政治

報道ステーション

2025年10月8日 02:00

“政治とカネ”を問題視…20年以上の関係にすきま風 自公執行部が連立協議

“政治とカネ”を問題視…20年以上の関係にすきま風 自公執行部が連立協議
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自民党・高市新総裁のもと新たな執行部が発足しました。

麻生太郎氏は副総裁。幹事長に鈴木俊一氏、総務会長には有村治子氏、政調会長に小林鷹之氏、選挙対策委員長に古屋圭司氏が起用されました。

自民党 麻生太郎副総裁
「自由民主党、開かれた国民政党として、開かれた総裁選挙を行った結果、新総裁が生まれています」
自民党 高市早苗新総裁
自民党 高市早苗新総裁
「いまの暮らし、未来への不安を、なんとか希望と夢に変えていきたい。そんな思いで、一生懸命、取り組んでまいります。どうか皆様方のご指導、お力添えを心よりお願い申し上げます」

新4役による会見では、いわゆる裏金議員の起用に関する説明が求められました。

自民党 鈴木俊一幹事長
自民党 鈴木俊一幹事長
「(Q.萩生田幹事長代行の起用の経緯について。政策秘書の略式起訴で、有権者の審判はまだ受けていない。起用に踏み切った理由は)衆参二度の国政選挙があり、有権者の皆さんの審判を受けた。これはもう大変、大きなこと。党則上の関係で言えば、一定の終了、一定の結論が出ている」

そして、すきま風が吹いている公明党との連立について、こう述べました。

自民党 鈴木俊一幹事長
自民党 鈴木俊一幹事長
「(Q.公明党内には一部で連立離脱論もある。今後、公明党と連立政権合意に向けて、どう協議を進めていきたい)公明党との連立の歴史は、四半世紀に及ぶ。風雪に耐えて、今日まで至っている。公明党とわが党の信頼関係は、基本的にしっかりしたものがある」
1999年 自公連立スタート

自公連立は、1999年に始まり、いまの選挙制度では、欠かすことのできない互助関係が出来上がっています。総裁・代表が交代した際は、速やかに合意文書の署名が行われてきました。

7日、自民党と公明党の執行部同士の面会が行われました。ただ、双方に笑顔はなく、両党にとって、この場が、新たな共闘関係の始まりになったわけではありません。

自民党 高市早苗新総裁
自民党 高市早苗新総裁
「議題は3点ありました。2点については、十分、ご理解をいただき、考え方を共有した。残る1点については、課題が残りました。まだ話し合いをしなければいけない。詳しい内容は、公の場ではまだ言わないということをお約束。詳しいことを申し上げられません」
公明党 斉藤鉄夫代表
公明党 斉藤鉄夫代表
「党員、支持者の方が、新総裁に対して抱いている懸念、3点、申し上げました。1点は政治とカネの問題、2点目が靖国をはじめとする歴史認識、3点目が過度な外国人排斥の問題」

連立継続の合意には、至たらずです。

公明党 斉藤鉄夫代表
公明党 斉藤鉄夫代表
「一番、時間を費やしたのは、政治とカネの問題。特に、わが党の支持者が、ある意味でモヤモヤしている不記載事案に関して、先の参議院選挙、衆議院選挙でみそぎを済ませたという話もあるが、そのあとに出てきたいろいろな問題もあります。きょうは、まだ結論に至りませんでした。引き続き、協議をする」
公明党 比例票

創価会を支持母体とする公明党。
20年前は、国政選挙の比例票で900万近く獲得していましたが、先の参院選では、520万まで減らしました。都市部での凋落が激しく、その原因の一つに、自民党の“裏金問題”があると位置付けています。

公明党参院選総括
公明党参院選総括
「政治とカネの問題で揺れ続ける自民党との距離感。例えば、不記載議員への推薦が清廉な公明党のイメージを損なったのではないか」

次期衆院選の公認候補予定者となる衆院東京11区支部長に、キックバックの再開を求めたとされている下村博文氏が選任されました。また、幹事長代行に任命されたのは、政治資金収支報告書に多額の不記載があった萩生田光一氏です。

公明党 西田実仁幹事長
公明党 西田実仁幹事長
「(Q.どう受け止めた)わが党としての政治とカネ、特に不記載問題についての全容の解明、そして、直接は関係はないが、国民が疑念を抱いている企業・団体献金、とりわけ受け手の制限等については、何ができるかを考えて、次に臨みたい」

一方の自民党。
伝統的に公明党・創価学会と距離を置く議員も少なくありません。

自民党関係者
自民党関係者
「選挙支援があるから、簡単に切れないとわかって、足元を見てきていて、嫌な感じだ。公明党とちゃんと交渉できる人が見当たらないのも問題だ」

自民党と国民民主党が、水面下で交渉しているような情報もあり、両者の溝は埋まっていません。

公明党 西田実仁幹事長
公明党 西田実仁幹事長
「(Q.連立政権合意は白紙か、道筋は見えているのか)引き続き、協議をすることに尽きる。(Q.連立離脱の選択肢も残っている)引き継ぎ、協議する」
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3つの懸念点

◆公明党が自民党に示していた3つの懸念点ですが、
斉藤代表は、7日の会談後、「歴史認識、靖国問題、過度な外国人排斥について我々と認識を共有できたところもたくさんあった」とコメント。ただ、“政治とカネ”の問題については「不記載の経緯について全容解明が必要。政治とカネの根底にある企業・団体献金に関して我々の提案について前進することが重要」と、引き続き、協議するとしました。

企業・団体献金

『企業・団体献金』についての公明党の提案です。
企業・団体から政党などへの寄付について、同一の政党などに対して年間2000万円の上限を設ける。寄付を受けることができるいわゆる『受け手』を「党本部」と「都道府県連」などに限定するといった内容です。
西田幹事長は会見で「とりわけ“受け手の制限”等については、先方は持ち帰っている。何ができるか考えて次に臨みたい」と話しました。

◆政治部与党キャップ・澤井尚子記者に聞きます。

澤井尚子記者

(Q.公明党にとって、ネックとなっているのが政治とカネの問題のようですが、かなり根が深そうですね)

澤井尚子記者
「ここまで反発するのは異例で、背景には、公明党はクリーンで、穏健な平和の党だという創価学会からの突き上げがあります。不記載議員の起用というのもありますが、 企業・団体献金の規制強化、すなわち受け手となる政党支部の制限といった公明党案について、自民党側は『政党支部は生命線だ』と、統廃合には後ろ向きで、受け入れないことが大きな要因です。西田幹事長は7日も『連立の離脱はないか』と聞かれても、あえて否定はしませんでした。公明党としては、落としどころを探ろうと新執行部と本音の話しがしたいところですが、そうしたパイプがない状態のようです」
澤井尚子記者

(Q.自民党はどうするのでしょうか)

澤井尚子記者
「高市総裁の周辺には、保守層の取り込みのためには、むしろ公明党の支援がない方がプラスに働くとみている議員もいます。とはいっても、多くの自民党議員は、公明党との選挙協力で 議席を得ているので、落としどころを探ることになると思います。ある閣僚経験者は『高市さんも所属議員の命、議席がかかっているので、連立の解消など、そんな極端なことはしないだろう』と話します。ただ、来週後半と想定される臨時国会召集までの決着は、まだ見通せない状況です」
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