作った麻生最高顧問を副総裁にすえるほか、党の要の幹事長に鈴木俊一総務会長を起用することが分かりました。鈴木氏は、財務大臣や総務会長などを務めたベテラン。麻生氏の側近であり、義理の弟です。

自民党 新執行部

さらに、麻生派所属の有村治子氏を総務会長に。このほか、総裁選で争ったものの、決選投票では高市氏に票を投じた小林鷹之氏を政調会長に。推薦人代表だった古屋元国家公安委員長を選対委員長にするなど、自身に近い議員の起用が目立つ形になっています。不記載があった旧安倍派の議員をめぐっては、萩生田元政調会長が幹事長代行に内定しました。

こうした人事に党内からも恨み節が。

自民党若手議員
自民党若手議員
「昔の古い派閥政治に逆戻りだよ。派閥を唯一残した麻生派がいい思いをして、解散した他の派閥がバカみたいだ。解党的出直しで挙党体制を築けるならいいけど、今の人事を見ていると、麻生さんの顔色をうかがっているのが見え見えだ」
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連立を巡って麻生氏の影

麻生最高顧問

人事に加え、麻生氏の影響が見え隠れするのが、連立をめぐる交渉です。麻生氏は6日に早速、国民民主党の榛葉幹事長と会談しました。そもそも3年前、岸田政権下で連立に向けた協議を進めていたのも麻生氏でした。

対する国民民主も「ガソリン減税」や「年収の壁引き上げ」など、高市氏とは政策が近いと期待を寄せています。しかし、支持母体の連合からは。

連合 芳野友子会長
連合 芳野友子会長
「政権の枠組みに入ることは、連合としてあり得ないとの考え方は曲げられない」

さらに、30年来組んできた公明党からも注文がついているのが現状です。高市氏が新総裁に選ばれた直後に会談した、斉藤代表は。

公明党 斉藤鉄夫代表
公明党 斉藤鉄夫代表
「わが党の支持者からも大きな不安・懸念があると率直に申し上げ、その解消なくして連立政権はないと申し上げた」
公明党 斉藤鉄夫代表

靖国神社参拝による外交への影響や、維新が掲げる「副首都構想」などへの懸念を伝えました。7日にも顔ぶれが固まる新執行部。その船出から穏やかな航路とはいかなそうです。

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麻生派・茂木派を“重用”

山本志門政治部長に聞きます。

自民党人事

(Q.これまでに見えてきた新体制の人事をどう見ますか)

山本志門政治部長
「この布陣を見ると、高市新総裁誕生に貢献した面々、麻生派、旧茂木派の議員を重用し、小泉氏、林氏を応援してきた人たちは入っていません。明らかな“論功行賞人事”に見えます。この中では麻生氏のカラーが色濃く出ています。5日夜、麻生氏と高市氏が会談しました。麻生氏の側近の鈴木氏を幹事長に。麻生氏本人も副総裁として今後、政権の要として屋台骨を支えることになります。事実上の『麻生政権ではないか』という冷ややかな見方も自民党内からは出ています。
閣僚人事
山本志門政治部長
「一方で、決戦投票で大きな役割を果たした茂木氏は外務大臣です。トランプ政権のとの向き合いで即戦力として期待感もあります。保守的な陣容固めにも気を配っています。総裁選を戦った小林氏が政調会長に、保守派のホープと言われる木原氏を官房長官に起用する予定です。閣僚人事はまだほとんどが分かっていませんが、恐らくここでは女性登用を進め、“高市カラー”をアピールしていくと思います」
自民党×公明党

(Q.高市氏が「基本中の基本」と言っている公明党との関係固めが必要です。ただ、その連立を巡って、公明党はかつてないほど注文をつけてきています。これをどう見ますか)

山本志門政治部長
「高市新総裁の船出にあたり、かなり高いハードルになっているのが、公明党との関係です。公明党は連立の条件として、“靖国参拝の見送り”や“高市氏の歴史認識”など、最初から高市カラーの封印を求めてきました。これに対し、高市氏の周辺では『公明党を切るいいタイミングだ』という声もあります。ただ一方で、公明党に選挙でお世話になっている議員も多く、一筋縄でいく状況ではありません。7日に公明党幹部が対応を協議し、自民党も新しい体制が発足しますので、近く再び交渉に臨むことになると思います。難しい交渉にはなりそうですが、高市氏としては、自公の連立を前提に交渉を進めていくことになると思います」
国民民主党

(Q.麻生氏と国民民主の幹部が会いました。この動きをどう見ますか)

山本志門政治部長
「これは国民民主党との連立も含め、今後の協力に向けた話し合ったとみられます。野党との協力の中で、高市新体制が最も頼りにしているのが国民民主党です。積極財政派で政策的に近く、ガソリン税の暫定税率廃止や、年収の壁の引き上げ、いずれも高市氏が乗れる政策でもあります。ただ、国民民主の支持母体である連合は反対していますし、選挙区調整などもあって、国民民主側も早期の連立入りには否定的です。今後、政策協力で実績を積み上げて、将来的な連立を目指すというのが現状です」
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