衆議院選挙が公示されました。私たちの所得を増やすうえで重要になるのが「経済成長」の実現です。各党は、どのような成長戦略を掲げているのでしょうか。
各党の“主な成長戦略”
まずは、各党がどのような成長戦略を掲げているのか。その主な主張をまとめました。
科学技術力を高めるため、AI・量子・宇宙・造船など17の戦略分野に投資を集中的に行う。
AI産業戦略を国家戦略として取り組み、基盤モデル開発支援や国際ルール作りに積極的に関与しリードする。
クラウドやAIの国産化を強力に支援。地域資源を活かした新事業創出や社会課題解決を図る投資を促進。
産業の成長に資する規制改革の推進。AIなど成長分野への投資減税等を行い、『投資』を拡大。
中小企業予算を増額し地域経済を活性化。経済安全保障を名目とした半導体産業への補助金投入は見直し。
最新のデジタルインフラ整備を国が保障。先端産業へ国内生産を維持・高めることを条件に補助金を交付。
研究開発、人材育成、スタートアップ支援などへの積極的な投資を進め、国全体の力としてAIを育てていく。
AIや製造業等、各産業分野での革新技術適応のための研究開発支援や新技術でのインフラ再構築投資。
経済成長は減税によって行われる。間違った再エネ政策の停止。
中小企業・零細業者を応援。無駄な公共事業を見直し、次世代投資への転換。
AI等の重点分野へ集中投資し産業構造を転換。技術革新を賃上げと豊かさに直結。
カギは「AI」への投資
では、日本経済の現状はどうなっているのでしょうか。
1997年を起点としたG7(主要7カ国)のGDPの伸び率を見ると、欧米各国が軒並み成長する中、日本だけが低迷しています。
IMF(国際通貨基金)によりますと、国民の豊かさの指標である「1人当たりGDP」は、1994年に日本は世界3位でしたが、「失われた30年」の間に世界40位まで転落しました。
こうした中、世界的に急成長が見込まれる分野が「AI(人工知能)」です。
情報通信白書によりますと、世界のAI市場規模は2023年の約20兆円から、2030年には6倍を超える約126兆円にまで拡大すると推定されています。
ただ、スタンフォード大学の調査では、2024年のAIへの投資規模はアメリカが約16兆8000億円で1位、中国が約1兆4000億円で2位に対し、日本は14位の約1400億円と、アメリカの100分の1以下にとどまっています。
先月閣議決定された政府のAI基本計画の中でも「日本は出遅れが年々顕著になっている」と指摘されていました。
AIで日本に勝機ある分野とは?
ただ、AIに関して日本に勝機がある分野もあります。それが「フィジカルAI」です。
「生成AI」がデジタル空間で文章や画像などを作成するのに対し、「フィジカルAI」は物理的な(フィジカルな)空間で活用されるのが特徴です。センサーやカメラで周囲の環境を認識し、複雑な作業を自律的に行うロボットなどがこれに当たります。
この「フィジカルAI」は、様々な用途への活用が期待されています。
AIを搭載していない従来の産業用ロボットは決まった動きしかできません。ただ、「フィジカルAI」を搭載したロボットは、転倒や障害物といった現実世界で起こる不測の事態にも対応しながら、人間と同じ空間で“共存”できます。
将来的には工場での荷物運びや、家庭での家事代行なども行ってくれるようになるといいます。
アメリカの金融機関は、このフィジカルAIの市場規模が2050年には約770兆円にまで膨らむと予測しています。
各国が「フィジカルAI」の開発に取り組む中、やはりこの分野でもアメリカと中国が先行しています。
「データセンター」チャンスと課題
そんな中、デジタル社会を支える「データセンター」の需要も急増しています。
データセンターとは、大量のサーバーなどを設置し、膨大なデータを保存・処理する施設のことです。
AIやクラウドサービスの普及を受け世界的に需要が拡大していて、建設ラッシュが起きています。総務省の情報通信白書によりますと、世界のデータセンターの市場規模は、2023年の約57兆円から、2029年には約95兆円(現在のレートで換算)に拡大すると予測されています。
この巨大市場は、日本企業にとっても大きなチャンスを生んでいます。
去年の4月、実業家のイーロン・マスク氏が自身のSNSに「今後、AIを拡大するうえで、変圧器(不足)が足かせになる」と投稿しました。
データセンターへの電力の安定供給には、発電所からの電気を適した電圧に変える変圧器が必要不可欠です。そのため需要が急増しています。
この分野では、日立製作所がアメリカに約1500億円を投資し、変圧器の需要に対応。また2027年までに、送配電設備に世界で約1兆円(60億ドル)を投資するとしています。
そして、大量のデータ処理で発熱するサーバーを冷やす「冷却技術」も需要が増大しており、空調大手のダイキン工業は北米での2030年度の売上を約3倍の3000億円以上に引き上げる計画を発表しています。
日本国内でもデータセンターの整備は進んでいますが、恩恵と課題の両側面があります。
朝日新聞(27日)によりますと、“データセンター銀座”とも呼ばれる千葉県印西市には、市内に11の事業者と約30棟のデータセンターが集まっています。
市に入った昨年度の固定資産税は約165億円と、10年前の約1.5倍にもなっています。
そんな中、去年4月に駅前の一等地にデータセンターを建設する計画が浮上した際には、市民から騒音や排熱を心配する声が相次ぎ、印西市は駅周辺・生活圏に密接なエリアでのデータセンターの新設を制限する方針を打ち出しました。
(2026年1月29日放送分より)










