60年ぶりの通常国会冒頭での解散。わずか16日間、短期決戦の選挙戦が、27日からスタートした。
各党の公約も出揃う中、何を基準に投票先を決めればいいのか。1月23日の『ABEMA Prime』では、マニフェストの評価とネット時代の選挙について政策分析の専門家と考えた。
各党の目玉公約(1月23日 現在)

※1月23日 現在
各党の目玉公約(1月23日 現在)

※1月23日 現在
■ 埋没する争点と「実現可能性」への課題

早稲田大学デモクラシー創造研究所の事務局長、島田耕貴氏は、「今回のマニフェストは非常に量があり、全てを読み切るのが大変だ。一方で、争点が分かりづらくなっていると感じる。ほとんどの政党が消費税の引き下げを訴えており、違いが見えづらい。実現に向けたプロセスや、減税によって長期的にどのようなビジョンを党として実現したいのかという、マクロな視点で見ることが必要だ」と語る。
「マニフェストは政策の一貫性が大事だ。言っていることがコロコロ変わるようでは、有権者にとって信用性がない。例えば、原発について元々否定的な立場であったが、今回では容認に転じているケースも。なぜ意見を変えたのかを有権者に説明する責任もある」と指摘する。
さらに、公約の具体性について、「期限や数字が載っていないことは問題だ。『検討します』は、誰でも言える。根拠となる年度や数字が入っていないと、言いっぱなしになってしまう。少なくとも党が重点を置く領域に関しては、いつまでにどうやるかを明記すべきだ。目標設定がないと、後から有権者が評価しようとしても『検討中だ』と逃げられてしまう」と述べた。
■ 歴史的背景と「5つの評価基準」

マニフェストの歴史について、島田氏は「一番有名なのは民主党政権の時だ。当時は『コンクリートから人へ』という明確なビジョンを掲げ、有権者との約束事としてマニフェストが注目された。しかし、その後の政権運営で実現がうまくいかなかった経験から、各党は実現可能性に対して後ろ向きになり、スローガン的な公約が続く状況にある。一方で地方自治体では、何パーセント達成したかを公開する首長もおり、マニフェストが役割を果たしている例もある」と説明する。
デモクラシー創造研究所では「1. ありたい国の姿が示されているか」「2. 政策が体系化されているか・独自政策があるか」「3. 目標・期限・実現方法・財源などが明示されているか」「4. 合理的な実現可能性が説明されているか」「4. 国民の意見を組み込むプロセスが入っているか」の5つの基準でマニフェストを評価している。
この基準に基づいた評価について、島田氏は「全体としては、非常に近視眼的だという印象を持っている。消費税減税などは直近数年の対応として必要だが、制度として長期的にこの国をどう描きたいかという表現が弱い」と述べた。
■ SNSのアルゴリズムと「空中戦」の行方
近年の傾向について、島田氏は「SNSに乗るようなワーディングを頑張って探している印象だ。ショート動画やリールなどで端的に政策を言うものが、若年層を含め支持や再生回数が伸びる。引きの強いワードを打ち、それに合わせてマニフェストを色付けするような色合いが強くなっている。かつてのワンフレーズ・ポリティクスと似ているが、媒体がSNSに変わったということだ」。
選挙活動の戦略についても「選挙には『空中戦』と『地上戦』がある。空中戦はSNSなどの手触り感がない場所での戦い、地上戦は地元で有権者に直接会う活動だ。党としては空中戦に力を入れる傾向があり、結果としてSNSのアルゴリズムに乗りやすいものを打ち出すようになっている」と続けた。
今後については、「政治家が選挙の時に有権者受けの良いことばかり言わない良心を持つことも必要だが、一方で有権者側も、目先の良いことだけに惹かれず『本当に大丈夫か』と疑う目線を持つべきだ。今後はテクノロジーを使ってアップデートできる政党と、従来型の政党でマニフェストのクオリティに差が開いていくだろう。そうなれば、有権者にとって投票が楽になる時代が来るのではないか」との考えを示した。
(『ABEMA Prime』より)