政治

報道ステーション

2025年10月21日 01:54

“閣外協力”どんな連立政権に…総理補佐官に“パイプ役” あす初の女性総理誕生へ

“閣外協力”どんな連立政権に…総理補佐官に“パイプ役” あす初の女性総理誕生へ
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21日の臨時国会で、自民党の高市総裁が、新たな総理大臣に選出された場合、組閣初日から取りかかるとみられているのが、経済対策です。

日本維新の会が示していた12項目のテーマのうち、経済財政政策として掲げたガソリンの“暫定税率の廃止”。臨時国会で、廃止法を成立させることで合意しました。ただ、これについては、与野党6党で、すでに“年内廃止”を決めている既定路線です。

自民・公明・立憲の税調会長

先週には、自民・公明・立憲の税調会長が協議をしていて、財源をどう確保するか、自民党が今週中にも示す方針になっています。

物価対策をまとめ補正予算でも一致

このほか、自民と維新は、電気やガスの料金の補助をはじめとする物価対策を早急に取りまとめ、臨時国会で、補正予算を成立させることでも一致しました。

自民党 高市早苗総裁
自民党 高市早苗総裁
「多くの国民の皆さま、企業の皆さま、特に賃上げ税制の恩恵も受けられない、それでも一生懸命、歯を食いしばって、いい技術を持って頑張っている地方の中小企業の皆さまがいる。この状況を脱するために、臨時国会、とにかく経済対策をしっかり打つ。補正予算を仕上げる。ここは注力しなければならないところ」

長い目で見た経済政策でも合意しました。
例えば、高市氏と維新が共に主張している“給付付き税額控除”です。それぞれの所得に応じて、減税や現金給付を行う給付付き税額控除については、早急に制度設計を進め、その実現を図ることになりました。

消費税減税

両者の意見が割れていたのは、参議院選挙の争点の1つにもなった消費税の減税です。

吉村洋文代表

維新は、選挙戦で、当面の物価高対策として、食品の消費税を2年間ゼロにして、家計の負担を減らすと訴えていました。

対する高市氏は、こう話していました。

自民党 高市早苗総裁(先月19日)
自民党 高市早苗総裁(先月19日)
「現実ですね、レジの問題がある。これを見直すことになると、1年ぐらいはかかってしまうと、いまの物価高対策に即効性はないと思いました」
両者が出した答え

20日、両者が出した答えは「2年に限り、消費税の対象としないことも視野に法制化を検討する」というものでした。減税するとも、しないとも言わない玉虫色の結論に落ち着けることで、連立合意に至った格好です。

現金給付は撤回

一方、自民党が参院選で公約にうたっていた国民1人あたり2万円の“現金給付”は、維新の反対を受けて、撤回することになりました。

こうした経済対策などを、どのような布陣で実行していくのでしょうか。

外務大臣に茂木敏充元幹事長、官房長官に木原稔前防衛大臣

21日に発足する見通しの新内閣では、外務大臣に茂木敏充元幹事長、官房長官には旧茂木派の木原稔前防衛大臣を、それぞれ起用する方向で調整していることが、すでにわかっています。

旧茂木派は、総裁選の決選投票で高市氏に票を寄せ、勝負を決定づけたとみられています。

高市総裁

また、高市氏は、女性閣僚の数で最多の6人以上を目指す考えで、片山さつき氏、松島みどり氏、上川陽子氏らの名前が挙がっています。

第2次岸田再改造内閣

これまでは、女性閣僚5人が最多です。2001年の小泉内閣や、高市氏が総務大臣に任命された2014年の第2次安倍改造内閣、そして、これまた高市氏が経済安保担当大臣に就いた2023年の第2次岸田・再改造内閣の3回です。21日、6人以上が閣内に入れば、これらを上回ることになります。

維新との連立合意

このほか、維新との連立合意には、「ルールや法律を守れない外国人に厳しく対応する」との名目で、新たな大臣ポストを設けることも盛り込まれました。

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◆自民・維新の連立は、どのような政権となるのでしょうか。
政治部官邸キャップの千々岩森生記者に聞きます。

閣内協力と閣外協力

(Q.維新側は“閣外協力”という形をとりましたが、維新の狙いはどこにあるのでしょうか)

千々岩森生記者
「まず、整理しますと、これまでの公明党、自公政権、これは閣内協力で、大臣ポストを得ていました。閣議に参加し、政策立案、閣議決定に関与していく。リスクという意味では、閣僚として国会に出ますので、野党からの追及を受ける。閣外協力、ケースとしてレアですが、政策協定を結びます。“与党”という立場に入るのですが、大臣ポストがないということで、閣議にも参加しませんので、影響力という意味では少し弱まるという形です。吉村代表は、先日、連立という意味では、閣内に入るという言い方もしていました。当初は、そっちにいくのかなと思っていましたが、20日の会見で「我々まず党としてしっかりと連立政権の中で力を発揮していきたい。その先については、しっかりと閣内に入るぐらいの力をつけていきたい」と話していました。なるほど、そういうところもあるのかと」
合意後の会見

(Q.ちょっと控えめですね)

千々岩森生記者
「そうです。まだ、その力はないんだという感じも受けました。もう一つ、維新の中で、『まだ自民党とそこまで信頼関係がない』『希薄なんだ』というような声も聞こえてきて、藤田さんは否定していましたが、ちょっと半歩下がるようなところがある。自民党からすると、場合によっては、連立を抜けるのではないかという、危惧も抱えるようなスタートではあります」
遠藤国対委員長

(Q.連立にあたってキーパーソンの名前、それが維新の遠藤国対委員長。総理補佐官に起用する見通しとなっていますが、この人事をどう見ますか)

千々岩森生記者
「これは非常に興味深い人事ですね。閣内協力だとすると、ポストは閣僚だけど、今回、入らないといいました。閣僚だとあくまで役所に勤務する形ですけど、総理補佐官に入ると、官邸の建物に常駐します。総理は5階、総理補佐官は4階。階は違えど、時の総理大臣、高市氏のそばに常に控えて、情報にも常に接することもできるし、自分からも維新の情報をインプットできる。特に、遠藤氏は、連立工作に携わった人に言わせると立役者だと。それだけ、自民党の中に太いパイプ、さまざまなパイプを張りめぐらせている人で、この人が、官邸の政権の最深部、深いところに入るというのは、非常に興味深いと思っています」

20日、連立するにあたっての合意書が交わされました。
合意書では12項目が挙げられていますが、焦点となっていた4つの項目、経済財政政策、社会保障政策、統治機構改革、政治改革についてみていきます。

【経済財政政策】
飲食料品は、2年間に限り、“消費税ゼロ”も視野に、法制化を検討する。

【社会保障政策】
医療制度改革の具体的な制度設計を、今年度中に実現し、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げを目指す。

【統治機構改革】
 副首都構想について、2025年の臨時国会中に自民・維新両党による協議体を設置し、2026年の通常国会で法案を成立させる。

【政治改革】
企業団体献金の廃止について、2025年の臨時国会中に協議体を設置し、高市総裁の任期中に結論を得る。議員定数削減について、2025年の臨時国会中に議員立法案を提出し、成立を目指す。

焦点となっていた4つの項目

(Q.『成立させる』『成立をめざす』という言葉の一方で、消費税は『検討』、企業団体献金の廃止については『高市総裁の任期中に結論を得る』と、フワッとした表現になっています。これをどう見ますか)

千々岩森生記者
「消費税は、結論から言うと、可能性は低いと思います。高市氏も、もともと言っていましたが、総裁選のなかでは、棚上げしていました。もっと可能性が低いのは、企業団体献金の廃止。そもそも、自民党は企業団体献金を悪いと思っていませんので、廃止ではなく、公開、透明化していくという立場。これに維新も、一定の理解を示しています。これは、やらないに等しい状況ではないかと見ています」
高市総裁と吉村代表

(Q.そのうえで、政権を運営していくうえでカギになってくるのは、どの政策でしょうか)

千々岩森生記者
「維新が絶対条件と言っているのは3つあります。『議員定数削減』『副首都構想』、これはよく出てきますが、3つ目の『社会保障政策』。これは、増え続ける医療費を年間4兆円、下げて、その分、国民1人あたり6万円、事実上、手取りが増えるような形を作っていくという趣旨の考え方ですが、これは、我々一人一人に恩恵はもちろんあるけれど、場合によっては、医療費の負担が増えたり、これまで補助されていたものがなくなったりと、痛みを伴う改革ということで、メリット・デメリット、大きな注目をされていくものだと思います。いずれにしても、これは、維新は絶対条件の一つに挙げていますので、個人的に非常に注目しています」
高市総裁

(Q.21日、組閣ですが、 閣僚人事のどこに注目しますか)

千々岩森生記者
「社会保障費という意味では、厚労大臣。本当は、維新が自分でとって進めるのが一番の筋だと思いますが、これが誰になるのか。それから目玉ポスト、重要ポストは財務大臣のポストがまだ見えていません。いくつかキーになるポストもあります。前夜で、まだ見えていないというのは、結構、珍しいケースであります」
千々岩森生記者

(Q.副都市構想、トランプ大統領の来日も控えています。このあたりもポイントですね)

千々岩森生記者
「そうですね。総務大臣かもしれない、防衛大臣のポストも非常に重要になってくると思います。その分野に詳しいだけでなく、特に維新と組むということは、やりあっていかないといけない分野もいくつも出てくる」
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