21日、臨時国会で自民党の高市早苗総裁が女性として初の総理大臣に選出され、自民党と日本維新の会による連立政権が発足する見通しです。
「定数削減」「企業献金」進むのか
20日午後1時、知事として大阪府議会に出席していた、日本維新の会の吉村洋文代表。その5時間後、東京・永田町にその姿を見せました。
笑みを浮かべ合意書に署名する高市総裁。一方、吉村代表はやや緊張した面持ち。歴史的瞬間に集まった報道陣の数は、会場からあふれ出てしまうほどです。
「とにかく今、安定した政治が大事である。それがなければ強い経済政策も打てないし、力強い外交政策も打てない。安全保障も同じです。政策の協定に署名をすることができた、合意することができた。大変大きな1歩だと思っております」
「誰かに何かをやってくださいという思いはありません。我々自身が汗をかいて前へ進む政治、それをしていきたいと思います。本日、自民党の皆様と連立合意を結ばせていただくことになりました。非常に責任感、そして重い決断をしたというふうに思っています」
合意書に書かれていたのは、維新が「12本の矢」と称した12の政策項目です。吉村代表が譲れないとしていた「議員定数の削減」については…。
「この度、自民党と日本維新の会の間で、1割を目標に衆議院の議員定数を削減するため、令和7年臨時国会において、議員立法案を提出し成立を目指す」
「過去に民主党政権だった時に、当時の民主党の党首であった野田佳彦さんと、そして亡き安倍晋三総裁でございましたけれども、あの党首討論、鮮明に覚えております」
「定数削減と選挙制度の改正を行っていくと約束している。今この場でそのことをしっかりやっていくと約束しますよ」(2012年11月)
「最悪の場合でも必ず次の国会で定数削減をする。制度ができるまでそれを担保する。そこをぜひ約束してほしい」
「16日に解散をします。やりましょう、だから」(2012年11月)
「16日に選挙をする。約束ですね。よろしいんですね」
2012年、民主党政権で総理だった野田氏は、翌年の通常国会での議員定数削減の確約と引き換えに、衆議院解散に応じましたが、次の安倍政権で実行はされませんでした。
「そのまま衆議院が解散され、また政権交代になったわけですが、まだお約束を果たせていません。当時の約束も含めて、1歩でも前に進める、約束を守る。こういった思いで合意をさせていただいております」
また、企業団体献金の廃止については協議体を設け、およそ2年間の高市総裁の任期中に結論を得るとしました。
野党からは次のような声が上がっています。
「定数削減は定数削減で、私ども賛成の方向でありますけれど。まずは政治とカネの問題を忘れないでしっかりやり抜くということが大事だと思っています。この議論はしないで、2年後にしましょうみたいなね。そういうやり方はやっぱりおかしいというふうに思います」
「消費税の減税については、検討し続けるということになっていますし、具体的な他の項目についても『目指す』であるとか、『協議機関を設ける』ということで、名言明示、確定しているものがそれ以外には見当たらない」
「企業・団体献金につきまして、2年以内に協議体を設けて協議をするということで、実質、我々が自民党さんから受けた今後検討するということと変わっておりませんでした。なんら進展のないもので、大変残念に感じております」
「新たな顔」巡り翻弄…老舗に異例事態
永田町からおよそ240キロ、新たな総理が決まるまでの2週間目まぐるしく変わる政局に翻弄(ほんろう)されていた人もいます。
「高市新総裁が決まってからちょっと動きが止まっていたので、やっと動き出せる…。ホッとしています」
事実上新たな総理が決まったニュースにホッと胸をなで下ろしていたのは、陶磁器の街・岐阜県土岐市で100年以上続く窯元の5代目加藤貴仁さんです。その理由は…。
この会社では、およそ50年前から歴代総理の似顔絵が描かれた湯飲みを製造・販売。新たな総理が誕生する度に似顔絵を追加してきました。
今月4日、新たな自民党の総裁が高市氏に決定。似顔絵も準備し、新たな湯飲みの作成を始めようとした矢先、予期せぬ自公の連立解消。さらに、新総理候補に国民民主党の玉木代表の名前まで浮上しました。
そんな加藤さんの気持ちとは裏腹に、新たな顔が決定する前から大量の注文が入る異例の事態になっています。
高市新総裁が決まった直後から、2週間でおよそ5000個もの注文が殺到しました。
ちなみに、過去に販売した湯飲みで最も売れたのが…。
熱狂的な人気ぶりと在職期間の長さから、およそ30万個を売り上げる大ヒット商品になりました。
一方で最も販売数が少なかったのが…。
いよいよ21日に第104代総理大臣が決まります。
21日午後の総理指名選挙で決まり次第、制作を進め、早ければ24日から出荷を始めるということです。
初の女性総理に備え 生花の準備急ピッチ
ずらりと並べられたコチョウラン。都内の生花を取り扱う会社では、総理大臣指名選挙を前に急ピッチで準備が進められていました。
「(新総理に)決まった瞬間から発注が来ますので、できたら1時間、2時間のうちにお届けをするという。(コチョウランは依頼主の)誰が最初に届けるかも重要なので」
「トータルするとうちの扱いでいうと、1000鉢ぐらいが何日間の間にお届けさせていただく量かなと」
部屋一面に置かれた白いコチョウラン。コチョウランは「幸福が飛んでくる」とも言われていて、政界では当選祝いなどの贈り物として長年親しまれてきました。ただ、今年は例年と異なるところもあります。
高市総理誕生が確実視されるなか、白だけではなく“ピンク”のコチョウランも多く用意しているといいます。
さらに、高市氏1人だけへの備えではありません。閣僚人事では過去最多の5人を超える女性が選ばれる可能性もあり、ピンクのコチョウランをどれほど用意するか頭を悩ませています。
「(Q.白とピンクの在庫は?)(いつもは)白9:ピンク1くらいで、それを白8:ピンク2くらいに今回はさせていただいております」
「(Q.異例でみんなピンク選んだら?)温室(農園)から緊急事態に夜中から運んでこないといけない」
「(Q.ちょっと分からないですよね)分からないですよね」
新政権発足へ “女性大臣”顔ぶれは
注目される女性の入閣。これまで名前が挙がっているのが、総裁選で高市氏の推薦人を務めていた片山さつき元地方創生担当大臣(66)です。
「日本列島を強く豊かに。高市早苗、勝つぞ!勝つぞ!」(先月22日)
実現すれば、2018年以来2度目の入閣です。総裁選の時は、高市氏の近くで応援してきた片山氏。公明党が離脱した際には、高市氏に対する厚い信頼を強調していました。
女性閣僚候補は他にもいます。同じく推薦人の一人、松島みどり元法務大臣(69)です。
高市氏が総裁に選ばれた際には、感極まったのでしょうか、涙をぬぐう姿も見られました。
「私は客観的事実として女性初(総裁)という気持ちで高揚しています。政策は人の意見を聞いてとことん詰めていく人ですから。高市さんならできる」(4日)
もし入閣が実現すれば11年ぶり、こちらも2度目の大臣ポストとなります。
他にも、女性閣僚候補として岸田内閣で外務大臣を務め、総裁選では小泉氏を支持した上川陽子衆院議員(72)の名前も挙がっています。
一方、連立を組む維新は閣僚を出さない「閣外協力」となります。
「我が党としては、与党として初めての経験でもあります。我々もしっかりと閣内に入るぐらいの力をつけていきたい」
21日に召集される臨時国会。高市総裁は総理指名選挙で第104代総理大臣に選ばれ、憲政史上初の女性総理として新内閣を発足させることになります。
「これから日本を前に進めるために精いっぱい働いて参る所存でございます」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年10月21日放送分より)