6年ぶりに来日したアメリカのトランプ大統領。28日午前には山場となる、日米首脳会談が行われた。会談では何が話し合われたのか。
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まずは28日の動きから見ていく。
午前中に日米首脳会談やワーキングランチのほか、北朝鮮による拉致被害者家族との面会もあった。これにはルビオ国務長官も参加した。
午後には両首脳は大統領専用ヘリで横須賀へ向かい、米軍横須賀基地を視察。その後ビジネス関係者との夕食会も予定されている。
一番の注目の日米首脳会談は、東京・元赤坂の迎賓館で午前9時50分から行われた。迎賓館には日本政府がアメリカから購入を検討しているフォードのピックアップトラックなどを展示。警視庁は、トランプ氏来日に合わせて最大1万8000人態勢で警備にあたる。
高市早苗総理大臣は会談で「日本とアメリカをより豊かにするために日米同盟の新たな黄金時代を共につくりあげたい」と述べた。さらに会談の後、重要鉱物などに関する共同文書に署名した。
首脳会談には、日本側からは赤沢亮正経済産業大臣、茂木敏充外務大臣、片山さつき財務大臣などが出席。アメリカ側からはラトニック商務長官、ルビオ国務長官、ベッセント財務長官など。日米両国の閣僚も出席し、議論が交わされた。
首脳会談中に、トランプ大統領から次のような発言があった。
防衛費の引き上げも?
日米首脳会談で話し合われることが想定されていた主なテーマは「防衛費の増額」「関税合意」「対ロシア制裁」「安全保障」だ。
まずは「防衛費の増額」について見ていく。アメリカは日本に防衛費の増額を求めたとみられる。
イギリスのフィナンシャル・タイムズが6月に、アメリカ政府が日本に対し、防衛費をGDP比3.5%、日本円約20兆円へ引き上げることを求めたと報道。さらなる引き上げを要求する可能性もある。
NATO(北大西洋条約機構)が、6月25日に加盟各国の防衛関連費をGDP比5%に引き上げる目標で合意すると、アメリカ・ホワイトハウスのレビット報道官は「NATOにできるならアジア太平洋地域の同盟国にもできるはずだ」と、日本などにも防衛費の引き上げを求める考えを示していた。
背景には、アメリカの国防費の増加があるかもしれない。
ブルームバーグによると、トランプ大統領は国家安全保障支出として、過去最大の1兆100億ドル、日本円で約155兆円を要求しているとみらる。これは前年度比13%超の増加となる。
アメリカ側の要求に日本も対策を講じてきた。2022年、当時の岸田文雄総理大臣は、2027年度時点で防衛費がGDP比2%、約11兆円に達するよう指示。
2025年度当初予算で、防衛関係費は9兆9000億円で、GDP比1.8%にまで到達している。
さらに高市総理は、目標を前倒しする方針だ。24日の所信表明演説で「GDP比2%水準について、補正予算と合わせて今年度中に前倒して措置を講じる」と述べ、2年前倒しして目標を達成する方針だ。
関税合意の展開は?
日米首脳会談で、もう一つの焦点となっているのが「関税合意」だ。これを巡り、財界人らとワーキングディナーが予定されている。
ワーキングディナーの出席予定者は、トヨタ自動車の豊田章男会長ら財界の有力者や経営者が出席するとみられ、アメリカからも企業トップやラトニック商務長官も出席する予定だ。
ワーキングディナーでは、トヨタがアメリカで生産した車を日本に「逆輸入」する方針を伝えることで調整。アメリカは輸出が増え、日本は輸入が増えることになり、アメリカの貿易赤字の解決に貢献したい考えだという。関税合意で約束した約80兆円の対米投資の実現に向けて、トランプ氏同席のもと民間での協力強化を図るという。
首脳会談の前には日米の閣僚級で話し合いが行われていた。
赤沢経済産業大臣とラトニック商務長官は、26日に浅草寺や東京スカイツリーなどを散策。27日は歌舞伎座を訪れた。日米首脳会談に向け、関税協議の合意状況などを事前にすり合わせたものとみられている。
片山財務大臣とベッセント財務長官も、24日に15分間ほど電話会談を行い、訪日時に会談を約束していた。27日夜、予定通り対面で会談。1時間ほど新内閣の「責任ある積極財政」について説明をしたほか、ロシアへの経済制裁などについても意見を交わしたという。
拉致問題解決につながるか
23日に北朝鮮による拉致被害者家族が、高市総理と面会した。被害者の一斉帰国を要請し、日朝首脳会談の開催を強く訴えた。
24日に韓国の鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一相は、北朝鮮が板門店の北側一帯で草を抜いたり、花壇を整理したりする様子が韓国側から確認されたと明らかにした。1年あまりの間見られなかった動向で、トランプ氏と金正恩氏が接触する可能性もあるという。
トランプ大統領は27日、日本に向かう大統領専用機内で「(北朝鮮の金正恩総書記が)私に会いたいなら喜んで会う」と語った。
そうしたなか、拉致被害者家族とトランプ大統領、ルビオ国務長官が面会した。
「拉致問題を忘れていない。解決に向けてできることはやる」とトランプ大統領が発言し、金正恩総書記と拉致問題について協議することを「検討する」と発言した。さらに「アメリカは最後まで日本とご家族と共にあります」「私たちは全力を尽くしてこの問題に取り組んでいく」と述べた。
北朝鮮はアメリカとの首脳会談をどう考えているのか。
朝鮮中央通信は、北朝鮮の対米交渉担当、チェ・ソンヒ外相がロシアとベラルーシを訪問すると報じた。ロシア外務省によると、ロシア訪問の日程は26日〜28日。さらにその後にベラルーシを訪れるとみられる。
トランプ大統領は、金正恩総書記との会談に意欲を見せているが、日程的にチェ外相は同席できない可能性があり、米朝首脳会談が実現する可能性は低くなったとの見方も出ている。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年10月28日放送分より)














