政治

ABEMA NEWS

2025年10月18日 10:01

「大連立をまとめ上げる腕力ある政治家は…」 「多党化時代」の連立交渉どこまで飲める?維新の“12政策”…“議員削減“に石田健氏「なんで今コレ?という声が」

「大連立をまとめ上げる腕力ある政治家は…」 「多党化時代」の連立交渉どこまで飲める?維新の“12政策”…“議員削減“に石田健氏「なんで今コレ?という声が」
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 総理指名選挙に向けて各党の駆け引きが激化している。力のバランスが変わり本格的な多党化を迎える中、連立の行方はどうなるのだろうか。

【映像】高市氏「参政党と政策は近い」に神谷氏、“笑顔”

 15日に行われた立憲・国民・維新の3党協議。連立の枠組みや基本政策協議が始まったかと思いきや、高市総裁から吉村代表への働きかけで事態は急転した。高市総裁と吉村代表が連立を見据えた政策協議を行うことで一致し、16日に1回目の協議が行われた。

 この動きに、総理大臣を務める覚悟があると表明していた国民民主党の玉木代表は、「藤田さんも真剣に議論していただいていたと思っていたけど、自民党と連立で握ることが決まっていたのかと“二枚舌”みたいに扱われ、我々としては残念だなと正直思った。聞くところによると前から決まっていたらしいので、自民党とやるなら最初から言ってよという感じ」。

 自民との連立に向け維新側が求めたのが「副首都構想の実現」や「社会保険料の引き下げ」、「企業・団体献金の廃止」などを含んだ12の項目である。おおむね一致点があったようだが、折り合えなかったものもあった。

 公明党が連立離脱を告げたのも、企業・団体献金の在り方を巡る考え方の違いである。しかも公明党は規制を強化すれば存続を認めているのに対し、維新が求めているのは禁止と、より厳しい条件となっている。

 自民党は16日夕方、臨時役員会を開催し、今後の連立協議は高市総裁に一任することを決定した。その高市総裁は参政党の神谷代表と会談し、総理大臣指名選挙での協力を求めた。参政党は衆議院で3議席あるため、自民・維新・参政党が高市総裁でまとまれば過半数に達することになる。

 長期間続いた与党一強の枠組みが変わろうとする中、多党制時代の連立の在り方が問われている。この状況下で自民党内にはどのような空気が流れているのだろうか。テレビ朝日政治部・大石真依子記者は以下のように説明する。

「公明党の離脱がありどうなることかと思われたが、一気に維新との距離が縮まっている状況だ。自民党としては、このまま協議重ねて総理大臣の指名選挙で維新に『高市早苗』と書いてもらえる確約を取りたい。ただ、自民党幹部は最後がとにかく大事だと話していて、最後まで油断してはいけないと気を引き締めているような状況だ」(大石真依子記者)

どこまで飲める?維新の“12政策”

どこまで飲める?維新の“12の政策”

 与野党は、石破総理大臣の後任を選ぶ総理大臣指名選挙を10月21日に行うことで大筋合意した。連立を組むかが決め手となる局面だが、維新が突きつけた“12の政策”を高市氏はどこまで飲めるのだろうか。

 大石記者は以下のように見解を示す。

「『食料品の消費税率2年間ゼロ』や『企業・団体献金の禁止』などは、すぐには無理だ。それは織り込み済みの上で維新も投げていると思うが、実際、維新の中からも『主張をまるごと自民党が受け入れるとは到底思えない。期限を区切らずにだらだら先延ばしにするのが自民党のやり口だ』という話も聞こえている。しかしまずは高市氏が総理に選ばれないと維新の政策実現の話にならないため、とりあえずは総理指名選挙に向けてどの辺りで着地点を見出していくのかが今後の焦点になる」(大石真依子記者)

 ニュース番組『ABEMAヒルズ』コメンテーターで「The HEADLINE」編集長の石田健氏は、「“副首都”構想」や「国会議員の定数削減」について以下のように疑問を呈す。

「『“副首都”構想』は政治的にも強いアジェンダになりづらいし、『社会保険料の引き下げ』は改革をしなければならないという気運自体が自民党内からもいくつか出ていた中で、なぜ今、多くの国民が注目していないようなアジェンダをあげてきたのだろうか」「議員定数の削減も、なんで今これなのかというのは率直に思うし、いきなりポッと出たようなものを自民党内に飲み込ませられるのかというところもある」(石田健氏)

 20日までに結論を出すことはできるのだろうか。大石記者は「とりあえず何らかの結論を目指すだろう」と語る。

「維新は関西では強いが全国区で見ると衰退傾向になる中で、自分たちのカラーを出していきたいし、自分たちの訴える政策をやりたい。たとえ自民党は泥舟だと言われていても飛び込むしかないという選択肢になるのではないか。自民側からしても公明に離脱されて国民も距離を置く中で、首班指名でまず過半数を取るとなると、維新をとりあえず自分たちの側に持ってきたい。両者ともその点では利害が一致している」(大石真依子記者)

「多党化時代」の連立どうなる?

「多党化時代」の連立

 一方で、党内外から「総総分離案」が出ている。「多党化時代」で連立協議もうまくまとまらない中での総総分離について、石田氏は以下のように述べる。

「欧州のように大連立をしなければやっていけない時代が来ているところを考えると、次の政権の枠組みあるいは政策の中で、何を重視するかのプライオリティをつけることは今回に関しては、もっと早くからやっておけば『総総分離』も当然あり得たのではないかと思う。ただし重要なのは、日本で『総総分離』をして連立の形を決めるときに、支持を集めているが、連立の枠組みから漏れている政党の声が十分にすくい上げられないという社会的な分断、政治的分極化につながるリスクはある。多党化時代や大連立を考える際は社会情勢も考慮に入れるべきだ」(石田健氏、以下同)

「大連立の良いところでもあり悪いところでもあるのが、妥協の産物で決まっていくため党にとって一番重視することが妥協されるものとして選ばれてしまうこともあることだ。強引に大連立をまとめ上げるほどの腕力がある政治家がいるのかというところもポイントだ」

(『ABEMAヒルズ』より)

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