総理になって初めての国会論戦は、どうだったのでしょうか。物価高対策などを巡り、野田元総理と対峙(たいじ)しました。
高市総理 国会論戦デビュー
「参院選で公約した給付金を実施しないということですから、高市政権には即効性のある物価高対策は、ほとんどないということになります。有効な物価高対策がないというのは、到底許されることではありません」
臨時国会の焦点の一つ、「物価高対策」はどうなるのか。与野党の論戦が始まりました。
「近年のガソリン代の値上がり、高止まりは大変な負担になっています。暫定税率を廃止すれば、1リットル当たり25.1円の値下げ。40リットル給油したら、今より1000円安くなりますから、極めて有効な物価高対策であり、年内に廃止すると、ここで明言すべきではないですか」
「与野党6党の実務者間で、ガソリンの暫定税率については本年12月31日に廃止すること。また軽油引取税の暫定税率についても、来年4月1日に廃止することとされています。政府としては、政党間のご議論の結果をしっかりと踏まえて対応をしてまいります」
「現下の食料品の高騰は極めて深刻であり、急ぎ対策を実行することが必要です」
立憲民主党は、食料品消費税ゼロ法案をすでに提出しています。
「高市総理は今年5月23日。『国の品格として食料品の消費税率はゼロ%にするべき』と発言されています。たった数カ月前、総理が『国の品格』とまでおっしゃった政策です。総理、共に実現しませんか」
「内閣としては、物価高対策としてすぐに対応できることをまず優先すべきと考えております。そのうえで、消費税率の引き下げにつきましては、事業者のレジシステムの改修等に一定の時間がかかる等との課題にも留意が必要であると考えております」
「経済対策の策定は指示されたようではありますけども、現状それがいつ形になり国民の懐に届くのか、まったく分かりません。経済対策をとりまとめ、補正予算を国会に提出する時期はいつなのか」
「高市内閣では、物価高への対応に最優先で取り組むこととしており、政府として速やかに経済対策を取りまとめたうえで、必要な補正予算案を今国会に提出いたします」
高市政権の経済政策の司令塔となる日本成長戦略本部が初会合を開き、AI・半導体、量子技術、核融合エネルギー、アニメ・ゲームのコンテンツなど17の戦略分野に重点的に投資を行うことを決めました。
「責任ある積極財政の考え方のもと、戦略的に財政出動を行います」
来年夏に、新たな成長戦略を策定する方針です。
与党として政権運営に加わる日本維新の会からも、物価高対策について質問が出ました。
「2万円等の給付は実施しないこととなり、物価高にどのような方策をとる考えがあるのかお聞かせください」
「足下の物価高に対してはガソリン税、軽油引取税の暫定税率廃止、地域のニーズにきめ細やかに対応する重点支援地方交付金の拡充、厳しい冬の間の電気・ガス料金の支援等の施策を経済対策の中に盛り込むこととしております」
白馬村 外国人と共生?厳格化?
高市政権、肝いりの政策も動き出しています。
4日、初めて開かれた外国人政策に関する関係閣僚会議。焦点の一つが、外国人による土地を取得するルールの見直しです。
「土地取得等ルールの在り方を含む、国土の適切な利用及び管理に向けた取り組みを進めてください」
なぜ今、見直す必要があるのでしょうか。路線価の上昇率が全国トップの街を取材すると、その一端が見えてきました。
長野県白馬村。北アルプスをのぞむ人気のリゾート地です。冬は外国人でにぎわい、「第2のニセコ」とも呼ばれています。北アルプスをのぞむ恵を受けるなか、ここ数年、ある変化が…。
「10年以上前からオーストラリア系の方が、白馬の物件を購入されていて。コロナ明けからは、東南アジアなどの国からの投資が増加している」
案内してもらったのは、築9年の中古の別荘。1階に寝室が3部屋。それぞれ、シャワーとトイレを完備しています。
「2階が、リビングとダイニングとキッチンになっている」
価格は2億5000万円。周辺では、去年より5割値上がりした物件もあるそうです。それでも投機目的で購入を希望する外国人は、後を絶たないといいます。
「別荘として購入されて、自身が使わない時は貸し出す。利点として、宿泊費からのインカムゲイン(家賃収入)と、物件を売った時のキャピタルゲイン(利益)が得られる」
こうした需要を背景に、白馬村の土地価格は高騰。今年の路線価は去年より価格が32.4%増え、上昇率は全国トップです。
「外国人が土地を買うことで、固定資産税が上がる。それだけじゃなく相続税も上がる。(税金を)払いきれない時代が来る可能性がある」
もちろん、土地を購入しているのは、すべて外国人というわけではありません。
それでも村のアンケートでは、土地の開発や利用について、およそ6割の住民から規制の強化を求める声が上がりました。
「水資源や山の土地だけは、外国人に売らないでほしい。もっと不動産業者に規制をかけるべき」
「外国の人々の恩恵も受けて『白馬村』が成り立っていることを分かってほしい」
外国人とどう共生していくのか。白馬村は外国人にもルールを周知するための新たなマナー条例の制定を検討。さらに、来年から宿泊税を導入し、財源の確保に努めています。
今回の外国人政策。もう一つの焦点が…。
「出入国・在留管理等の一層の適正化。そして外国人による制度の適正利用等に向けた取り組みの推進」
外国人の在留資格の厳格化です。
この流れをどう受け止めているのか。外国人との共生が進む町を訪ねました。
在留資格の厳格化にホンネ
人口のおよそ5人に1人が外国人。群馬県大泉町です。
こちらは、自動車の座席カバーをつくる町工場。
「3分の2が外国人。技能実習生を多く採用している」
従業員50人のうち42人が外国人。フィリピン、ベトナム、インド、ブラジルなど、世界中から来ています。
「ここで働けてうれしく思う。課長、部長、社長、従業員全員がとても親切」
「父がこちらで働いていたので、日本に家族を呼んで来ました」
この工場にとっても、外国人は欠かせない存在です。
「製造業なので、生産に穴があいてしまってはいけない。間に合わなくて臨時出社しないといけない時もあるが、そういうところは外国人に来てもらっていて、ありがたい」
12年に渡り、外国人の力で成長を続けてきた町工場。今後、政府がすすめる方針の外国人の在留資格厳格化については…。
「さらに厳格化されるので、全部条件をクリアしなければならない。取り残されないように、必死になってやっていくしかない」

















