通常国会冒頭で衆議院が解散し、来月8日の投開票に向けて、12日間の選挙戦が始まる。そんな中、衆院選をめぐり、緊急声明を発表したのが、自治体の首長5人たちだ。
声明では突然の解散総選挙によって、「現場には過度な負荷がかかっている」と強い懸念を示し、さらに、国の来年度予算が選挙により年度内に成立しない場合は、自治体運営に大きな影響が出ると危機感をあらわにした。さらに強く求めたのは「政権による解散権の行使のあり方、乱用を防ぐための制度や議論を社会全体で改めて行うことを強く求める」。
今回の衆院選で自治体はどんな影響を受けるのか。『ABEMA Prime』では、緊急声明を呼びかけた自治体の首長に話を聞いた。
■現場の窮状

多摩市の阿部裕行市長は「この時期は予算編成で忙殺されている。年末までに物価高騰対策として市民への支援を早く行うよう国から言われ、臨時議会を開くなど、通常の年度末以上に忙しい。加えて1月末から2月初めは確定申告のピークであり、どこの役所も限界に達している。そこに突如として解散総選挙が決まった。10日以降は土日返上だ」と問題視する。
自治体の主な選挙準備は、「各地域での投票場所の確保」「投票日や期日前投票所での人員の確保」「ポスター掲示板の設置」「有権者に投票所入場整理券を発送」などが挙げられる。
準備の支障について、東京・世田谷区の保坂展人区長は「システムを切り替えた直後で、2月8日の投開票では封書が間に合わない。専用のシステムが開発されていないため、世田谷区では1人ずつハガキを送るしかない。通常の封書であれば投票所の案内や場所の変更などを同封できるが、それが一切できないため、すべてポスティングで対応することになる」。
さらに、「1番の問題は、期日前投票所に行っても選挙権のない状態が続くことだ。入場整理券の発送が通常より1週間遅れ、混乱が予想される。また、最高裁の国民審査は2月からでないと行えないため、1月中に行っても再度足を運ぶ必要がある。公正な選挙という点では悪条件だ」と述べた。
阿部氏は、「多摩市でも入場整理券が間に合わない。世帯ごとに封書で送る場合、郵便局の土日休みも重なり、到着は2月2日、3日頃になる。2月6日までに投函を終えるよう郵便局に依頼しているが、期日前投票は整理券がなくても可能であることを知らない有権者も多い。投票権行使のためには事前に整理券が届くべきであり、非常に申し訳なく思う。せめて15日の投開票であれば、防げたはずだ」と述べた。
■解散権行使の在り方

解散のタイミングについて、保坂氏は「2月8日で間に合わないことも、1週間後の15日ならほとんど間に合った。なぜそれが待てなかったのか。職員の労働環境以上に、国民の選挙権を制約してはいけない」。
阿部氏は、「高市総理にとっては初めての予算編成であり、安全保障など従来の政権との違いを掲げている。しっかり施政方針演説を行い、与野党からの代表質問を受けてから解散しても良かったはずだ」と語る。
あらためて、保坂氏は「予算案の提出を待たず、成立が確実な情勢で解散するのは、意表を突いた奇襲攻撃のようであり、乱用と言えるのではないか」と訴える。対して、明治大学准教授の倉地真太郎氏は「日本の地方行財政において、自治体の声を国政や予算に反映する仕組みが不足している。今回の緊急声明が反映されるかは不透明だが、自治体の現場の声が届かない問題は根深い」とした。
(『ABEMA Prime』より)