公明党が連立を離脱した。これにより、内閣総理大臣を指名する国会での「首班指名選挙」の行方は不透明になった。今後の展開をジャーナリストの青山和弘氏が予想した。
青山氏は「公明党がいなくなったことで、自民党は(衆議院で)196議席しかない極めて少ない政党になった。もちろん第一党ではあるが、過半数233からは37も少ない政党になった」国民民主党は衆議院で27議席を持つが「高市(早苗)氏のところと玉木(雄一郎)氏のところが近づいているが、これを足しても過半数超えなくなってしまった。『超えないんだったら、僕が加わってもしょうがないよね』と玉木氏もなってしまった。非常に連立工作そのものが難しくなってきている」と説明。
35議席を持つ日本維新の会については「維新は小泉(進次郎)氏と話をしてきたので、急に高市氏が来たからといってとすぐに寄っていくとは思えないという状況」として、「ただ一方で参議院は玉木氏のところがくっつくと、ちょうど過半数。だから参議員は公明党なしでも、自民国民でいけるので衆議院をなんとかすればいいという考えはある」という。
首班指名選挙については「立憲、維新、国民を全部足した場合は(自民の)196を超える。だから首班指名選挙では自民のみだと196だが、例えば、立憲、維新、国民がつくと210で超えるので、首班指名選挙はこの構図になったらこっち(野党連合)の代表が総理になる」と解説。
「(野党連合に)国民が抜けて公明が仮に入った場合、これでも自民を超える。だからまずは玉木首班でいま、玉木氏を総理にという話が立憲民主党の中から出てきている」と続けたが「玉木氏は政策合意のハードルが高い。安全保障と特に原子力発電。国民民主党は電力総連がついているため原発推進。立憲は原発ゼロ。これは差が大きい」と懸念点を上げた。
公明党の斉藤鉄夫氏を総理にするケースについては「創価学会が支持母体の総理大臣が生まれるという憲政史上初の状況になるが、それだってなくはないかもしれない。かつて自社さ政権という日本社会党の村山富市氏を自民党が担いで村山総理を作ったことを考えれば、公明党と立憲もそんなに距離はないのではないか。維新と公明党は距離があるが、これで総理大臣が生まれるならいいじゃないかという考えもある」と、過去の事例から可能性はゼロではないとした。
さらに青山氏は「もしこの4党(立憲、維新、国民、公明)がくっついたら衆議院で過半数超える。そうすると過半数をとる政権ができる可能性だってある」と語る。
また、立憲民主党の安住淳幹事長の名前を挙げると「『自民党を割れないか』と言っている。自民党の中から『高市総裁のやり方はよくないね。じゃあこっち側と組んで政権作ろうよ』といって30人でも割れてきたら、仮に玉木氏がついてこなくても過半数を超える可能性がある。立憲、維新、公明が乗れば」との見方を示した。
今後の動きについて青山氏は「まだ公明は野党側と組むつもりは全くないと思うし距離はある。首班指名選挙は多分20日か21日かだと思うが、こういう工作が今週1週間続いていく。これらは全部、まだ可能性は低い話だが“まさかの坂”は、3回目の坂もあるかもしれないから、いろいろな工作を見ていかなければいけない」と語った。
野党第一党の立憲民主党について「立憲の人たちがどういうような説得をしていくのか、政策面の合意も必要」と説明する青山氏は「一方で高市氏も黙って見ているわけにはいかない。もし自民党が割れたら大変なことになってしまう。どのように自民党の求心力を高めるのか。さらに他の政党にも、『今後協力していくから立憲の工作に乗らないで』という動きができるのか」と、高市氏の動きにも注目。
「いま公明党と『一方的に断った』『いや一方的じゃない』と言い合いをしたり、『選挙区に立てる』とか言うと、公明党の心がどんどん離れていく可能性もある。それはいまの高市氏の立場からするとあまりよくないのではないか。そうすると野党の工作に乗る可能性が出てきてしまう」と指摘した。
来日が予定されているトランプ大統領は、誰が総理になることを望んでいるのか。青山氏は「トランプ氏は安倍(晋三)氏とも仲がよかったし、高市氏と安倍氏の師弟関係をわかっているから、高市氏だろうと思って来るのだと思う。もし違ったらビックリだろう」とした。
さらに「下手に首班指名選挙に突っ込めないとなったらどんどん遅れていく可能性もある。負けてしまったら意味がないから。そうするとトランプ氏が来たときは石破総理のままという可能性だって、もはやゼロとは言えない」とも語った。
(『ABEMA的ニュースショー』より)