23日午後1時に開かれた通常国会冒頭で衆議院が解散した。高市早苗総理大臣が「政権選択選挙」と位置付ける、今回の衆院選。多党化から二大政党制回帰に、流れは変わるのだろうか?
“二大政党回帰”か“多党化”か?
まずは、今回の衆議院選挙の構図を見ていく。前回の衆院選から激変している。
高市総理は19日の会見で、「自民と維新で過半数なら高市総理。そうでなければ、野田総理か、斉藤総理か、別の方か。国民の皆さんに内閣総理大臣を選んでいただく」と述べ、来る衆院選は「政権選択選挙」だと強調した。
一方、22日に結党大会を開いたのが、立憲民主党と公明党で結成された中道改革連合だ。野田佳彦共同代表は今回の衆院選について、自民党を念頭に「自分ファースト対生活者ファーストの競い合い」だとしていて、衆議院で165議席の一大勢力の第2党となった。
そして、自民、中道の他にも、現在、多くの党が議席を持っている状況だが…。今回の選挙で二大政党制に戻るのか、多党制が進むのかが注目される。
そもそも小選挙区制導入などを柱とした1990年代の政治改革関連法は、政権交代可能な二大政党制を目指したものだった。
その結果、2009年に政権交代があり、民主党政権が誕生。さらに2012年に再び、自民党が政権を奪還した。しかし、これ以降、政権交代は起きていない。
こうした中、多党化の流れが進んできたが、その規模によって政党は次のようにたとえられる。
各分野のスペシャリストがいるフルスペック型の「大政党」は、洋服、帽子、靴、ネクタイなど、何でもそろう総合デパート。ある政策に特化して存在感を見せる「中政党」は、個性的な商品を扱う専門店。そして、「小政党」は個人商店。そのため、二大政党制というのは、デパート対デパート。有権者にとって、選挙はすなわち政権選択となる。
一方、多党制は、デパートに専門店、個人商店がひしめく状態。有権者がどこを選ぶかで、選挙ごとに連立を組み替えることになる。
そして2024年の衆院選や2025年の参院選などで多党化が進んだとの指摘もあったが…今回の衆院選はそれがさらに進むのか、二大政党制に回帰するかの分岐点になるかもしれない。
ただ、今回の政権選択選挙には、こんな課題もある。
まず、中道改革連合は、衆院選に220人を超える候補者を擁立する考えだが、衆議院の過半数は233議席。単独で過半数を確保するのは困難かもしれない。
一方、自民と維新は連立を組むパートナーだが、候補者の調整は原則行わない方針。大阪選挙区などで議席を争う可能性があるという。
さらに、明治大学・准教授の倉地真太郎さんは、「与野党ともに基本政策が似ていて、対立軸を示せていない」と指摘する。例えば、消費減税や社会保障改革など、重要な政策で独自色を出せていないという。
欧州にみる日本の未来
多党化で政治はどう変わるのか、日本の先をいく北欧のデンマークを見ていく。
日本と同じ議院内閣制で、議会の多数派が内閣を組織し政権を担う。選挙は比例代表制で行われている。現在、フレデリクセン首相率いる中道左派の社会民主党が与党だが、絶対多数を取る政党がない中、中道右派の自由党などと連立政権を組んでいる。
そのデンマークでは、ヨーロッパで最も早い時期に右派ポピュリズム政党が支持を集めた。それは、デンマーク国民党だ。創設者ピア・ケアスゴー氏は「文明は我々ヨーロッパ人にしかない」と発言するなど、排外主義的な政策を掲げてきた。
そんな右派ポピュリズム政党台頭の影響は、移民政策に大きく表れた。
デンマークは1960年代から移民難民を積極的に受け入れてきた。だが2000年代以降、デンマーク国民党が躍進し、中道右派政権に閣外協力するなど、キャスティングボードを握るようになると、党が主張する「移民難民の規制」が強化された。
中でも物議を醸したのが、移民の比率が高い地域を再開発する政策だ。移民の比率を下げるのが狙いで、地元メディアによると、これにより2030年までに1万人以上が転居を強いられる可能性がある。
その後、2019年に政権交代が起こり、中道左派の社会民主党を中心とするフレデリクセン政権が誕生。「労働者に有利な年金改革」「家賃の値上げの規制」など、左派的な福祉政策を打ち出した。
一方で移民難民に対する強硬姿勢の政策はそのまま引き継がれた。一体、なぜなのか?
フレデリクセン首相は、ニューヨークタイムズのインタビューに対し、「移民が増えることで代償を最も多く払うのは金持ちではなく、労働者階級や下層階級の人々だ」と発言。移民に対して厳しい政策は社会的弱者の生活向上に配慮したもので、これまでの立場を変えたわけではないとしている。
一方、中道左派の与党が移民強硬策を続けたことで、移民問題は争点ではなくなり、右派ポピュリズム政党の存在感は薄まった。その結果、デンマーク国民党は2022年の選挙で惨敗。現在、わずか7議席となっている。
(2026年1月23日放送分より)






