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2025年11月10日 18:00

日本に原子力潜水艦は必要? 小泉防衛大臣が言及 世界で活発化する原潜めぐる動き

日本に原子力潜水艦は必要? 小泉防衛大臣が言及 世界で活発化する原潜めぐる動き
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 小泉進次郎防衛大臣は、原子力潜水艦導入の必要性に言及しています。米中対立で東アジアの安全保障環境が激変する中、日本に原子力潜水艦は必要なのでしょうか。

原子力潜水艦 なぜ必要?

 まずは、通常の潜水艦と原子力潜水艦の違いについてです。

 潜水艦は何を動力とするかによって大きく2つに分けられます。ディーゼルエンジンなどを動力とする「通常型」と、内部に積んだ原子力機関を動力とする「原子力型」です。

 ただ、日本は原子力潜水艦を1隻も保有していません。それは1955年に制定された原子力基本法の第二条に、「原子力の利用は平和の目的に限り…」と明記されているためです。

 2024年9月、当時の林芳正官房長官も「現行解釈に従えば、原子力潜水艦を保有することは難しい」とするなど、政府は原子力潜水艦の保有に慎重姿勢でした。

日本周辺の安全保障環境の変化を指摘
日本周辺の安全保障環境の変化を指摘

 ここへきて原子力潜水艦保有に前向きな発言が相次いでいる背景には、潜水艦の役割が変わってきていることが影響しているといいます。

 これまで潜水艦の役割といえば、他の潜水艦の監視や偵察でした。ただ2022年に安保関連3文書が改定され、「反撃能力」いわゆる「敵基地攻撃能力」の保有が明記されたことで、敵の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」を潜水艦から発射できるシステムの開発・整備を目指すなど、潜水艦の役割に“敵基地への反撃”が加わったことにあります。

 そして、防衛省の有識者会議が9月にまとめた報告書では、抑止力強化に長距離、長期間の移動・潜航を行える潜水艦が望ましいとして「次世代動力の活用を検討すること」などを提言しています。

 この「次世代の動力」とは原子力を念頭に置いたものとみられており、小泉防衛大臣も「原子力を排除しない」という考えを強調したうえで、6日には「周りの国々は皆(原子力潜水艦を)持っている」と、日本周辺の安全保障環境の変化を指摘しています。

オーストラリア、韓国も

原子力潜水艦保有への動きが広がっている
原子力潜水艦保有への動きが広がっている

 そして今、原子力潜水艦を持とうとする国が増えています。

 朝日新聞によりますと、原子力潜水艦を保有している国は、アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア、インドの6カ国で、いずれも核保有国です。

 その他にはオーストラリアが、米英豪3カ国がインド太平洋での中国の脅威を念頭に2021年に発足させた安全保障の枠組み「AUKUS」を通じて、原子力潜水艦を導入予定。アメリカから最大で5隻購入するほか、米英豪で次世代型原子力潜水艦を共同開発する計画を進めています。

 また、韓国は原子力潜水艦を建造しようとしています。トランプ大統領がSNSに「韓国が原子力潜水艦を建造すること」を承認し、「アメリカ国内で原子力潜水艦の建造を行う」と投稿。アジアの海における安全保障環境が大きく変化してきています。

米露首脳「核実験再開」に言及

トランプ大統領が示した核実験は「システムのテストであり核爆発ではない」と説明
トランプ大統領が示した核実験は「システムのテストであり核爆発ではない」と説明

 そんな中、アメリカのトランプ大統領が「核実験をする」と発言して波紋を広げています。

 アメリカで核兵器の管理を担うエネルギー省のクリス・ライト長官は「FOXニュース(2日)」に出演した際、トランプ大統領が示した核実験について「システムのテストであり核爆発ではない」と説明しました。

 そして5日、ロシアのプーチン大統領は安全保障会議でトランプ大統領が「核実験」を指示したことについて協議し、その席でベロウソフ国防相は「本格的な核実験の準備に直ちに取りかかるのが賢明だ」としたうえで、北極圏のノバヤゼムリャ島であれば短期間で実施可能だと発言したといいます。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年11月10日放送分より)

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