公明党が連立離脱を表明し、自民党が日本維新の会に急接近。そんな中、国民民主党の玉木雄一郎代表は何を思うのか。ジャーナリストの青山和弘氏と元衆議院議員の宮崎謙介氏が19日のABEMA的ニュースショーに出演した際に、言及した。
総理指名選挙に向けての動きについて青山氏は「玉木氏は、まず維新の会がそんなに簡単に自民党にくっつくと思っていなかったと思う。小泉(進次郎)氏にベットして話を進めていたので」とコメント。
「国民民主党からすると彼らは選挙でも勝ったし、あと玉木氏は総理大臣になりたい。だから、維新よりも圧倒的に野心が強い。そんな中で安売りしてもしょうがないし、いずれ自分が総理になるためには、もうちょっと自民党が自分たちのために働いてくれることを有権者にも見せてから徐々に近づいていこうという戦略をとった」と続けた。
しかし「徐々に自分を高めていく戦略が、その間に維新が隙間をバーンとついた感じ」と玉木氏に誤算があったとして「維新は失うものが無いし、総理大臣も求めていないから、維新のほうが自民党側からすると与しやすかった」と分析した。
さらに、青山氏は「玉木氏は早期解散を相当恐れていた」として「解散してきたら、自分たちももうちょっと議席を増やして、そうすれば自民党に対してもっと強い力を発揮できる、圧力をかけられる」「いま高市氏は『総理大臣は玉木氏でもいい』と絶対に言ってこなかったと思うが、そのときは『自分を総理にするなら』というバーゲニングパワー(交渉力)が上がっているかもしれないことも視野に入っていたと思う。ただ、そうやっているうちに今回はトンビに油揚げみたいな形になってしまった」と解説した。
宮崎氏は「玉木氏は今回、もうちょっと賢く動けるチャンスがあったんじゃないかなと正直思っている」と切り出すと「最初から立憲と国民と維新の組み合わせで本当にやっていけると思ったのかなっていうのがすごくあって。多分玉木氏は、最初から『無理だろう』と思っていたんじゃないか。本心は『いやいや、自民党だよ』と。自民党がもうちょっと折れてきたときに『しょうがないな』といこうと思っていたのかなと。あっちにもこっちにもいい顔したり、格好つけすぎちゃったのかなという印象」とコメント。
加えて「私の周りの人たちに聞いていても『玉木氏は意外と決めるところを決められなかったんだな』という評価になっちゃっているのが残念」と続けると「いわゆる『二枚舌』の話をするけど、維新がもともと自民と組もうとしてる動きがあったのに、ここ(自民維新の連立)がもう一回来ることを頭に入れていなかったこと自体が相当甘いと思っている」と厳しく評価した。
青山氏も「この世界、裏でいろいろな交渉があるのは当たり前。それを二枚舌と言っていたら何も始まらない」と同意して「高市氏が(玉木氏に)財務大臣兼副総理ぐらいを用意していたという話になっている。それをとって、そこから実際に自分がやるべきこと、例えば178万円に103万の所得の壁を引き上げるとかを実現させてから総理大臣への階段を上がっていくという。結果論かもしれないけれど、もっと実利を優先しても良かったんじゃないか」と語った。
そして、今後玉木氏が財務大臣になる可能性について「ゼロとは言わないが、もう実は自民と維新で過半数に近づいてしまった」と過半数まであと2議席で、参政党などが加わる可能性もあると指摘。「もしかすると首班指名選挙も、自民と維新とそれ以外の何人かで一発目で決まり、決選にならない可能性も出てきている。そんな中で玉木氏がいくら出てきても、要は一気にバーゲニングパワーが下がっちゃっている(状況)。それは玉木氏が一番よくわかっていると思う」と推察した。
宮崎氏は「玉木氏は公明党がいなくなったから行く意味がなくなったとおっしゃっていたと思うが、吉村(洋文)氏は逆で公明党がいなくなったから歩み寄って来た。そこの動きをどう捉えるかで明暗が分かれたんじゃないか」と自身の考えを述べた。
今後の政治日程は、10月21日に高市氏が臨時国会の総理指名選挙で総理に選ばれた場合、その後高市内閣が組閣される。新総理となり所信表明演説をしたあとに26日にはマレーシアでASEAN首脳会議、27日にはトランプ大統領が来日するとみられ、新総理と会談する予定となっている。
青山氏は、総括として「高市氏が(総理に)選ばれるのはほぼ間違いない」と明言した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)