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2025年10月27日 18:00

高市総理、日米連携強化を表明 28日の会談では防衛費の増額が議題か 「祝電」届かない…中国との向き合いは?

高市総理、日米連携強化を表明 28日の会談では防衛費の増額が議題か 「祝電」届かない…中国との向き合いは?
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 初外遊でマレーシアを訪問した高市早苗総理大臣は26日、ASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会議に臨みました。“米中対立の最前線”ともいわれる東南アジア地域で、日本は存在感を示すことができたのでしょうか。

初外遊で連携強化を表明

 まずは、主な外交日程です。この数日間、世界の目がアジアに集まることになりそうです。

 26日、高市総理はASEAN首脳会議に出席。27日、アメリカのトランプ大統領が6年ぶりに来日。28日に、日米首脳会談を行います。さらに、29日には米韓首脳会談、30日には米中首脳会談が行われる予定です。

 そして、31日から2日間にわたって韓国で行われるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に合わせて、日中首脳会談の開催も模索されているといいます。

 続いて、ASEANでの高市総理の初外遊についてです。

 舞台となった東南アジア地域は、日本にとっては海上貿易の半分、原油輸入の大部分が通航するなど海上交通路の要衝です。この地域は、グアムのアメリカ軍基地と台湾の間にあり、台湾有事などの際にも安全保障面で重要な地域となることから“米中対立の最前線”ともいわれている場所です。

「OSA」の対象国を8カ国に倍増させる方針
「OSA」の対象国を8カ国に倍増させる方針

 高市総理は、この地域での安全保障面での連携強化を訴えました。

 27日、マレーシアで行われたASEANとの首脳会議に出席した高市総理は、安倍晋三元総理が提唱し、高市政権でも外交の柱として掲げる「自由で開かれたインド太平洋」推進への協力を呼び掛け、「法の支配に基づく国際秩序」の理念を訴える共同声明が採択されました。

 また、海洋進出を強める中国への対抗を念頭に、高市総理は「OSA(政府安全保障能力強化支援)」で、海洋安全保障強化を後押しする方針などを示しました。

 OSAは2023年に新設された制度で、国家安全保障戦略に基づき各国の軍に対して資機材の供与などを行う、無償資金協力の枠組みです。

 政府はOSAの対象国について、昨年度4カ国だったものを今年度には8カ国に倍増させる方針を固めています。

 日本はかねてからOSAでの供与を進めてきましたが、高市総理は26日のASEAN議長国・マレーシアのアンワル首相との首脳会談でもOSAを通じて、潜水作業支援船などを供与することで合意しました。

ASEANに米中が接近

アメリカが“停戦の仲介役”として存在感を示した
アメリカが“停戦の仲介役”として存在感を示した

 この東南アジアには、米中も深いつながりがあります。

 26日、マレーシアでアメリカ・トランプ大統領立ち会いのもと、タイとカンボジアが和平合意に署名するセレモニーが行われ、アメリカがこの地域でも“停戦の仲介役”として存在感を示しています。

ASEANと中国の結びつきが強まっている
ASEANと中国の結びつきが強まっている

 また、中国の習近平国家主席は4月に東南アジアを歴訪し、カンボジアとベトナムでは首脳会談を実施。この際、習主席はマレーシアも訪れ、翌月には李強首相が訪問します。

 中国がASEANを重視する姿勢は、貿易額からも見えてきます。

 中国の貿易統計では「中国とアメリカの貿易額」が去年6月時点で中国の貿易総額の11.5%を占めていましたが、今年は9.3%と減少。一方で「中国とASEANの貿易額」は去年15.9%でしたが今年は16.9%に増えており、ASEANと中国の結びつきが強まっていることが数字から見てとれます。

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「防衛費増額」米国から追加圧力?

日米同盟をさらなる高みに引き上げることで一致
日米同盟をさらなる高みに引き上げることで一致

 そんななか、27日にトランプ大統領が来日。高市総理は防衛費の増額要求に、どう向き合っていくのでしょうか?

 28日に行われる日米首脳会談に先立って、25日夜に高市総理とトランプ大統領が約10分間の電話会談を行ったといいます。

 高市総理は「日米同盟の強化が、私の政権で外交・安全保障の最重要事項である」と伝え、トランプ大統領は親しかった安倍元総理との思い出に触れ、「安倍元総理が気に掛けていた政治家であることも知っている」と高市総理に話したといいます。両首脳は日米同盟をさらなる高みに引き上げることで一致したといいます。

“安保3文書”の改定の前倒しを検討
“安保3文書”の改定の前倒しを検討

 28日の会談では、防衛費の増額が議題になるとみられています。

 日本の今年度の防衛費は関連経費も含めてGDP比1.8%、日本円にして約9.9兆円となっていますが、6月にはトランプ政権が日本に対して防衛費をGDP比3.5%、約20兆円に増額するよう非公式に打診したという、「英フィナンシャル・タイムズ」の報道もありました。

 こうしたなかで、高市総理は所信表明演説で、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」という、いわゆる“安保3文書”の改定の前倒しを検討するとしており、2027年度に防衛費をGDP比2%、約11兆円に増額するという当初の目標を今年度中に前倒して達成する方針を示しました。

 ただ、トランプ政権はこれを上回る要求をしており、日米でどう決着させるかが焦点となっています。

防衛装備品の輸出拡大を進める方針を改めて示した
防衛装備品の輸出拡大を進める方針を改めて示した

 またトランプ政権は日本に対して防衛力強化を促しており、高市総理もさらなる防衛力強化を打ち出しています。

 小泉進次郎防衛大臣は26日、輸出できる防衛装備品を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」に限定する「5類型」を撤廃し、防衛装備品の輸出拡大を進める方針を改めて示しました。

 また、自民党と日本維新の会の連立政権合意書には、「日米同盟を基軸に世界の安全保障に貢献」するとあり、次世代動力を活用した潜水艦保有の推進も盛り込まれました。

 これは反撃能力として使う長射程ミサイルの搭載を想定したもので、原子力など長時間潜航できる潜水艦を持つことで、抑止力を高める狙いがあるとみられています。

日中首脳会談の開催を模索

中国は、高市政権をかつてないほど警戒
中国は、高市政権をかつてないほど警戒

 そして今週、日中首脳会談が行われる可能性もあるといいます。高市総理は中国とどう向き合うのでしょうか。中国は、高市政権をかつてないほど警戒しているといいます。

 中国の習近平国家主席は、これまで菅義偉元総理や岸田文雄元総理、石破茂元総理など歴代総理には就任当日に祝電を送っていましたが、日本政府関係者によりますと、高市総理就任に対する習主席からの「祝電」はいまだに届いていないといいます。

 こうした対応について政府関係者は、「前代未聞であり、中国は相当様子を見ている」と話しています。

 一方、日本政府は首脳会談の開催を模索しているといいます。

 「ロイター通信」によりますと、日本政府は31日から韓国で開催されるAPECの場で、日中首脳会談を開催することを模索しているといい、政府関係者は「ここを逃すと当面、首脳会談は難しい」と話しているということです。

現政権にはパイプ役がいない状況
現政権にはパイプ役がいない状況

 一方で、安倍政権などで中国との調整役を担ってきたとされる二階俊博元幹事長は去年の衆院選に出馬せず、中国と友好関係にある公明党も連立を離脱するなど、現政権にはパイプ役がいない状況だということです。

米中首脳会談の行方にも注目

会談の行方に注目が集まっている
会談の行方に注目が集まっている

 そして30日には、韓国で米中首脳会談が行われる見通しです。

 2期目のトランプ政権で米中の首脳が対面で会談するのは初めてで、トランプ大統領は議題に関して、中国によるレアアース規制や核軍縮の他、台湾についても協議するとみられていて、会談の行方に注目が集まっています。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年10月27日放送分より)

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