自民党・高市早苗総裁の総理指名をめぐり、維新が高市氏指名の条件を突きつけた。一時は維新の連立入りもウワサされたが、最終的に「閣外協力」に落ち着くのではとの見方が強まっている。
ジャーナリストの青山和弘氏は、「閣外協力の方向だが、水面下で一番話を進めていた遠藤敬国対委員長が、総理補佐官として官邸に入る。これだけは確定しているが、大臣は出さない。ただ高市氏は『大臣を出して欲しい。2ポストいい』と言ったと、藤田文武共同代表も明言している」と説明する。
そして、「これを飲めば、維新が『絶対条件』と言っている、副首都構想は総務大臣、社会保障改革は厚生労働大臣。これを取れば維新が責任を持って、それらを進められる。ハードルは両方高いが、副首都構想は総務省の反対があり、医療費や年金の改革は自民党のバックに付いている日本医師会が反対する。維新がどうしてもやりたいなら、自分が大臣をやるのが近道だ」と指摘する。
しかし、「ここは閣外協力にして、ある種半分引いた状態で協力していくことになる」ため、「維新の覚悟が問われる」として、「首班指名選挙で維新は高市氏の名前を書くだろうが、議員定数の削減は本当にやるのか。やらなければ、連立から抜けて閣外協力も解消する可能性がある。不安定な状況で始まることは否めない」と見通した。
閣僚人事については「厚労大臣を維新から出したら大激震だ。医師会とかもひっくり返る。でもせっかくのチャンスなのに避ける。それを吉村洋文代表に聞くと、『いや、僕らはポストが欲しいわけではない』と。格好よく言うのはいいが、実際にやるなら大臣を取った方がいい。覚悟、責任を負うつもりはないのかと思う」と語る。
加えて、維新の場合は「厚労大臣をやれる人材がいるのか」という問題もある。「若い政党で、吉村氏は大阪府知事、藤田氏は共同代表だ。大臣経験者は前原誠司氏しかいないが、ここで前原氏を大臣にするのは、維新内のハレーションが大きい」。
また「1カ月前に(維新創設者の)橋下徹氏に話を聞いた。当時は小泉進次郎氏が総裁に就任する可能性もあったが、橋下氏は『連立を組んでも大臣は出さなくていい』と言っていた。そのため、そちらの方向に行っている面があるのでは」とも推測する。
民間登用の大臣として、橋下氏を起用することもできるが、「本人に聞いたが、『私は1市民だから』と、はぐらかされた。大臣1ポストで、民間から連れてくるのは、維新としてどうなのかという面もある」とした。
閣僚を出さない理由は、「自民党のことを信用できない」ことにあると予想するが、「信用できないなら、なぜ閣外協力するのか、という側面もある」と話す。「本当に政策を実現したいのなら、大臣を出した方が、自分たちの手で改革ができる」。
「維新は国民の人気が下がり、参院選でもかなり議席も票も減らした。起死回生のために自民に近づくなら、政策を実現しないと評価されない。半身で近づいて、『ダメだったらやめよう』では、誰が評価するのか。そこは思い切って飛び込んで行って、責任を負う姿勢を見せた方が、今後のためにもいいと思う。中途半端では、結局別れて『なんだ、この空騒ぎは』となり、評価につながらない」
維新議員は、閣僚ポストなしでも良いのだろうか。「大臣になりたい人もいるが、『大臣なんか出して離れられなくなったら、したたかな自民に維新が食われてしまうだけだ』という警戒感が強いのも確かだ」。
では実際のところ、維新の政策は実現できるのか。「副首都構想は橋下(徹)氏や松井(一郎)氏のこだわりでもある。大阪都構想は2回否決されて実現していないが、やっぱり維新の会の原点はそこだし、維新の会が盛り上がっていくにはこれしかないという部分がある」として「社会保険料引き下げは、税金を下げるのと同じ意味があり、働く世代にも恩恵がある“改革の本丸”だ。医療費の予算が爆発していて、日本の持続性のためにもやらないといけないという声がある。これは大きな改革でやれたらすごいが、閣外協力でやろうとしても、難しいのではないか」。
こうした背景もあり、「分かりやすくキャッチーで、国民にあまり利害関係者がいないためやりやすい」という議員定数削減の実現にかじを切ったと、青山氏は解説した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)