総理となった高市氏ですが、これまでの道のりは決して順風満帆ではありませんでした。高市早苗新総理大臣を街の人はどう受け止めているのか聞きました。
自ら稼ぎ大学進学 「政治」志したワケ
「皆様こんばんは。第104代内閣総理大臣に任命されました、高市早苗でございます」
憲政史上初めて誕生した女性総理。しかしこれまでの歩みは決して平坦ではありませんでした。
社会起業家、たかまつなな氏との対談では…。
「親は共働きで、当時は割と共働き珍しかったんですが、私が小学校から帰ってきたら、弟のおむつ替えたり、ミルクあげたりしてですね。なんか一回、子育てをやったような。小学生の間は、あんまり友達と遊べなかったですね」
弟の世話で友達と遊ぶ時間もなかったという子ども時代。さらに大学受験での苦労話も。
「ご両親に『短期大学以外に行くんだったら学費を1円も出さない』と言われて、神戸大学の学費はご自身で?」
「そうですね」
4年制大学への進学を希望していたという高市氏。ところが両親の強い反対にあったといいます。
「短期大学の方が当時、女性の就職としては有利だと言われてたんで、短期大学を出て、できたら南都銀行か、県庁か、近鉄電車に入って、そこでいい男の人を捕まえて早く結婚してほしいと。それが親のすごく強い希望だったので」
親の反対を押し切り大学に進学。その受験費用や学費は自ら出していたといいます。
「ご自身で払うの大変じゃないですか。どうやって工面?」
「高校の時、ずっとバイトしてたんでお金はちょっとずつためてたんです。高校の時は飲食店とか、あと着ぐるみに入って看板持って立ってるだけとか。ずっと一生懸命やっていたんで。それなりに受験のお金ぐらいはたまった」
大学に入学してからも家庭教師など複数のバイトを経験。学費を賄っていたといいます。
政治家を志すきっかけについて、2011年に行われたインタビューではこう話していました。
松下幸之助氏と出会い、松下政経塾で学ぶなか、国政を目指すようになったといいます。
再出馬を決めた父の言葉
1992年、31歳で初出馬した際には。
「最低限、出馬に必要なお金は自分で働いてためなきゃいけない。貧乏生活。小汚い所に住んで、食費や洋服代や化粧品代をなるたけ使わないようにして。31歳になった時に約2000万円たまったんです」
しかし節約生活で選挙資金を貯めて挑んだ選挙で落選。そのうえ、2000万円も失いショックを受けたといいます。
落選から1年後、再び政界へと挑戦する決意をしますが。
周囲からは「2回続けて落選したら政治生命が終わる」と、出馬することに反対する声が多かったといいます。
そんな時に後押ししてくれたのは、かつて大学進学に反対していた父親でした。
「俺の退職金は選挙の費用として全額使ってもいい。持って生まれた運を信じて全力投球しろ。絶対勝てる。握手とお辞儀を忘れるな」
手紙を読んだ翌日に出馬会見を行い、2度目の選挙で初当選を果たしました。
初当選から32年。女性初の総理となった高市氏。夫である元衆院議員、山本拓氏も日本初の「ファースト・ジェントルマン」になりました。
2人は2004年に結婚。その後「政治スタンスの違い」を理由に離婚しますが、2021年に再婚しました。
介護業界と運送業 現場の声
「介護報酬について、報酬改定の時期を待たずに、働いておられる方々の処遇改善につながる補助金を前倒しして措置させていただきます」
就任後の会見で、介護現場などへの支援を表明した高市新総理。現場からは期待の声が上がります。
「私たちと同じ目線で国から反映してくれるというのは すごく期待感もあります」
「女性目線でいろいろ改革していただけると」
神奈川県厚木市で4つの介護施設を運営するこの会社。介護業界全体が「上がらない報酬」と「人手不足」に悩まされています。
「やはり報酬が介護をやるにあたって上がってくれるというところが一番求めているところでもありますし、それが一番職員にも還元できることかなと思っています」
高市氏が支援を表明していることに期待感もある一方、介護報酬が物価上昇を上回るほどになるのか不安もあるといいます。
高市氏が目指す、ガソリン税の暫定税率廃止。トラック業界では…。
「ガソリン減税でやってくれるっていうんだったら、トラック業界の会社としては応援するわけじゃないですか」
ひと月に23万リットルの軽油を使うというこの会社。高市氏は、ガソリン税の暫定税率に加え、1リットル当たり17.1円上乗せされている軽油引取税の暫定税率も廃止する方針で、新年度までに廃止するのが望ましいとしています。
「(Q.減税されたらどれくらい下がる?)会社的には(1カ月)400万円くらい下がります」
「(Q.だいぶ下がりますね)だいぶ下がります」
労働条件の厳しさもあり人手不足が深刻なトラック業界。
「全然35歳以下っていうのが入社してこないので、若手育成をしなければ、この業界は将来非常に、もっと人手がいなくなって、厳しい状況に陥ると思いますね」
この会社では、暫定税率の廃止でできる資金を若い人材の確保に役立てたいと考えています。
「当社としては、今SNSで色々募集活動はしているんですけれども、それに関しても結局お金がかかるわけですよ」
高市総理の誕生で広がる「期待」と「不安」…。
物価高いつまで?警戒感も
日経平均株価は、積極財政を掲げる高市総理誕生への期待感などから、一時5万円の大台目前まで上昇。2日連続で終値の最高値を更新しました。
「上がり続けてるので、またどこかで下がるタイミングがあるのかなと思いますけれども。上がることはもちろんうれしい」
「(高市総理の誕生に)不安しかないですね。しばらくはいろんなところ(政党)とくっつきあってやってくのかなと思いますけど。不安定ですよね」
物価高対策を早く進めてほしいという声も上がっています。
「物価が高いからね、今はね。その分年金も上がればいいんですけどね。上がらないじゃないですか」
70代女性
「食料品(の消費税)を下げてもらいたいよね」
「昔はなかったじゃない。だからせめて5%くらいとか」
一方、海外からは、高市新総理の誕生に警戒する声が出ています。
「今後、高市氏が日韓の領土や歴史の問題で発言を強めたり、対応を強化すれば、両国間の葛藤は不可避だ」
中国国営メディアは、高市氏の経歴などを振り返り「女性版安倍総理とも呼ばれる」と紹介。台湾を巡る政治姿勢を警戒する報道も出ています。
「この内閣は決断と前進の内閣です。国民の皆様とともにあらゆる政策を1歩でも2歩でも前進させていく」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年10月22日放送分より)