長引く寒波は、8日後に投開票を迎える衆議院選挙にも、大きな影響を及ぼしています。異例の大雪に見舞われた、真冬の選挙戦に密着しました。(1月31日OA「サタデーステーション」)
業者は掲示板を連日見回りに
「雪、暖かいですよ。走ってますから」
「今ここが、変わるチャンスです」
「僕が一番、熱意があります」
「もしかしたら風穴を開けられるかもしれない」
サタデーステーションが注目したのは、選挙も大雪も先が読めない状況となっている、福井1区。県の北半分、福井市を含む地域です。
「信号や標識が見えなくなってしまっています」
連日続いている作業がありました。雪に覆われていたのは、選挙ポスターの掲示板。この業者は3、4人で毎日14か所を見回り、除雪も行っていますが、大雪で1日がかりになることもあるといいます。バスを利用した期日前投票用の“移動投票所”も、来週、開設される予定ですが、大雪による投票率の低下も懸念されています。
自民は当選7回の女性候補
「絶対に負けられない戦いになっております。厳しい戦いです。雪靴なので走りにくいんですが、走って走って走って走って、すべての力を福井へ、しっかり頑張ってまいります」
危機感を口にしたのは、自民党の稲田朋美氏(66)。氷点下で雪が舞う状況もある中で、手袋もつけずに演説していました。
「握手する時は素手なので。ただ私の手が冷たいので、申し訳ないなって思います。だけど『温めよう』『温かくする』って言ってくれるので、ありがたいなって思います」
雪のため、演説場所を急きょ、室内に変更したこともありました。当選7回、防衛大臣や自民党の政調会長などを歴任した稲田氏。前回は政治とカネの問題などで“逆風”が吹く中、およそ1万6000票差で競り勝ちました。今回は、高市人気の“追い風”が吹いている状況ですが、稲田氏が名指しで政策を批判した党がありました。
「ちょっと“悪口”言いますよ、参政党の。一人当たり15歳まで月10万円、それは嬉しいね、子育てしている人は。年間いくらかかるか、16兆円ですよ16兆円。そんな、できもしないこと言っちゃダメですよ」
25日投開票の福井県知事選では、参政党の支援を受けた新人候補が勝利。自民党が支持した候補は敗れ、“自民王国”の保守票が脅かされています。
「(参政党の)勢いは感じておりますが、真の保守政党、国民政党である自民党をしっかり訴えていきたいなと。(保守とは)決して強い言葉で批判したりとか、排除をするのではなくて、福井の人々のように、真面目に田を耕して生活をしている国民の皆さんの、共通の思いに応えられるのが自民党の保守だと思ってます」
こうした中で、日本維新の会が30日、稲田氏の推薦を追加で発表しました。これは、稲田陣営が求めたわけではないと言います。
中道は元市職員の前職
「本来であれば、この福井の人の声で、政策や法律ができなくちゃいけないんですよ」
中道改革連合の波多野翼氏(41)。歩道に積もった雪を踏み固めて、“お立ち台”を作っていました。
「何の大義もない、そんな選挙をしてしまう。今、私はこうして雪山に登り、マイクを握っている。これ自体が本当におかしいことだと思っております」
前回は立憲民主党から出馬し、稲田氏に敗れたものの、比例代表で復活当選。越前市の職員から、いきなり国会議員となりました。今回の選挙活動は、大雪の影響で移動にも時間がかかるといいます。
「スケジュール立てたとしても、それ通りに進めることはすごく難しい。会う人が少ないので、手応えも感じにくいのが現状ですね」
街頭演説も雪で人が集まりにくいため、選挙カーに乗り、有権者を見かけたら、すぐに降りて会いにいくスタイルに。さらに、今まで自民の稲田氏側に入っていた公明票が、新党結成により、波多野氏のもとへ流れる見込みです。
「私も長いこと公明党を応援してきましたんで、今回こういう形になったんで、ぜひ頑張ってほしい」
一方で、今回は報道各社の序盤の情勢調査で、「中道が伸び悩んでいる」との結果も出ています。
「急にできた政党ですからね。生活者の方を向いた政党がどこなのか、しっかり訴えていく必要があるのかな」
昼食中にも、パソコンでチラシのチェックなどをしていました。
「私は福井県に生まれ育って、国会議員になってからも、この福井を中心に生活してきた人間なので、福井のことを一番分かっている。この福井の現状を伝えられる、そんな国会議員になれるんだというのをしっかりと訴えていきたいなと」
国民は医師で6人の父親
「103万円の壁も突破しました。しかし、この衆院選でもう一度、自民党が過半数以上を取った時、断言します。減税、絶対にきませんよ」
国民民主党の新人、山中俊祐氏。医師であり、子ども6人の父親でもあります。大雪の翌朝、選挙事務所に走ってやってきました。
「(車が雪で)全く動かなくて…」
雪の影響を身をもって実感する中、選挙カーを降りると、走って、走って、走って有権者の元へ。
「ぼく駅伝部だったんで。一刻も早く有権者の方と握手したいという思いがあるので」
さらに走り続け…
「冗談抜きで迷子ですね」
選挙カーとはぐれてしまう場面も。
「僕が一番、熱意があります。絶対あります。政策や今後の国の未来についても、一番僕が知っています。あと足りないのは、票が足りない。残念ながらこれが足りない」
“異例の事態”も起きています。国民民主を支援する労働組合の中央組織・連合がこの福井1区への候補者擁立に対し抗議。連合は中道も支援していて、同じ選挙区内で2人の候補者が競合してしまうためです。玉木代表が連合に電話で謝罪したものの、擁立は取り下げませんでした。
「私は当然、自分の選挙に集中するということで、影響は感じておりません」
参政は29歳の党青年局長
「福井県のような地方都市は、その消滅すら可能性が出てくる。そのように心から危機感を持っております」
参政党の新人、藤本一希氏(29)。
福井大学医学部を中退し、起業すると、その後、福井県議に。国政は初挑戦です。
「ここだと(雪で)有権者の顔が見えなくて」
4党の中で唯一、組織票がない参政党にとって、街頭演説が雪の影響を受けるのは、かなりの痛手。一方で、先の知事選では、参政党の支援を受けた候補者が勝利しています。
「追い風となると思います。若い世代からこの日本を盛り上げていきたい。そういったところで、石田知事とも思いを共有できていますし」
参政党の青年局長も勤める藤本氏ですが、今週、地元のテレビ番組で「高市氏を支持」「党の壁を超える!」などと訴え、神谷代表から厳重注意を受けました。
「子ども一人につき毎月10万円を給付します」
自民の稲田氏から批判された、この政策については…
「財源が無ければ、それを手当できないということで、子どもが減り続けている、生まれてこないという状況を見過ごすのか。必要な財源は作る、あるいは探す。こうした姿勢で考えていくことが必要だと思います」
X上で関心を集めているテーマは?
「36年ぶりの真冬の選挙、しかも異例の大雪ということで投票率の低下が懸念されていますが、期日前投票の状況はどうなっているんでしょうか」
「VTRでも取材をした福井県ですが、期日前投票初日の28日は雪も降っていたということですが、投票した方は1683人で、前回の衆院選の期日前初日に比べて714人少なく、有権者に占める割合も約0.1ポイント下がっています。また東京23区で一番有権者が多い世田谷区では、期日前投票初日と2日目を合わせて507人で前回より55人多くなっています」
「今回は条件が大きく異なるので前回と単純比較はできませが、戦後最短の選挙戦、そして真冬ということもありますから、この時期というのが投票行動に影響を起こしそうですよね」
「一般的に冬の選挙は投票率が下がると言われているんです。やはりこの数字を見ても天気の影響があるんだなと感じますね」
「では、各党に対する国民の関心はどうなっているんでしょうか」
「公示前の1月24日・25日に行ったANNの世論調査で「自民党を含む政権の継続を期待する」が54%、「自民党を含まない政権に交代」への期待が28%ということでした。また、立憲と公明が結成した中道改革連合については「期待する」が26%、「期待しない」が62%でした。また、比例代表の投票先を見ると、自民が31.5%、中道が14.7%、維新が4.9%、国民が5.6%、参政が2.9%、共産が2.4%、れいわ1.3%、保守党が1.0%、社民が0.3%、みらいが1.1%となっています。減税日本・ゆうこく連合については、政党の届け出が25日だったため、調査には反映されていません。
「あくまでも公示前のデータということですけれども、柳澤さん序盤の情勢はどうご覧になっていますか」
「あくまでも序盤なので、今後どうなるかについてはよく分からない部分ありますが、公示前、高市内閣に対する支持率は高いけれども、自民党の支持率はあまり高くないということだったんですが、その後の動きを見ていると、高市人気が自民党の押し上げに効果を見せているという感じがありますね」
「比例の投票先についてはどうでしょうか」
「中道が自民党の半分ということは、そこまで有権者に浸透していないのではないかと、その辺がカギになると思います」
「無党派層の動きというのも気になりますが、では今回の選挙戦に関してSNSのXではどんなことが話題になっているんでしょうか」
「ANNでは分析ツールを使い公示日から昨日(30日)までのXのすべての投稿を分析しました。主な政策や政治課題に関するワードを9つに分けて分析しますと、最も多かったのが「旧統一協会」でした。公示日前後に政治家と旧統一教会との関係が報じられたことが数字が伸びた要因とみられています。次いで「景気・物価高対策」「外国人政策」と続いています」
「本当に争点が見えにくいともいわれる今回の選挙ですが、柳澤さんご自身はどの政策や考え方に注目されていますか」
「ほとんどの政党が消費減税を掲げたことで争点がぼけてしまったという印象は拭えないと思うんです。さらに中道がこれまでより右に寄った、ということで対立軸が見えにくくなっている。結果的に見ると高市政権の是非を問う選挙戦になっているんではないかなという印象がありますね」
「まさしく高市さんの狙いどおり?」
「思惑どおり、と」
「短期決戦、厳しい寒さ、見えにくい争点…有権者にとっても難しい選挙ではありますが、それだけに『何を基準にして一票を託すのか』、しっかり考えて投票に臨みたいと思います」