政治

ABEMA NEWS

2025年10月10日 15:01

高市早苗氏、初の女性総理へ 逆転劇の舞台裏は?岩田明子氏「党員票が圧倒的に強かった」 平デジタル大臣「『麻生氏に影響力はない』と言ったが、ものすごいあった」

高市早苗氏、初の女性総理へ 逆転劇の舞台裏は?岩田明子氏「党員票が圧倒的に強かった」 平デジタル大臣「『麻生氏に影響力はない』と言ったが、ものすごいあった」
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 自民党総裁選挙で5人の候補による戦いを制し、高市早苗氏が新たな総裁に選出された。今月招集予定の臨時議会で、日本初の女性総理が誕生する見込みだ。高市氏は第1次安倍政権で沖縄・北方担当大臣として初入閣。それ以降、女性初の自民党政務調査会長、女性初の総務大臣を歴任した。

【映像】ハイタッチして歓喜する高市氏(実際の映像)

 高市氏が支持された背景には、自民党内で保守層離れの危機感が高まり、「保守回帰」を求める党員票を集めたという声もある。高市氏は自らを「穏健保守か中道保守」とアピールしていたが、韓国メディアでは「強硬保守」「極右」の政治家として、日韓関係への影響を懸念する報道が出ている。

 また、自民党と連立を組む公明党の斉藤鉄夫代表は、「政治とカネ」の問題や、靖国神社参拝などについて懸念を示す異例の事態になっている。『ABEMA Prime』では、総裁選の舞台裏とともに、今後の政局がどうなるかを考えた。

■初の女性総理へ

岩田明子氏

 政治ジャーナリストの岩田明子氏は、勝因について「党員票が圧倒的に強かった。以前の総裁選では、党員票で勝った候補を、国会議員票で覆しても『これが政局だ』と言える余裕があった。しかし少数与党になり、参院選を『民意と向き合ってなかった』と総括した直後の総裁選だったため、『党員票を無視できない』という議員心理が強く働いた」と分析する。

 今回の総裁選では、麻生太郎最高顧問の影響力が強く働いたとされる。小泉進次郎農水大臣を支持した平将明デジタル大臣は、「他の派閥は解消したが、麻生派は完全に残っている。こそこそ会う必要もなく、合宿までやる。麻生氏の力に加えて、茂木敏充前幹事長との人間関係もあった。私は『麻生氏に影響力はない』と言ったが、ものすごい影響力があった」と語る。

 個人のスタンスについては「小泉氏に投票したが、今回は閣僚のため、どこの陣営にも入っていない」しつつ、「最近の主流は、決選投票に重きを置いて、1回目の投票で2位までに入る戦略だ。“塊”を持っていないとコントロールできず、その戦略をとれない」と説明する。

 平氏もかつて派閥(山崎派)に属していた。「付いていく親分が、どれだけ適切な判断をするか。構成員にポストなどで報いることができるかが重要だった。しかし自民党は派閥をなくして、新しいガバナンスの仕組みを入れようとしていた。その中で(派閥の論理が)機能して、『だったら派閥はあった方がいい』となると、本当にそれでいいのか考えなければいけない」。

■「高市氏は勉強量もすごいし、政策能力も高い」

平将明デジタル大臣

 高市氏の政治家としての能力はどうなのか。岩田氏は「有言実行だ。総務大臣の時に総務事務次官を更迭したが、その際には総理への報告も直前にするほど、徹底的に情報を漏れないようにした。やりにくいことも結果を出すところは、安倍晋三元総理も評価していた」と明かす。

 一方で「安倍氏は官房副長官の時から同期と集まり、政策も語らず、ただ時間を過ごすだけの『そよ風の会』を行い、“隠れた最大派閥”と呼ばれていた。しかし高市氏は時間を大切にして、部屋にこもって研究するため、安倍氏は『もっと無駄な時間を人と共有して』と言っていた」と振り返る。

 高市氏が“保守”と言われる背景については、「政策や行動、戦争で亡くなった英霊たちに対する姿勢がある。“寛容な保守”としては、今回リウマチや病院の話をするなど、弱者と言われる国民の政策も細かく考える」と考察。“保守”の定義を問われると、「“伝統的な国の形”の明確なビジョンを示すことをもって、保守だと言っているのだろう。ただ、保守と一言でいっても、経済にも外交・防衛にも、いろいろなところの細部に出てくるものだ」と返す。

 公明党との関係については、「亀裂が入ってから長い。ただ安倍政権の時には、気をつかって山口那津男代表(当時)と定期的にランチをしていた。クリスマスイブにはランチを公明と、ディナーを維新とした。定期的に意思疎通して、困れば電話をかけるなどのホットラインができていた」と話す。

 目下の課題としては、アメリカとの関税交渉がある。平氏は「赤沢亮正経済再生大臣は、米国側の閣僚も味方に付けて、ワンチームでトランプ大統領を説得した。高市総裁もそうした形を取れるか。高市氏は勉強量もすごいし、政策能力も高い。愛嬌もあるため、面白い交渉になるのではないか」と予想する。

■「小泉氏には国家機密に触れるポストを経験してほしい」

安倍元総理と靖国参拝

 外交をめぐっては、靖国参拝も論点になると予想される。現職閣僚でもある平氏は「私はそこまで高いポストに就いていないため、圧力の程度は想像できないが、安倍氏の第2次政権ですら、1回しか参拝できなかった。私は日本のトップがどこに行こうが自由だと思うが、総理となれば国益全体を考えて、適切に判断すべきだ」。

 加えて注目されているのが、高市内閣や党執行部の“人事”だ。「この人事を見ると、高市氏と麻生氏、茂木氏、小林鷹之氏のところで練られた案だと思う。小林氏の政調会長は、純粋にいいのではないか」。

 総裁選の決選投票で高市氏に負けた小泉進次郎氏については「国家秘密に触れるポストを経験してほしい。国家秘密に触れたことのある政治家と、そうでない政治家では、ソリューションが違ってくる。総理になるのなら触れるべきだ」と期待を込めた。

(『ABEMA Prime』より)

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