21日、自民党の高市早苗氏が臨時国会の総理指名選挙で総理に選出された。一夜明けた高市政権発足後の株価は、日経平均株価午前の終値が総理に選出された21日より238円安い4万9077円だった。連日の高値への警戒感や、21日のアメリカでハイテク企業を中心としたナスダック総合指数が下落した影響で、一時700円以上値下がりした。
【映像】パープルのワンピースで颯爽と現れた片山さつき氏(実際の様子)
経済対策最優先の考えを示す高市新総理だが、今後の経済政策はどうなるのか。ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介氏がポイントを解説した。
■片山さつき財務大臣の起用でバランス?

神庭氏は「注目は片山さつき財務大臣」だとして「財務大臣のポストは誰になるのかというので、ひょっとして国民民主との連携があって玉木雄一郎氏のために開けていたのかという説もあったが、ここに来て片山氏が入った」とコメント。
さらに、高市氏と片山氏の経済政策に注目して「高市氏は積極財政を強く打ち出している。一方で片山氏は元々財務省にいた方で、主計局で自衛隊の予算をズバズバ削ったり、政治家になってからも生活保護費の見直しを訴えたりとコストカッターとしての印象が強い。緊縮財政とまで言えるかはわからないが、少なくとも積極財政のイメージはあまりない。財務省の内情のこともよくご存知のはずだから、そこはある意味バランスを取ってきたのではないか」との見方を示した。
「高市氏が積極財政全開でいった場合に危惧されることとして、日本版トラス・ショックのように株安、債券安、通貨安のトリプル安に陥らないかが懸念されていた。高市氏は以前から『責任ある積極財政』を訴えていたが、片山氏が『責任ある』の部分を担当し、高市氏が『積極財政』を推進する分業体制を敷いたようにも見える」(神庭氏)
■高市総理への市場の期待感

21日、日経平均株価は4万9316円と史上最高値を更新。高市総理に対する市場の期待感が高まっている。こうした状況に神庭氏は「『高市トレード』『高市ラリー』と言われているが、積極財政で市場の期待値としてもすごく高いと思うし、年内5万円も十分視野に入ってくるのかなと思う」と述べた
「短期では株高も期待できるし、経済的に上向きそうだと考えている市場関係者が多いだろう。ただ、少数与党で政権運営に行き詰まって野党の要望を次々にのみ込まざる得なくなり、あまりにバラマキに傾斜した場合、中長期では国債安や通貨安を招く心配もある」と指摘。
しかし「片山氏はドル円に関してロイター通信のインタビューで『120円台が実力との見方が多い』という言い方をしており、今円安に触れすぎているという危機感はおそらく持っているはずだ。円安が原因でインフレが加速しており、そこは是正したいと考えているのではないか。片山氏が重しになって、責任ある積極財政の『責任ある』の部分のバランスが働く可能性がある」とした。
また、維新の閣外協力に触れて「維新は主要政党の中ではほぼ唯一の小さな政府志向。早速、2万円の給付金をバラまくのはやめようという話になっている。高市政権の誕生に大きな影響力を発揮した麻生太郎氏も長く財務大臣を務め、財政規律を重視している。麻生氏や片山氏、維新の存在が財政面では一定のストッパーになる。高市氏からすると、“高市カラー”全開でいけない歯がゆさはあるかもしれないが、トータルで見たときにはバランスが取れた布陣になっている」と評した。
■サナエノミクス三本柱で経済再生へ

高市総理が掲げるサナエノミクスは「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「大胆な危機管理投資・成長投資」を柱としている。そうした中、日本経済は円安や物価高の問題を抱えている。
神庭氏は「高市氏が掲げる給付付き税額控除は、制度ができるまで2、3年はかかる。まず、足元の物価高対策をどうするのか。国民は待ったなしの経済対策を望んでいるので、そこは急いでほしい」と締め括った。
(『ABEMAヒルズ』より)
