高市新総裁就任を受け、株式市場などで「高市トレード」と呼ばれる活発な動きが見られている。今後の見通しについて専門家に話を聞いた。
週明けに急上昇した株価。7日も勢いは続き、取引時間中の最高値を更新し、4万8527円まで上昇した後は、ここ数日の急上昇への反動で利益を確定する動きから値下がりに転じた。終値は4万7950円と6日より6円高く、終値としての最高値を3営業日連続で更新した。
この状況を第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは、以下のように解説する。
「高市政権に対する金融緩和と積極的な財政政策への期待で株価が上がっている状況だ。『高市ラリー』で2000円以上上がったため、ほとんどの業種が上がっている。例えば高市関連銘柄で代表的な業種として1つ目が防衛関連、2つ目が原発関連、3つ目が不動産」(永濱利廣首席エコノミスト、以下同)
高市新総裁が打ち出してきた「責任ある積極財政」。官民が連携した投資の拡大への期待が高まり、10%を超える上昇を見せた銘柄もあった。
「その中で唯一下げたのは銀行株だ。高市政権になり政府が日銀の金融政策に影響を及ぼすことで利上げがしにくくなる。銀行に関しては金利が上がった方がプラスになるため、動きにくくなるということで銀行株はネガティブな反応となった」
金融緩和を重視して、利上げに対して慎重な姿勢を見せている高市氏。8日朝、外国為替市場では円安が進み、一時1ドル=152円前半と約8カ月ぶりの安値をつけた。
「利上げが遅れる観測のもと円安が進んでいるということだと思う。しかし7日夜、高市政権の高市氏の経済ブレーンである元内閣参与の本田悦朗氏が、10月の利上げには否定的なスタンスを示したものの12月の利上げは容認するような発言をしていたため、足元の利上げ先送りの観測はマーケットが過剰に反応しすぎている印象を受ける」
物価高どうなる?「実質賃金がプラスになる可能性」も?

円安は輸出関連企業の業績を後押しする一方で、輸入物価の上昇につながる可能性がある。今まさに国民が直面している物価高はどうなるのだろうか。
「あくまで日銀やエコノミストの見通しだが、これまでの食料品の値上がりのペースが鈍化することなどでインフレが落ち着いてくる。少し我慢すればインフレも落ち着いてくる。一方、来年の春闘が今年並みの結果になれば来年度については、実質賃金がプラスになる可能性は出てくるのではないか」
アメリカで利下げが進めば、円安がこのまま進む可能性は低いと分析する永濱氏。今後の“注目ポイント”を以下のように語った。
「適度な積極財政なら今みたいに株が上がるのだが、あまりにも財政をやりすぎると数年前にイギリスであったトラスショックのように株、債券、為替が全部売られる“トリプル安”になる可能性がある。ある程度規律が保たれた形での積極財政というのが求められると思う」
また注目は、財務大臣の人事だという。
「マーケットが一番注目しているのは財務大臣が誰になるかである。宮沢税調会長の辞任の報道が出たことにより株価の上昇に効いている。国民民主党との連携の観測を強めたことになったためだ。国民民主党は連携を組むときに『党の税調会長が宮沢氏だと組めない』と言っていた。辞任するということは国民民主党との連携が強まる可能性が高く、場合によっては連立入りをすることにより玉木氏が財務大臣になるともう1段の株高になる可能性があると思う」
ニクヨ流「資産の守り方」と「投資の始め方」を伝授!

円安、物価高、インフレ下での資産の守り方や“現金価値の目減り”について、ニュース番組『ABEMAヒルズ』コメンテーターで、経済愛好家の肉乃小路ニクヨ氏は以下のように見解を示す。
「少し前までデフレが長い期間続いており、現金で持っていることが一番強みだった時期が長かったためなかなかシフトできなかったが、コロナやウクライナの戦争もあり時代の流れが世界的に変わってしまった。昔よりも資産を買いやすい状態にもなっているため、資産家になることを考えた方が良いのではないかと思う」(肉乃小路ニクヨ氏、以下同)
また投資の始め方について以下のように“伝授”する。
「一気にやるのではなくできれば積み立てなどで少しずつ始めて、購入単価を平均化しながらやるのが良い。大事なのは悪くなったらやめるのではなく、悪いときも良いときも一定額を買い続けることで、購入単価を平準化できるメリットがあることだ。さらに、分散されたものに投資していくとリスクも分散できる。例えばたくさんの会社に投資をする株式の投資信託や債券、他の商品なども分散して運用できるような投資信託もあり、小口で始めることができる。リスク分散をしながら少しずつ運用していくのが良いのではないか」
ニクヨ氏のおすすめは…。
「できれば私たちの生活に直結している国内株や、ESGに取り組んでいる企業を応援するファンドに投資すると、社会も良くなり自分も資産ができるという点でウィンウィンなのでは」
(『ABEMAヒルズ』より)