政治

ABEMA NEWS

2025年10月11日 10:31

野党共闘による政権奪取の可能性は?「自民党総裁を総理にしないために結集すべき」立憲×維新×参政党×社民で語る

野党共闘による政権奪取の可能性は?「自民党総裁を総理にしないために結集すべき」立憲×維新×参政党×社民で語る
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 4日、自民党に高市早苗新総裁が誕生したが、10日には公明党が連立からの離脱を表明し政局が大きく動いている。国民民主党、日本維新の会との連立も取り沙汰され、当初15日と言われていた臨時国会での首班指名も、20日以降にずれ込む見通しとなっている。

【映像】自民党はどこと組む?連立シミュレーション

 衆参両院で自公の連立与党は過半数割れの状態で、仮に野党が共闘・結集すれば、政権交代がかなう大チャンス。ただし野党第一党の立憲民主党を中心に、一気に結集に向かっているかといえば、そう簡単ではない。「ABEMA Prime」では、10月9日の放送で立憲民主党、共産党、参政党、社民党の議員で野党連立の可能性について議論。「自民党総裁を総理にしないために結集すべき」など、意見がぶつかる場面も見られた。

■立憲・維新・国民・公明で組めば過半数に

青柳陽一郎氏

 現在、衆議院で自民党は196議席、公明党は24議席。過半数「233」には13議席足りない。ここに日本維新の会(35議席)、国民民主党(27議席)のいずれかが加われば過半数に達するはずだったが、連立が解消され自民党には更なる逆風となる。。立憲民主党(148議席)に日本維新の会、国民民主党、そして公明党の4党で結集すると「234」にとなるため、ギリギリ過半数に届く。また共産党(8議席)、参政党(3議席)、社民党(1議席)といった他党の票も合わせれば、数字の上では野党連立による政権交代は十分可能になっている。

 野党第一党・立憲民主党の青柳陽一郎国対委員長代理は「我々野党としては立憲民主党、国民民主党、日本維新の会の3党を軸に塊が作れれば、まさに政権をひっくり返せると考えている」と語る。また「その時には政策のすり合わせが必要だ。政治改革、企業団体献金の禁止のところなどは、(与野党間で)全く折り合いがついていないが、野党だけならまとまる可能性が高い。ガソリンの暫定税率の廃止も野党はまとまっている。消費税の問題もそうだ。少なくとも、この3つを実現するだけでも政権交代する価値はあるし、その上で解散して国民に信を問うのでもいい」と、長期でなくとも自民党から政権を奪う意味合いを訴えた。

 共産党・辰巳孝太郎国対副委員長も、政権交代によって「自民党政治そのものを大元から変えるべき」と強く主張する。「古い自民党政治が継続されている。裏金問題にしても、萩生田さんを幹部に登用する話も出ているし、これでは麻生派閥の政治だ。自民党政治を終わらせるためにも、大きな塊になって政権を取るべき」と述べた。

 かつて、野党連立の鳩山政権時には大臣も経験した社民党・福島みずほ党首も、今が絶好機だと声を大きくする。「自民党総裁を総理大臣にしないために、野党結集すべきだと思う。高市さん自身は戦争への道、憲法改悪、歴史修正主義。選択的夫婦別姓や同性婚にも否定的で、人権がものすごく後退する。衆議院選挙も参議院選挙も(有権者は)自民党に『NO』だった。企業団体献金を禁止しない、そして裏金議員の人たちを重用する、第2次麻生内閣だ。これは古い自民党の復活。だから、自民党総裁が総理大臣にならないように頑張りたい」とした。

 番組に出演した4人の中で、姿勢が異なったのが参政党・梅村みずほ参議院国対委員長だ。「自民党の総裁選において高市さんが勝利されたことは、我が党としても重なる政策が多かったので、非常に好意的に受け止めている」と高市新総裁の誕生を歓迎する。「確かに私たちは野党で、自民党がダメだから参政党が生まれたと日々言っている。政権を倒すために力を合わせたいという気持ちもありながらも、そのために政治家をやっているわけではない。国を守り、成長させ、国民を幸せにするために政治をやっている。政権が倒れれば、それで終わりではない。その先を見ても、どう組閣していくのか、どんな政策をどう実現するのかの見通しがないまま、目の前の目標だけで突き進むことはできない。総合的に判断することが必要だ」とも語った。

■2009年の政権交代、民主党政権時には何が

2009年の鳩山内閣

 過去の野党連立による政権交代では、何が起きていたのか。2009年からの民主党政権で入閣した福島氏は「当時から全てはできなかったけれど障がい者政策、子どもファーストで子ども手当ての無償化や、農家の戸別補償制度もやってきた。だから100%でなくても今の社会をもっと良くするためにやれることはある」と実績を語る。

 ただ、これに反論したのが当時、経済産業官僚だった自民党・門ひろこ氏だ「私は20年、役人をやってきて、民主党政権の時も覚えている。すごく期待もしたし(民主党で)300議席を取り、これで日本は変わるのではと思ったが、1年ぐらい経って絶望に変わった。結局のところ、中でもまとまれず、外交でもミソがついて同盟国との関係でも信用を失った。あの民主党政権によって、日本国民の中で政権交代に対する強いアレルギーができた」と指摘した。

 さらに各国との交渉が難しい局面にある現在において「アメリカも中国もロシアも、なかなかとんでもないリーダーが揃っている中(野党連立で)その外交ができるのか。自民党政治に対する批判はその通りだが、野党のみなさんが今走っている特急電車の運転席に座れる覚悟と能力があるかと言われたら、20年役人をやってきた私からすれば極めて疑問」とも語った。

 共産党としても、民主党政権には批判をした立場だ。辰巳氏は「政権交代した時、野党として民主党をめちゃくちゃに批判した。なぜなら、自民党政治の継承だったから。政権交代はしたけれど、中身が自民党政治の継承であれば、それは期待を裏切ることになる。今度はやはり選挙を経て、政治を変えてほしいという有権者の思いが衆議院と参議院で出ている。自民党政治を終わらせるのが大事」と述べた。

 これらの意見に、青柳氏も意見を返す。「自民党内で政権が変わっても体質は変わらない。だから政権を変えなきゃいけない。今すぐに政権が変わって、超特急に乗って外交から安全保障まで全てできるのかと言われたら、その懸念は我々でも持っているし(門氏の指摘が)当たっている部分もある。だから私が申し上げたいのは、ガソリンの暫定税率や政治改革、あるいは消費税の問題など3点ぐらいに絞ってやればいい」。

 また他国を例に出し、政権交代が起きたとしてもいきなり長期に渡って、政権を握り続ける必要もないという。「イギリスでも、労働党が最初に政権交代した時は数カ月で崩壊した。2回目も1年で崩壊した。いろいろなノウハウ、政権を担う覚悟も我々は経験していかなければいけないし、それを諦めてもいけない。光の当たるところを適度に変えていくのは必要なこと。1党がずっとやっているとおかしくなるし、おかしい部分が出ているのは事実だ」と、一度自民党から政権を奪った上で学び、成長するものだとも主張した。

 ただ梅村氏は、野党連立が実現すると同時に、政治空白が起きることにも懸念を示す。「野党連立しようとなった時、誰がどこの大臣で、この政策はどうしようとなった時に、国民が望んでいる問題について結果を出せないことになってくる。ヨーロッパではいろいろな政党が連立を組むために組閣するのに300日、400日かかる国もある。そんな政治空白を生みかねないところもあるので、現実的には政策が合わせられる政党が連立を組むべき」と慎重だった。 (『ABEMA Prime』より)

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