10月4日、高市早苗新総裁が誕生。ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、注目が集まる人事、経済への影響、野党連立について考える。
まずANNの取材ですでにわかっている高市新総裁の人事案について、テレビ朝日政治部・澤井尚子与党キャップは以下のように述べる。
「麻生派のベテランで麻生氏の義理の弟でもある鈴木俊一氏を、幹事長にあてる方向で調整に入った。さらに麻生氏自身も副総裁にあてる方向で調整しているが、麻生氏はいま慎重になっており、人事案は7日に固まるが、どうなるかというところだ」(澤井尚子与党キャップ、以下同)
処遇の狙いについては…。
「もともと議員票は少ないと見られていたところを、小林陣営と茂木陣営も呼び込んで票を乗せ、決選投票で高市氏を勝利させた。麻生氏は高市総裁を生んだ一番の功労者だ。したがって、やはり麻生派に“論功行賞”はあるだろう」
更に、いわゆる旧安倍派の“不記載”議員の1人、萩生田光一元政調会長の起用も検討されているという。人事について番組コメンテーターでEVeMのエバンジェリスト・滝川麻衣子氏は、以下のように言及する。
「高市氏は党内にものすごくネットワークがある方ではないイメージがあるため、重鎮である麻生氏を起用して後ろ盾を作っていくのは、戦略としては正しい。しかし85歳で古株中の古株。高市氏が(旧安倍派などの)“不記載”議員の起用を排除しない可能性についても言及しているのを見ると…もともと自民党離れがなぜ起きたのかを忘れないでほしい」(滝川麻衣子氏)
あまり人付き合いが好きではないとされている高市氏だが、“チーム高市”を作り上げることはできるのだろうか。澤井与党キャップは「そこが一番のポイント」と語る。
「高市氏はこれまでも閣僚、党役員を経験したが、自分で仕事を全部抱えてしまうタイプなので、周りがチームを作り上げないとうまくいかない。石破氏が失敗したのは自分に一番近い防衛族で周りを固めてしまい、総裁選で戦ったメンバーも内閣に入れず、挙党体制が築けなかったためだ。高市氏が体制を築いて党内をまとめあげられるかが重要」(澤井尚子与党キャップ)
株価が急上昇…物価高、給付付き税額控除、減税…どうなる?

高市新総裁の誕生で日経平均株価が最高値を大幅に更新したが、この先の経済への影響はどうなるのだろうか。滝川氏は以下のように分析する。
「もともと小泉氏というシナリオだったため、意外という点を含め、高市氏の積極財政を評価する動きが出ていると思う。金融緩和で、利上げもささやかれていたが不透明になってきたため、企業の経営においては追い風になる流れはあると思う。実際、防衛関連やAI・半導体などのテクノロジー、機械や自動車などの銘柄・分野が市場の恩恵を受けることは十分考えられる。しかし、企業の業績が上がるだけではいきなり生活が良くなるとの実感はまだまだ出てこないため、いかに賃上げの流れに持っていけるかがまず1つのポイント」(滝川麻衣子氏、以下同)
「もう1つは、円安が進むと物価高が続く。そのときに減税という政策もあるが、消費税や給付付き税額控除は時間がかかるため、生活に影響が出るのはまだ遠い先になる気がする」
澤井与党キャップは、幹事長起用で調整が進む鈴木俊一氏が“財政規律派”であることに加え、宮沢税調会長の処遇がどうなるかがポイントだと分析する。
「ラスボスとも言われているが、これから年末に向けて税制改正していくにあたり、宮沢氏は周辺に対して『自分はおそらく交代だろう』と言っている。高市氏が自分の路線に近い人を入れる可能性もあるかもしれない」(澤井尚子与党キャップ)
“有力視”されていた維新から一転…国民民主党との連立はある?

高市総裁が物価高対策を実行する上で、今後の焦点となってくるのが連立拡大の動きである。高市新総裁は会見で、憲法改正や外交・財政政策などで考え方の合う野党との連立交渉を急ぐ考えを示した。
国民民主党・玉木代表は、高市新総裁と「基本政策についての一致点はかなりある」と強調。参政党・神谷代表は「参政党が自民党と今、連立を組むことはありません」と演説。25年以上政権を共にしてきた公明党・斉藤代表は、政治とカネの問題や靖国神社参拝などの歴史認識といった懸念の解消がなければ、連立政権はないとけん制している。
政策的にはかなり近いとされる国民民主党だが、自民党との連立はあるのだろうか。
滝川氏は「むしろそこ(国民民主党)にいかないと他は難しいのでは」としつつも「国民民主は自民の批判の受け皿だったため、安易に連立すると逆に自分たちの支持離れを起こさないのかという懸念はある」と述べた。
澤井与党キャップは「自民党としては国民民主党の支持母体の連合、民間労組を取り込みたい。しかし連合はかなり慎重なためうまくいくのか。国民側も少し慎重な姿勢ではあるが、基本的には年末くらいにかけて連立を組めたら良いという感じだと思う」(澤井尚子与党キャップ)
(『ABEMAヒルズ』より)