高市早苗総理が国会で、台湾有事が「存立危機事態になり得る」と発言したことをめぐり、急速に関係が悪化している日中関係。この問題に対し、石破茂前総理が23日のABEMA的ニュースショーで自身の考えを述べた。
日中関係について、石破前総理は「昭和47年、1972年に田中角栄総理が北京を訪問して、日中国交回復ができた。その時からずっと歴代政権は、注意しながら、注意しながら、注意しながら日中関係をマネジメントしてきた。言いたいこと、感情的に思いが高まることはあるんだけども、みんな本当に細心の注意を払いながらやってきたわけだ。それほど日中関係は微妙なものだし、日本政府はどういう立場をとってきたかということが基本にあるわけで、現政権もそこは本当によく認識をしながらこれから先やっていただきたい」とコメントした。
「外交というのは、『言いたいこと言ってやったぜ』とかそういう話ではない。支持率が上がりゃいいというものでもない。だから、世の中からボロクソ言われても、国益のために守らなきゃいけないことがあるんだというのは、我々がずっと教わってきたこと」(石破前総理)
問題の発端となった高市総理の発言については「これはもう現場で聞いてないからわからない。映像で見ていろいろ判断してもいかんのでね。ただ、高市さんも練達の政治家なのだから、それはいろいろなことを考えながら発言をしているはず。我々が選んだ総理なのだから、国益を誤ることがないように言うべきことは言うと、収めるべき点は収める、それが与党の議員の仕事じゃないか」と語った。
これを聞いたジャーナリストの青山和弘氏は「一方で、高市さんの周辺にはこの存立危機自体の発動もあるのだと、あえて口にすることが抑止力になるという発言もある。これについて石破さんはどのようにお考えになるか」と質問。
石破前総理は「かくかくしかじか、こういうわけで抑止力になりますと説明してもらわないと、それはわからないわけですよ。いかなる事態が起こるか。高市さんが国会答弁でも『いろいろな例があります』みたいなことを言った。それに対してどういう抑止力になりますかということがわからないとそれは論評のしようがない」と応じた。
さらに、台湾有事に関する日本の備えについて「台湾有事が起こらないようにどうしますかということ。台湾有事が起こったからどうするかは、表座敷で言う話でもなんでもない。我々がやんなきゃいかんのは、どうすれば台湾有事になりませんかということを、日米安全保障条約の条文をちゃんと読み、日米地位協定の条文をちゃんと読み、中国陸海空軍の能力をきちんと分析をし、台湾陸海空軍の能力をちゃんと分析をした上で議論しなきゃいかんのであって、中吊り風にパパパっとまとめられるようなものがあったら誰も苦労はしない」と語った。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
