高市早苗総理が衆議院を解散する意向を示し、立憲民主党と公明党が新党結成を決めた。早ければ2月8日となる投開票に向けて、各党代表が次々とコメントを出している。解散総選挙や新党結成により、政局はどのように動くのか。『ABEMA Prime』では、政治ジャーナリストら3人が徹底解説した。
■立憲民主党+公明党で新党結成 衆院選への影響は

元日本テレビ政治部次長兼解説委員の政治ジャーナリスト・青山和弘氏は、新党結成を「今後の選挙の構図を大きく変えるかもしれない動きだ」と見る。「前回の総選挙では、1選挙区あたり2万票あると言われる公明党・創価学会の票は、自民党に載っていた。新党結成で対立候補に2万票載ると、あわせて4万票がひっくり返る。自民党は前回当選した132人のうち、54人が落選すると試算される。自民党の支持率は上がっているが、選挙結果に大きな影響があるだろう」。
TBSで国会担当記者・報道局編集長などを歴任した、「国会王子」こと政治ジャーナリストの武田一顕氏は、「『政界一寸先は闇』という言葉がある。政治の世界は、明日何が起きるかわからないという意味で、元自民党副総裁の川島庄次郎氏の言葉だ。1月9日に読売新聞の解散報道が出てから、毎日何が起きるかわからない状況で、急に公明と立憲が組んだ。比例の統一名簿ぐらいが関の山だと思われていたが、それを飛び越えて新党結成まで行った。まさに一寸先は闇だ」と驚く。
元フジテレビ政治部長で、政治評論家・フリージャーナリストの平井文夫氏は、「ある自民党の政治家と電話したところ、彼は『政治が上手な公明党が、なぜこんなことをしたのか』と話していた。公明党はいつもいいとこ取りをして、自民党との連立や、小池百合子東京都知事と組むなど変わり身が早いが、『落ち目の公明党と立憲が組んでも厳しい』と言っていた」と明かす。「票は動くが、2万票きっちりとは動かない。弱い自民党候補は『やばい』と焦っているが、そうでない候補は『頑張ればいける』と言っている。かなり歩留まりが悪いのではないか」。
青山氏は、今回の動きを「公明党の苦しさが出ている。公明党は国民民主党と一緒になりたかったが、そでにされた。立憲は言い寄ってきたが、落ち目同士になるため、公明党は嫌がった。しかし背に腹はかえられないと、急きょ新党結成となった」と考察する。
また、新党が“中道改革”を掲げることについては、「公明党からすると、高市総理は中道から外れている。だから連立も離脱したが、それ以外の政治家は、割と“太い中道”に入る。立憲とは対立してきたが、高市総理よりは距離が近い。政策のすりあわせも、今の自民党よりやりやすいのだろう」と語る。
■電撃解散、高市総理の思惑

このところの政局は、高市総理の“電撃解散”が発端となっている。青山氏は「今なら勝てる解散」と名付け、「今なら自民党が単独過半数を復活できると踏んだ。連立拡大で安定させる手もあったが、国民民主党が慎重だった。予算案に賛成しても、連立には慎重だったため、『大義がない』と言われるほどの無理をしてでも、解散に踏み切った」と指摘する。
武田氏は「真珠湾解散」と命名する。「奇襲攻撃であり、だまし討ちの解散だ。1941年の真珠湾攻撃は、本来すべきアメリカへの宣戦布告が間に合わないまま行われた。高市総理は自民党内にも根回しせず、いきなり解散に打って出た」。
そして、2005年の“郵政選挙”を引き合いに出し、「選挙で勝つためなら、ウソもつくのが自民党の政治家だ。解散の前夜、森喜朗前総理が官邸へ行き、小泉純一郎総理から『殺されてもいい』と言われたとウソをつき、それが決め手になって勝った」と回想した。
平井氏は「早苗の早苗による早苗のための解散」と評し、「主演・監督・製作すべて高市総理で、後の人は全部脇役だ。党内に言っていなかったのはわざとで、みんな怒っているふりをしている。“ザ自民党”のような鈴木俊一幹事長が怒っても、高市総理は構わずやるというムードを作っている。麻生太郎副総裁も萩生田光一幹事長代行も、本当は知っているが、知らんぷりを演じているだけかもしれない」と推測した。
■狙いは自民で単独過半数?記録的支持率は維持できるか

EXIT・兼近大樹は、高市総理について「『変えてくれるかも』という期待値だけは高まっている。だからこそ、新たに作り直す。高市総理のための何かでも、それで日本が良くなるのならいい。ただ、そんなにうまく行くのか」と心配する。
青山氏は「期待感を裏切らないで、3カ月やってきた。“個利個略”とまで言われる解散で失望する人は出るだろうが、ギャルも高市総理を支持している。おじさん社会の中で、女性が華やかで頑張っているからなのかわからないが、そうしたファンの支持は底堅い。割と考える人は『今回の解散はどうなのか』と感じるが、一定の支持は続くだろう」との見立てを示す。
これに平井氏は「選挙はやはりビジュアルだ。対抗する人がみんなおじさんで、野田佳彦・立憲民主党代表と、斉藤鉄夫・公明党代表のコンビもそうだ。悪いとは言わないが、明らかな『女性対おじいさん』だ」とコメントする。
では、今後の情勢はどうなるのだろう。青山氏は「『消費税減税を打ち出すのか』といった政策や、勝敗ラインをどこに設けるのか。国民民主党や参政党が、どれだけ候補者を立てられるのかもわからない。『どっちが勝ちそうか』を予測するのは無理があり、意味もない。ただ高市総理が『単独過半数を取れる』と思って勝負に出たことは間違いなく、そこは注目すべきだ」と語る。
武田氏は「公明党が自民党から離れる選挙は26年ぶりだ。公明党の支持母体である創価学会の票はある程度決まっているが、今までの情勢調査のデータはあてにならなくなった。どこかが情勢調査をやって、極端な数字が出れば先行きが見えてくるが、バランスのいい数字になると、その時点では何も言えないだろう」と分析する。
平井氏も「現時点では言いにくい」としつつ、「公明党の影響はあるが、自民党はあまり負けない」と予想する。「単独過半数を取れば、維新とあわせて絶対安定多数になり、なんでもできる。そこを高市総理は目標にしているのだろうが、その可能性はある」。 (『ABEMA Prime』より)