4日に誕生した自民党・高市早苗新総裁。8日には新執行部とともに野党各党に挨拶回りを行った。衆参両院で過半数割れを起こしている少数与党の状態において日本維新の会、国民民主党の両党が連立政権に加わるかが取り沙汰されている。
【映像】自公なら過半数割れ 自公維、自公国なら過半数 連立組み換えシミュレーション
日本維新の会・吉村洋文代表は打診があれば協議するとし、また国民民主党・玉木雄一郎代表は103万円の壁引き上げや、ガソリン暫定税率の廃止など、自民党・公明党・国民民主党による3党合意の引き継ぎが協議の最低条件になると答えた。一方、野党第一党の立憲民主党からは、安住淳幹事長が総理大臣指名選挙では野田佳彦代表にこだわらず「玉木代表も有力候補」と、野党統一候補の提案を出してきた。
「ABEMA Prime」では、まさに次期総理のキャスティングボードを握る日本維新の会・藤田文武共同代表を直撃。自民党と連立するのか、他の野党と組んで新たな連立を目指すのか。臨時国会開催まで時間もない中、現時点での考えを聞いた。
■自公だけなら過半数割れ 維新はどう動く?

日本維新の会の議席は、衆議院では自民党196議席、立憲民主党148議席に続く3番手の35議席。連立与党の公明党24議席を上回り、日本維新の会の動向は次期総理を選出する上で非常に大きな意味を持つ。藤田氏は「今、自民党の高市さん、その後ろ盾になっている麻生太郎さんが(国民の)玉木さんや榛葉賀津也さんとかなり接触している。そちらと先行して政策協議をされているので、基本的には国民さんがどうするかが先。私たちは正式に政策協議をしましょうとか、踏み込んだ連立とかそういうオーダーを受けていない状況だ」と慌てない。
2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏からは「国民民主党や日本維新の会は、自民党に対して自分たちをどれくらい高く売るかの競争ではないのか。政権に入るなら、これをやったら組むとか、ポストをもらえたらするということはないか」と質問を受けたが、藤田氏は「政権を共にするとか、かなり深く国家経営に関わるのであれば、単一の政策云々だけでは非常に難しい。国家の基軸となるような心合わせが必要」と述べる。具体例では「すぐにやる・やらないで言えば、経済対策の話がある。今一番効果があるのは、私たちがマニフェストで申し上げてきた『消費税の2年間食品ゼロ』。高市さんも言っていたのに、取り下げてしまった。また政治改革なら企業団体献金を厳しくする、議員定数を削減することもすぐに結果が出て取り組める。こういったことに合意がないと、なかなか(連立へは)前に進めないのではないか」と、いくつかハードルがあると表現した。
もともと日本維新の会は、総裁選で敗れた小泉進次郎農水大臣との関係性、さらには後ろ盾になっている菅義偉元総理と密接であることから、小泉新総裁であれば自公維の連立が進むとも報道されてきた。藤田氏は「小泉さんが農水大臣として公務で万博に行かれ、それを大阪府知事でもある吉村代表がアテンドした。すごく和やかな感じで3時間アテンドしたので、維新が総裁選にベットしたようなことを言われた。玉木さんにも『落ち行く政権に手を貸すのはダメだ』と煽られたが、その玉木さんも涼しい顔をして、麻生さんと榛葉さんは漫画の貸し借りをし、高市さんと玉木さんで密談をしている。それが大人の政治家だ。だとすると、僕らは割と爽やかだ」と、あくまで日本維新の会としてはオープンに進めていくと主張する。
また「小泉さんの後ろ盾である菅さんと我々が近いのは事実。それでメディアの人たちが囃し立てて、小泉さんといろいろな条件交渉までしているのではないかと言われたが、それもすごく僭越な話。オーダーがあれば当然、テーブルにはつく。ただしハードルは高い」とも付け加えた。
■自民と維新、藤田共同代表が語る連立への「2つの必要条件」

改めて自民党と日本維新の会が連立するとした場合のポイントを整理する。藤田氏は「参議院選挙で掲げた2本柱、社会保障の改革と副首都構想」を重要視する。「東京集中を是正して、首都のバックアップ機能と多極分散型の経済圏を作っていくという壮大な国土構想だが、ここまでの説明だと大半の国会議員は『いいね』と言う。ただこれをどこにするか、制度設計をどうするかなど各論まで来ると、相当な議論になる」。ただ、8日に行われた10分程度の会談では高市氏側から藤田氏に向けて、副首都構想についての発言があったといい「自民党内でも首都機能のバックアップというPT(プロジェクトチーム)があり、議論もかなり煮詰まっている。それをすり合わせましょうと言っていただいた」とも明かした。
また社会保証の改革については、高市氏を支える麻生氏も成し遂げたいものでもある。連立に向けては「私らからすると、この2つは必要条件。ただ、十分条件かというと、それは条件による。その社会保険料の改革は結構長い道のりだ。かなり膨大な構造改革の議論もあるし、OTC一つとっても今かなり態度を硬化している。それに風穴を開けるのも相当な仕事だ」とした。
■立憲とは組めない?「かなり雲を掴むような話」

一方、野党が結束すれば新たな連立によって、政権交代が可能でもある。立憲民主党・安住氏からの提案を、藤田氏はどう受け止めているのか。「公明党が首班指名で自民党を選ばなかった場合、自民党が196議席のところ立憲民主党・国民民主党・日本維新の会を足せば200を超える。だから安住さんは(野党連立を)したらどうかという提案だが、それは陽動作戦だ」と指摘する。
立憲民主党と日本維新の会の間では政策における隔たりは大きいとし「その違いを明確にし、議論をオープンに見てもらおうという提案を、自分が幹事長時代に何回か提案したことがあったが、立憲さんに『それはやりません』と袖にされた。それであれば、リスクを追って一緒に政権をすることは難しいというのが私の見解で、かなり雲を掴むような話。この1〜2週間で、全部がまとまるのは非常に難しい」と難色を示した。
ただし、安住氏が代表である野田氏ではなく、他党の玉木氏を指名することもあると発言したことの覚悟は感じ取る。「他の番組で安住さん、榛葉さん、僕で話すことがあったが、安住さんは隔たりのある政策も党内を説得して一緒にやっていくことも考えうるとおっしゃった。それはかなり重たい発言で、党内からもハレーションがある。それはある種、安住さんの本気度というか、そこまで踏み込んだ政権構想を考えるのは今までになかったこと」と評価した。
また安住幹事長の人柄にも触れ「非常に幅広な方。交友関係も広いし、頭も柔軟。割と保守的な考えの方なので、安住幹事長と僕、または安住さんと僕と榛葉幹事長だったらすぐ一緒にできる」と表現。それでも立憲民主党をまとめることの難しさについて「立憲さんはリベラルから保守まで幅広。いろいろなアジェンダでも、党内で紛糾する。原発についても、かなり廃止論者も多いし、そういうところは国民さんも絶対に飲めないと言っているから、そのあたりは非常に難しい」と語った。 (『ABEMA Prime』より)