10月21日、自民党の高市早苗総裁が衆参両院の総理指名選挙で第104代首相に選出された。自民党と「閣外協力」という形で連立を組むことになったのが、日本維新の会。藤田文武共同代表は「自民党を壊すことが大事」と述べているが、その狙いや展望について、『ABEMA Prime』に出演した政治評論家でジャーナリストの平井文夫氏が見解を述べた。
『月刊 正論』2025年11月号の対談で、平井氏の「自民党の中の優秀な方が別の政党を作ったり移籍すれば、日本の政治は活性化する?」との質問に対し、藤田氏は「政治機構を変えるべきだと思っている。私は『自民党を割る、壊すことが一番大事』だとずっと答えてきた」と話している。
平井氏はこのインタビューを振り返りつつ、「藤田さんいわく、“自民は優秀な議員が多いけれども、自民党そのもののガバナンスは効いていない。大きい船が自分で向きを変えられないぐらいの状態になっているから、もう壊れたほうがいい”と。今回、もう壊れそうになっているから高市さんが選ばれたわけで、議員定数削減も“やります”と返ってきたことで、一緒にやっているのでは」との見方を示す。
“閣外協力”については、「自民党は26年間連れ添った旦那さん(公明党)が出ていった。新しいボーイフレンド(維新)と一緒に住むことになるが、“すぐに籍は入れません”と。公明党とは選挙協力したいわけで、未練がある。一方で維新が言いたいのは、“本当に俺のこと好きなんか?”ということだ」と表現した。
そんな中、高市氏は「次は入りや」と入閣を示唆したという。平井氏は藤田氏の考えとして、「何かのタイミングで、お互いの信頼が本当にできた時に、(閣僚)に入ってもいいと考えていると思う」「副首都構想やカジノなど、与党にいたほうがいいことがいっぱいある。おそらくそっち(のメリット)が大きいのではないか」と推察した。
高市氏は総理就任会見で早期の衆議院解散を否定したが、平井氏は「解散するとしたら、定数削減で揉めた時」とみる。「あまりにもひんしゅくを買うので年内はできないけども、年明けはあり得ると思う。解散するとしたら定数削減で揉めた時、つまり、“やれやれ”と言う有権者と、反対する抵抗勢力という構図を作れればおいしい。それなら早期解散はあり得るだろう」。
公明党の選挙協力がなくなった自民党は苦戦するのではないか。ある自民党議員の秘書の発言として、「意外といいよ。公明党がいないから来る票もあるし、公明党がいるから嫌だと投票してくれない人もいた」という内容を明かした。
タレントのパックンは「今までの旦那は政治理念が少し違ったが、新しく付き合ったボーイフレンドは親和性がある。次の選挙で何の党になるのかというと、中道よりも右派の塊。それで票が増えて議席数が増えれば、“新しい自民党は大成功”と見られる」と投げかける。
これに平井氏は、「今めちゃくちゃ困っているのは、参政党と国民民主党。自民党から取ってきた票が、全部戻ってしまうかもしれないからだ」との見方を示した。
最後に平井氏は、自民党と維新の連立が上手くいくための“キーマン”を明かした。「維新の国対委員長の遠藤敬さんを官邸(内閣総理大臣補佐官:連立合意政策推進担当)に入れている。彼は議員宿舎で“たこパ(たこ焼きパーティー)”をやることで有名で、政治家と官僚が参加する。僕も1回行ったことがあるが、たこ焼きがめちゃくちゃ美味しい。安いし酒も持ち寄りなので“飲み食い政治”などと言われないし、そこのコミュニケーションが大事」。(『ABEMA Prime』より)