政治家の資産公開をめぐって、Xでは「国会議員の『資産ゼロ』は信用できない」「資産ゼロと申告できる制度なら意味がない」といった声が出ている。先日公開された、参院議員の資産公開では125人中20人が、2025年の衆議院全体では2割にあたる94人が「資産ゼロ」と報告した。
なぜ「資産ゼロ」になるのか。『ABEMA Prime』では、有識者や政治家とともに、政治家の資産公開制度のあり方を考えた。
■なぜ資産公開するのか

資産公開制度の背景には、政治汚職事件がある。ロッキード事件(1976年)では、田中角栄元首相が米航空機メーカーから多額の賄賂を受け取り、逮捕・起訴された。リクルート事件(1988年)では、リクルート社が政財界へ、値上がり確実な未公開株を譲渡。事件発覚後、竹下内閣は総辞職した。
政治学者の大井赤亥氏は、「中選挙区時代には、自民党の候補者同士が、同じ選挙区で激しく争っていた。資金力が大事になるため、政治家が株式投資などをして、行き着いた先が『リクルート事件』だ。未公開株を安価に政治家にばらまき、公開されると利ざやを稼げるため、未公開株が賄賂のように使われた」と説明する。
これを受けて、「1992年に国会議員資産公開法ができた。第1条には『国会議員が特権的地位を使い不当に蓄財しないよう、ちゃんと国民がチェックできるようにする』ことと、それを通じて、『政治家と特定の企業・団体・業界との癒着で、政策がゆがめられている可能性がないか、白日の下にさらす』といった目的が書かれている」と語った。
■資産ゼロの抜け道

「資産公開」の対象にならないものとしては、現金や普通預金、未公開株、100万円を超えない美術工芸品、家族名義の資産、政治団体の資産などがある。大井氏は「普通預金は生活のために使い、出し入れが激しいため、公開対象になっていない。しかし、普通預金が5億円あっても『資産ゼロ』になる。家族名義の資産も対象でないため、車も建物も、配偶者や子ども、資産管理会社の名義にすれば、資産ゼロだ」と、現行制度が抱える課題に触れる。
報道系YouTube「SAKISIRU」主宰の新田哲史氏は、「いろいろと骨抜きしたのだろう」と推測する。また、「日本はこの30年、ゼロ金利だったため、『バレる定期預金より普通預金に入れる』となった。ただ、政治家の大半、とくに衆議院議員は、お金の出入りも多く、秘書も多いため、収支報告書を見てもカツカツだ。議員報酬以外に収入がなくて期数の浅い議員や、自民党でも世襲でなければカツカツだ」とも話す。
■「金額を報道したところで、迂回路があるから意味がない」

タレントでソフトウェアエンジニアの池澤あやかは「そもそも、資産額を報道するのはどうなのか」と問う。「ある企業の株を持った政治家が、企業の得になるような動きを防ぐ趣旨だ。報道も『癒着の危険性がある』とは伝えるべきだが、金額を報道したところで、たくさん迂回路があるから意味がない。資産ランキングが、国民が『この人、お金持ちだ』と楽しむ程度になっている方が問題だ」。
これに新田氏は「昔の長者番付もそうだが、日本人はランキング好きで、他人の財布はなんだかんだ気になる。本来ならば、収支報告書の動きも見つつ、政策のように調査報道しないといけないが、そうした分析が既存メディアには足りていない」と返した。
チームみらい党首の安野貴博参院議員は、「公開の仕方にも問題がある」と指摘する。「オンラインでは閲覧できず、衆議院・参議院の議員会館まで行かないといけない。コピーも写真撮影も禁止で、すべて手作業で、パソコンで写さないといけない。本来の趣旨は、利益相反がないかの可視化のはずだが、それをやろうとすると大変だ」。
大井氏は「ザル法で抜け道が多いと言われているが、ないよりマシだ」として、「法律の趣旨に鑑みると、資産公開も大切だが、政治資金パーティーや企業団体献金の方が本丸だ。政治資金パーティーは、20万円までは企業が購入しても公開されなかったのが、5万円に引き下げられた。こうした改革とあわせて、資産公開法も一体的に運用すべきだ」と提言した。
(『ABEMA Prime』より)