膨れ上がる医療費を賄うため、支払い能力に応じて負担する議論が進んでいます。問題はその支払い能力をどう判断するかですが、ここにきて株式などの配当収入もしっかり把握しようという動きが出てきました。
支払い能力に応じ医療費
都内のビルの一角に入る「東京都後期高齢者医療広域連合」。
日本では75歳を超えると「後期高齢者」となりますが、毎月いくらの保険料を支払い、窓口で何割負担になるのか、1人ずつ算定して通知する組織です。
丸田康隆資格保険料課長
「市区町村から所得の情報等をいただいて、所得の情報に基づいて、それぞれの方に保険料を賦課する」
後期高齢者の保険料は、所得に関係なくかかる「均等割」と所得に応じてかかる「所得割」で計算されます。
問題は、その所得データが完全ではないことです。
「税務署なり、市区町村に確定申告した内容を基に、こちらとしては金額を決めていく。申告されないとか、数字として表れてこなければ、(負担額に)反映させようがない」
金融所得多い人 どう把握?
日本維新の会が、連立合意樹立の“絶対条件”と意気込む「社会保障制度改革」。先週いよいよ、自民と維新の実務者による協議が始まりました。
現役世代の保険料負担を軽減するため、注目されているのが「応能負担」です。
田村憲久会長
「能力のある方々には、負担してもらわないといけない部分もある。バランスを取りながら、一定の答えを出していく」
つまり、これまでの「年齢ごと」で区切るのではなく、「支払い能力」に応じて負担を見直すということ。
しかし、そう簡単ではありません。
これは今月5日、財務省の財政制度等審議会で公表された資料です。
75歳以上で、株式などの配当収入が年間500万円ある人たちの中でも、ある人は保険料が年1万5000円なのに対し、別の人は年52万円と負担に35倍もの開きがありました。
また医療機関にかかった時の窓口負担も1割と3割で、収入は同じなのに3倍の差となっています。
この違いは、金融所得を「確定申告」しているかどうかです。
先週の国会でも議論となりました。
「確定申告をしない限り、金融所得は医療保険料や窓口負担の計算には勘案されない。よくこんな不公平を放置してきたなと思いますよ」
「金融所得につきましては、委員のご指摘の通り、確定申告をするか否かは本人の選択で可能となっています。不公平な取り扱いだと考えているので、是正に取り組む必要があると考えている」
厚労省は、証券会社から配当支払いの「法定調書」を提出してもらい、算定などに用いる方法を提案していますが、システムの整備に時間がかかるという課題もあります。
自民と維新は年末までに、意見の取りまとめを目指しています。
(「グッド!モーニング」2025年11月17日放送分より)









