自民党は5日、日本維新の会と共同で衆議院の議員定数を1割削減する法案を提出する予定です。
一方、国民民主党が提案した新たな選挙制度が「中選挙区連記制」です。一体、どのような制度なのでしょうか?
なぜ、選挙制度を変更したい?
選挙制度改革については、10月に自民党と日本維新の会が連立合意書の中で、「時代にあった選挙制度を確立するため、(衆院の)小選挙区比例代表並立制の廃止や中選挙区制の導入なども含め検討する」といった内容を明記しました。
また3日、国民民主党は選挙制度改革案をとりまとめました。そして、国民民主党・玉木雄一郎代表は会見で、「多様な民意、多党制が現に起こりつつある中で、政治が安定し、正しく機能する選挙制度を提案している」と述べました。
この改革案の中で掲げたのが、衆院小選挙区比例代表並立制を廃止して、「中選挙区連記制」を導入するというもの。ただ、日本ではもともと中選挙区制でしたが、さまざまな問題が指摘され、今の小選挙区制に移行した経緯があります。
戦後、中選挙区制が採用されていました。この中選挙区制は、広い選挙区で複数の候補が当選する制度。しかし、1994年の公職選挙法改正を受け、現行の小選挙区比例代表並立制が導入されました。
小選挙区比例代表並立制は、区を細かく分け、狭い選挙区で1人だけが当選する方式。ただし重複で比例も立候補していれば、落選しても復活当選が可能な制度です。
なぜ、この制度に変更されたのでしょうか?
改正の狙いの一つが「カネがかかる選挙からの脱却」です。中選挙区制は、同じ政党から複数候補が立つ“同士討ち”が起きやすく、その結果、派閥間の競争となり、カネ集めへの依存が高まってしまいます。ここから、脱却しようという狙いがあります。
もう一つの狙いが「政権交代可能な二大政党制の実現」です。
当選者が1人で票を総取りする小選挙区制では、自民党のような大政党に有利な制度になります。
これに対抗するには、野党が結集する必要があり、政権交代可能な二大政党制になりやすくなります。
実際、1994年の新進党結党、2003年の民主党の自由党の合併など、野党勢力の結集があり、その後、政権交代が起きました。
しかし、結果としてはどうなったのでしょうか。派閥政治はその後も続き、二大政党制は定着しませんでした。
ただ、中選挙区制にするということは、元に戻ってしまうということなのでしょうか。
現在の小選挙区制で採用しているのが「単記制」。名前を記入して投票できる候補は1人だけです。
一方、国民民主が提案しているのが、中選挙区制に「連記制」を採用しようというもので、複数候補に投票することができます。これによって、同じ政党から複数人が立候補しても対立が起きにくく、民意の反映にも繋がるとしています。
“中選挙区制” 各党のスタンスは?
しかし、少数政党からは反対意見も出ています。中選挙区制回帰は中規模・大政党に有利なのでしょうか。
まずは、各党のスタンスについてです。議席が多い順に政党を挙げていきます。
連立合意書に「中選挙区制の導入も検討」と明記
野田代表が会見で「中選挙区制については極めて慎重な立場だ」と発言
連立合意書に「中選挙区制の導入も検討」と明記
「中選挙区連記制」を提案
西田幹事長が「中小政党が有利になる小選挙区比例代表連用制が望ましい」と発言
「全国1つの比例選挙区でいいのではないか」
「比例代表中心の制度を提案し、抜本的に改革したい」
「中選挙区導入が主眼なのであれば(定数削減に)賛成しうる」
こうしてみると、少数政党の中には反対意見も見られます。
では、中選挙区連記制になったら、どういったことが起こりうるのでしょうか。
選挙制度が専門の駒澤大学・梅田道生教授によると、中選挙区連記制は大政党は議席の安定を狙い、中規模政党は多党化でキャスティングボートをにぎる一方、小政党は比例廃止で不利に働くと指摘し、「中規模政党以上はメリットを感じているようだが、逆に大政党だけが“独り勝ち”になる可能性もあると」いいます。
また、インド洋の島国、モーリシャス共和国では、以前から連記制を採用してきましたが、去年行われた議会選挙で、現与党連合が圧勝。62議席中60議席を獲得する事態となりました。
小選挙区25議席、比例代表20議席減
議員定数の削減についてです。
5日、自民党と日本維新の会は、共同で議員定数を削減する法案を提出する予定です。この策が講じられない場合、1年以内に議員定数の1割を削減するとしています。
具体的には小選挙区で25議席、比例代表で20議席を減らすといいます。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年12月5日放送分より)







