自民党と日本維新の会が20日、政策に関する合意文書を交わして連立政権が誕生する見通しです。一方で今後の選挙に向けて危機感を抱く声も出ています。
自維連立 吉村氏らに最終判断を一任
「きょうの役員会としては、私とそれから吉村代表に一任という形で、きょうの会議は終えました」
19日、大阪市内で常任役員会を開いた日本維新の会。自民党との連立について、吉村代表と藤田共同代表に最終判断を一任することを決定しました。
「基本的には、すべて合意できたら(高市氏と)名前を書くということで、合意できなかったら書かないという。そういうシンプルなスタートで(協議が)始まっていますから」
20日にも自民と維新は連立政権樹立に向けた合意書に署名する見通しです。
両党の間で開きのあった食料品の消費税の廃止については継続協議とし、企業・団体献金の廃止については、高市総裁の任期の2027年9月までの実現を目指して協議することで折り合いました。
維新「閣外協力」か「フリーハンドを」
19日、常任役員会の終了後、日本維新の会前代表で、現在は顧問を務める馬場伸幸氏に話を聞きました。
連立はしても、維新からは大臣は出さず閣外協力すると言う馬場氏。
「これからもし協力関係が成立した時に、どういうことをやるのかということをよくご覧いただいてね、そこでもう一度評価していただければいいんじゃないかなと思います」
定数削減“絶対条件”に野党は猛反発
「(Q.議員定数の削減を年内に合意しないと連立組まない?)はい、そうです。これを口だけじゃなくて本当に高市新総裁のもとでやっていただけるかどうか。時期とすれば次の臨時国会、年内。その思いで高市さんと合意できるかどうか」
「議員定数の削減」が連立の絶対条件に急浮上しました。
「1割、例えば衆議院であれば500人いますから50人。これ50人ってなったら国会議員では今までやったことないと思いますから。でもそのぐらいの改革やって、日本を変えていきましょうと。僕は呼び掛けたいですね」
維新は国会議員の定数を1割削減する法案の年内成立を強く求めています。対象を衆議院の比例とすることで調整していて自民執行部は受け入れる方針です。
これに対し野党からはこのような声が上がっています。
「(議員定数削減は)さっさと処理しましょう。そして早く本来政治がやらなければいけない、国民のための政策、物価高騰対策、経済対策、こっちに早く移行しましょう」
国民民主の玉木代表は議員削減に賛意を示す一方で…。
「公明党が連立から離脱したっていうのは、政治資金の問題で自民党の基本姿勢に疑問を感じたからじゃないですか。その疑問を感じている相手と政治資金の問題についてうやむやにして次のテーマの定数削減というのは、私は順番が間違えていると思いますよ」
「社民党も本当に死活問題です。“身を切る改革”というけども“民主主義を切る改革”です」
「企業団体献金の協議が進まないから、これを定数削減の話に持っていくというのは、すり替えであるということも確認いたしました。臨時国会でこれを決めるべきだというのはあまりにも乱暴だと思います」
「議員定数の削減」公明党は…
維新が連立の絶対条件としている「議員定数の削減」で大きな影響を受けるのが比例区に多く依存する中小規模の政党です。
前回の衆院選で20人が比例区で当選した公明党は…。
「民意をどう反映していくかという重要な問題ですので、全党が入ってしっかりとじっくりと議論していくべき問題だと思う」
現職の竹内議員はこれまで、衆議院の比例近畿ブロックで6回連続で当選してきました。
公明党の前衆院議員で党中央幹事の伊佐進一氏。前回の衆院選で大阪6区から立候補し、維新の候補に僅差で敗れました。
「定数削減すればするほど、強い政党がより勢いが増すのは間違いありません」
維新が「議員定数の削減」を“絶対条件”にしたことについては次のように述べました。
伊佐氏は、今後行われる衆院選に危機感を募らせます。
大阪・自民議員ら「複雑な心境」
党首会談から急転し、進む自民・維新の連立協議。しかし、自民党の議員には困惑も…。大阪の自民党議員は、17日に党本部を訪れました。
「大阪は維新の本拠地でもありますし、公明党との協力が大変深くあった所でもありますので。他の県にはない特殊な事情があるので、我々の考えている思いなり、何なりについて、ご理解をこの段階でいただくのがいいと思っておうかがいをした次第です」
これまで自民党は、維新の本拠地・大阪で激しく対立してきました。去年の衆院選では、大阪の19の選挙区のうち15の区に候補者を擁立しますが、全てで維新に敗北。今年7月の参院選・大阪選挙区(改選定数4)では、維新が2議席を得たのに対し自民は議席を落としています。
「ありようによっては、我々が心配すべき状況はもちろんあると思う。自民党がちゃんと府民の声を代弁できる状況を、何らかの形で作っていく必要はある」
今年の参院選で大阪選挙区から立候補し、落選した自民党・柳本顕氏。かつて大阪市長選で、吉村氏や松井一郎氏に敗れていたこともあります。
「戸惑いは隠せない。支援者や応援してくださった方々も含めて、維新の会と連立を組むというのは複雑な心境がある。地方政治においても今後国政の動向に対して順応していくことを求められるかもしれない。まずもっては高市政権が誕生して、そのうえでどのような動きになるのか見守っていく」
ただ、戸惑いの一方で、政治が前に進むことに期待を込めています。
維新・地元市議は驚き隠せず…「少し不安」
一方、これまで大阪で自民と対立してきた維新は…。
「(自民と)連立っていう言葉が維新の政党に降りかかってくるとも思ってなかったので、やっぱり驚きっていうのが一番大きかったですね」
驚きが隠せないのは、大阪維新の会の佐竹市議。と、いうのも…。
「自民党は政治とお金の問題、全然反省していません。約束したことはやらない」(去年10月)
去年の衆院選で当時の馬場代表は自民党の政治姿勢を痛烈に批判していました。
さらに、7月の参院選で自民公明の与党が大敗した後も…。
「現時点において自民党と連立することは考えていない」(7月)
「地方の方々は少し不安になられる側面もあるのかなと。(一方で)これを機に自分たちの政策の実現を改革の推進力として捉えることができる。どちらかというと楽しみな方で捉えられるのかなと思います」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年10月20日放送分より)