新たな執行部発足を受け7日、初の会談を行った自民党・高市総裁と公明党・斉藤代表。にこやかな高市氏に対し、斉藤氏がやや硬い表情をみせる中、協議がされたのは「連立政権の継続」について。今回の総裁選直後、斉藤代表は高市総裁に対し、「政治とカネの問題」「任期中の靖国神社参拝」「外国人との共生」の3つの懸念を伝えており、連立の離脱をほのめかしていた。
これを受け、メディアやSNSでは「公明党との連立がなくなれば選挙に勝てないのでは?」「連立を解消して困るのは議席数も少ない公明党でしょ」など、公明党の“連立解消説”が浮上している。
26年続く連立の解消はあり得るのか。『ABEMA Prime』で議論した。
■公明党前衆院議員「地元からは『三行半を突きつけろ』との声も」
衆議員時代は党の広報委員長を務め、現在は公明党中央幹事の伊佐進一氏は、「協議は始まったばかり。自民党総裁選では党員票を相当重視したと思うが、それは我々も同じだ。トップ同士だけでなく、現場の声を聞いた上で改めて議論することになるだろう」とコメント。問題は、斎藤代表も懸念としてあげた「政治とカネ」の部分だと指摘する。

伊佐氏は、公明党内には「選挙でこの問題に巻き込まれた」との認識もあり不満が溜まっていること、地元からは「三行半を突きつけろ」との声もあることを紹介。離脱は簡単ではないが、連立にしがみつくべきではないとの認識を示した。
政治評論家でジャーナリストの平井文夫氏は、「これまでにも意見が違うことはあった。今回ややこしいのは、総裁が変わった後の連立協議がまとまっていないこと。15日と言っていた首班指名選挙は17日以降にずれる可能性がある」と説明。
公明党の連立離脱はないとみていた平井氏だが、「公明の支援団体である創価学会の原田会長が『離脱』というワードを出したと。『全体に浸透はしていないが、彼が言うということは現実的な話だろう』と、教えてくれた人は話していた」とし、「26年続いた連立が初めて崩れる可能性があると言っていいと思う」との見方を示した。一方で、論点は「政治とカネ」なのかは疑問であり、力を失っている公明党は独り立ちできるのか、野党になるメリットはあるのか、とも投げかけた。
■「全権を握っているのは麻生さん。“ついに縁切りの時が来た”とメラメラしているのでは」
元朝日新聞政治部でジャーナリストの鮫島浩氏は、「裏金問題が発覚した後、衆議院・参議院と2回選挙があったわけで、公明党はここで離脱していなければならなかった」と指摘。その上で、「石破政権のナンバー2だった菅副総裁と公明党・創価学会が仲良しなので、“自分たちを理解してくれる人が自民党のど真ん中にいるなら離脱しない”と。それが今回、高市さんになった」と述べる。
大きな影響力を持っているのは麻生副総裁だという。「まさに“キングメーカー”で、全権を握っている。麻生さんは『公明党との連立解消』が昔からの持論で、半ば隠さずに言ってきた。これまでは菅さんや二階さんなど公明親派がいたために思いどおりできなかったが、高市執行部を見るとみんな麻生派。『味方がいなくなった』と、誰よりも衝撃を受けたのは公明だ。麻生太郎、85歳、“ついに縁切りの時が来た”“野望が達成される時が来た”とメラメラしているのではないか」。
また、閣僚人事や解散総選挙についても言及。「国土交通大臣のポストはずっと公明党が担ってきた。自民党も“おいしいところをやっている”と怒っていて、近くある内閣改造で麻生さんは切りに来ると思う。これは宣戦布告だ。ただ、自公過半数割れの中で、公明がいないと高市さんが総理大臣になれないかもしれない。今は低姿勢でいって名前を書いてもらい、なってしまえば天下だ」と、独自の見解を展開した。

これに平井氏は「ありえないと思う」と反論する。「今回公明は文句を言っているが、小選挙区で票を回してくれるし、一緒に組むのに自民にとってこんな良い政党はない。いくら麻生さんが嫌いでも、自民側から切ることはないだろう。どうも『政治とカネ』の話がまとまらないようだが、公明は(裏金問題で処分を受けた)萩生田さんを切れと言っているのではないか。しかし、自民もそれはできないので、“企業団体献金については真摯に、前向きにやります”と言えば納得すると思う」とした。
■連立めぐり国民民主の影?
国民民主党の玉木代表は7日、自公に連立維持の確認を求めた。公明党が離脱すれば「仮に国民民主党が入っても過半数に足らない」として、「まず公明党がどうするかが極めて重要だ」と強調した。

鮫島氏は、「支持層を見ると、自民も公明も、立憲民主も相当高齢化している。一方で、参政や国民民主は若い。自公政権で解散総選挙を何度やっても、おそらく過半数は取れないだろう。若い世代を取り込むためには、国民民主と組んでガラッと党の体質を変えないとダメだと。ジリ貧だという危機感が麻生さんにもあり、小泉純一郎以来の大きな改革を最後に成し遂げて、自分の政治人生の終わりにしたいという思惑があるのでは」と語る。
これに伊佐氏は「それが戦略なら、間違った戦略だと思う」と指摘。「自民党支持者の高齢化が問題なのではなく、あなたたちがやってきたことが問題なんでしょうと。国民にどれだけ寄り添えているかが大事なのに、そこを取り繕うかのように、国民民主を入れたら若い世代が戻ってくるというのは違うと思う」と反論した。
平井氏は、「“国民民主がいい”と言うが、公明もいないと過半数には足りない。じゃあ参政を入れるかというと入りづらくて、“自公国”のバランスがちょうどいい。確かに、公明を切れば支持率は上がるが、票は減る。どちらが重要かというと、やはり票だ」との考えを示した。
連立は票目当てだという意見に対して、伊佐氏は「それだけではなく、何をやるかだ」と主張する。「民主党政権から自公政権になった時、“連立合意文書にこれは入れてくれ”と頼んだのが、幼児教育の無償化。それまで社会保障と言えば、年金や介護など高齢者の施策しかなかったわけだ。公明は福祉や教育に強かったので、こうしたいろいろな実績を積み上げてきたことが、自民のメリットにもなっている。今回のことがパフォーマンスだとして、実際に切られてしまったら元も子もない。合意できなければ我々が野に下るのは当然で、そこは勝負をかけている」。(『ABEMA Prime』より)