4日に行われた自民党総裁選で、高市早苗前経済安保担当大臣が女性初の自民党総裁に選ばれた。
高市氏は1993年、当時32歳で、無所属からのトップ当選(衆院・旧奈良全県区)で政界入りした。国会へ初めて登院した際には「私の場合、無所属。どちらの政党に手伝っていただいたわけでもない。どちらの政党に入るといって選挙に出たわけではないので“自由な1票”、一切拘束されない1票を投じられる」とコメント。当選同期には、後に総理になる安倍晋三氏や岸田文雄氏、立憲の野田佳彦代表、田中真紀子氏らがいる。
その頃、自民党はリクルート事件や東京佐川急便事件など、政治とカネの問題で揺れていた。宮沢内閣の総辞職で、自民党は野党に転落し、細川連立政権が誕生。高市氏が自民党に入党したのは、3年後の1996年だった。「一人一党の気概を持っている。私にとって一生ものの本当に真剣な選択」(入党時コメント)。
そして2006年、第1次安倍内閣の沖縄・北方担当大臣で初入閣。2012年には第2次安倍内閣で、自民党結党以来、女性初となる政務調査会長に抜擢された。その後、女性初の総務大臣に就任し、のべ1438日の在任期間は歴代最長だ。
政治思想においては、安倍氏譲りの“タカ派”の発言で知られる。総務大臣時代の2016年2月には、「公共の電波を使って全く改善されない、繰り返されるという場合に、全く何の対応もしないということをここで約束するわけにはいかない」と国会で答弁。
2021年9月には「迅速に敵基地を無力化する」「日本自身が一定の打撃力を持っておくことは必要」と発言。今回の総裁選でも「第1に時代の要請に応えられる日本国憲法の改正をする。第2に男系の皇統をお守りするために皇室典範を改正する」と主張している。
高市氏は1961年生まれの64歳。神戸大学時代は軽音楽部に所属し、ヘヴィメタルバンドでドラムを担当。自他ともに認める筋金入りの阪神ファンだ。大学卒業後、政治家を志し、松下政経塾に入塾。その後、アメリカ連邦議会で立法調査官として勤務し、テレビ番組のキャスターとしても活躍した。尊敬する政治家は「鉄の女」こと、イギリスのサッチャー元首相だ。
意外な一面も持つ。著書『30歳のバースディ』でのエッセーには、「ユーミンが好き」「空港でまたまた恋人と涙の別れ」「男かペットがいなくちゃダメな私」などと、つづられていた。
マイナンバー制度導入についての2020年6月の議論では、テレビキャスター時代の“同僚”である蓮舫氏とも対峙(たいじ)した。マイナンバーの目的を聞かれ、当時総務大臣だった高市氏は「民主党政権の時に大変ご苦労して、立派な法律を作られた。あの時の解散で残念ながら廃案になったが、自公政権になってから、民主党、自民党、公明党でよく話し合い、苦労して作ってもらったものとして、再提出を国会にした。目的については、蓮舫委員の方が詳しいのではないか」と答弁した。
安倍政権下で官邸側と総務省側による放送法をめぐるやりとりが記載された内部文書が公表された際(2023年3月)には、経済安全保障大臣(当時)として「もしも私と安倍総理の電話の内容が、そのような文書に残っているとしたら、私の電話に盗聴器でも付いているのか。全くそれは捏造(ねつぞう)文書だ」と反論。立憲・小西洋之参院議員から「仮にこれが捏造の文書でなければ、大臣そして議員を辞職するということでよいか」と問われると、「結構だ。私はそのようなことは言っていない」と返した。
また、岸田政権時の2022年12月には、防衛費をめぐる増税方針の閣議決定に造反し、「閣僚の任命権は総理にある。罷免をするということであれば、それはそれで仕方ない」と発言していた。
自民党総裁選には過去2回出馬し、2021年は3位、2024年は2位になった。そして3回目の挑戦で、悲願を達成。10月4日の高市陣営報告会では「火中の栗を拾いに行く女」だと意気込んだ。
(『ABEMA的ニュースショー』より)