政治

ABEMA NEWS

2025年10月19日 18:16

「自民×維新」の急接近はなぜ? 総理指名選挙をめぐる駆け引き「公明党と玉木氏の動きで踏み切った」ジャーナリストが解説

「自民×維新」の急接近はなぜ? 総理指名選挙をめぐる駆け引き「公明党と玉木氏の動きで踏み切った」ジャーナリストが解説
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 総理指名をめぐってすったもんだのゴタゴタ劇。自民も野党も国民民主・玉木雄一郎代表の取り合いっこをしていると思っていたら電光石火のごとく維新と合体。しかも、維新が投げた連立入りの条件、議員定数の削減をまさかの自民が受け入れを表明した。一体、何が起きたのか。

【映像】玉木代表、維新に不満をあらわ(実際の様子)

 14日16時、自民党のベテラン議員・船田元氏は「総総分離でやってほしいと言ったが、それに賛同する意見が5、6人出た」と語った。つまり、石破茂氏が総理を続けて高市早苗氏が総裁を務めたら、という意見だ。高市氏は「今、自民党の総裁にはなったけど、総理にはなれないかもしれない女と言われている。かわいそうな高市早苗でございます」と話していた。

 一方、野党が結集すれば政権交代も可能だが、14日15時には立憲の野田佳彦代表が「政権交代できたのが1993年と2009年。自民党から政権を奪えたというのは、十数年1回しかなかなかチャンス巡ってこない」と語った。

 しかし玉木氏は14日10時に、「むしろこれは立憲民主党の問題だと思っていて、政権を担うということであれば現実的な安全保障政策に転換しないと国民の生命、財産、国家、国民を守ることはできない」と発言するなど、二人の距離はなかなか縮まらない状況だった。

 14日16時、立憲の安住淳幹事長は、「政権を交代して、政策実現するのが1番の近道だと思うのですが」との記者の質問に対し「ぜひそれ、玉木に言ってください」と回答。「玉木」と呼び捨てにして、イラついているようにも見えた。

 15日14時、自民党の高市総裁は、立憲の野田代表と会談。15時には国民民主の玉木代表と立て続けに会談した。

 そして、野党3党も候補一本化に向け党首会談が行われた。しかし、野田氏は「必要に応じてまた党首会談をやることが確定した」と述べ、玉木氏は「仮に私が内閣総理大臣に選ばれたとしても、その内閣が政権運営が厳しい状況になると正直思った。依然隔たりがあるなと」と語った。

 唯一、3党の見解がまとまったのは安住氏についてだった。玉木氏は「態度と口が悪いんですよ」、藤田氏は「安住さんは『玉木』って呼び捨て、藤田は『藤田くん』って言う」、野田氏は「行儀悪いんでね」とそれぞれ発言し、「安住氏は行儀が悪い」いう点は合意した。

 15日18時、まさかの人物が登場した。維新の吉村洋文代表は、「政策協議がまとまれば、首相指名で高市早苗と書くか」との記者の問いに対し「政策協議できちんと合意がまとまれば、そういうことになります」と答え、ここにきて、維新と自民が急接近した。

 すると玉木氏は、維新の行動について「自民党とやるんだったら最初から言ってよって感じ。ちょっと二枚舌みたいな感じで扱われて、我々としては残念だなと正直思いましたけれども」と述べた。

 この維新の行動に、中学生記者の川中だいじさんは「維新は今、すごく支持率が落ちているから野党みんなで集まって首班指名を『玉木』と書いて維新を再起させるのか、自民党と繋がって再起をさせるのかって考えた時に、多分これは自民党と繋がった方が維新の再建につながるのではないかという結論付けになったんではないだろうか」と分析した。

 さらに、「国民民主党との二枚舌でもあるが、選挙で連立を組むことはできないと言いながら、今回連立を組もうかなというのは日本国民への二枚舌だとも思う」と指摘。玉木代表については「維新と組んで、立民と組んで玉木氏を首相にしたら、首相っていうのは行政の中の最高権力者なわけだから。首相になってやりたいことをやればよかったのに、なんでこんな絶好のチャンスを逃したんだろう」と疑問を呈した。

 16日13時、高市総裁は参政党の神谷宗幣代表と会談。神谷氏は「石破総理よりも近いと思うし、野党側よりも近い」と発言した。

 一気にしぼんでしまった野党結集での「玉木総理」。野田氏は「まさか3党首の会談の後に吉村さんが上京されて、高市さんとそこまで詰めていくというところまでは予想していませんでした」と、驚きを隠さなかった。

 維新の「抜け駆け」だったのか。維新サイドは連立の条件に副首都構想や社会保障改革など、合わせて12項目の政策を自民党に提示。特に、維新は企業団体献金の廃止を求めていて、両党の主張、政策には隔たりがある。

 そして、吉村氏はテレビ番組で「議員定数の大幅削減をこの臨時国会にやるべきだと思っている」と主張。議員定数の大幅削減は議員にとって、あまりにも大きな痛みであり、自民が飲めるわけがないと思われていた。

 しかし17日16時、藤田氏は「大きく前進したものと受け止めている。今後、最終の詰め、調整を行っていく」と述べ、自民党は議員削減を受け入れる方針となった。

 これに中学生記者の川中だいじさんは「議員定数の削減で無駄を削るというのは、国民にはキャッチー。自分たちが当選できなくても良いから、これだけ改革をしたんだというふうに思う」と見解。続けて、「受け入れますよって言いながら、結果的にやらないっていうことを自由民主党はたくさんやってきた。意味のない、高市氏を首相にさせるためだけのものになると思う」と懐疑的な見方を示した。

 今後の展開については、「参政党は『高市早苗』と最終的に書くんじゃないだろうか。政策的には近いし、もしかしたら決選投票にもいかないのではないか」と予測した。

 一連の自民・維新の連立について、ジャーナリストの青山和弘氏が解説する。「公明党が連立から離脱し、ここから急に維新と自民の連立話が動き出したのは間違いない。やはり公明党が離脱したことで、最初にプライオリティが高かった国民民主との連立協議というのが暗礁に乗り上げた。つまり、公明党が離れて、国民民主が自民と連立を組んでも過半数を超えないから意味がないと引いた。そこに高市氏は焦りもあったし、どうしようとなった」と分析。

 一方で、「維新の側からすると、公明党と維新はやはり大阪で戦い合っているからあまり仲が良くなく、国民民主とやっているから『どうぞ』という感じで維新は引いていたが、国民民主も公明もいなくなったため、隙間が完全にできた。そんな中で、高市氏が維新側に声をかけて、一気にそこから話が進んだ」と説明した。

 そして、表面化したのが15日。「いきなり吉村氏が大阪からやってきて、まさに万博が終わって忙しいのに。急に連立視野に政策協議に入ることで一致と言うので、びっくりみたいな感じで、玉木氏も『言ってよ、先に』となった。実はもっと前から一気に話が進んでいて、この段階ですでに、議員定数の削減を、ある程度これは高市氏も飲んでくれるというのはわかって、絶対条件にあげてきたのだと思う。それによって、逆に条件にしなきゃいけなかった企業団体献金の受け口規制、維新が言っていたのは全面禁止だったが、そこを後退させて、議員定数の削減の方に焦点を当てるというやり方に出てきたということだ」。

 しかし企業団体献金について維新は「諦めてはいない」という。「一定程度前に進めることは多分合意すると思うが、ここで禁止するとか臨時国会でどうするという話にはならないのではないかと思う。これは明日(20日)の最終協議を見てみないとわからないが、公明党が離脱した理由よりも軽いもので合意するのでいいのかというのが焦点にはなってくると思う」。

 「ただ、吉村氏や藤田氏はすでに予防線を張っていて、『それだけじゃないんだ』と。全てのことで考えるのだから、それだけに焦点を当てられても困るみたいな言い方をしているので、その辺はすでにあまり攻撃されないように予防線を張ってきている感じだ」と語った。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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