衆議院選挙は8日が投開票日です。物価高対策が争点の一つですが、物価高の影響を大きく受けている人たちは今、政治に何を求めているのか話を聞きました。
「中小企業は仕事がない」
埼玉県にある「石川金属機工」。創業1946年で“鋳物の街”川口市で80年続く鋳物メーカーです。
「銅の価格が異常な高値。それから錫(すず)も異常であると。銅に至ってはつい最近(約2年前1トンあたり)70万円だったのが220万ぐらい。それから錫も(1トンあたり)200万円ぐらいだったのが、今800万。4倍ですね。とても商売を、このまま続けていけるのかどうかも考えちゃうくらい、非常に高価になってしまった」
製品をつくるのに使用する原材料を、ほとんど輸入でまかなっているというこちらの工場。近年の物価高に加え、円安による原材料の高騰が、経営に大きな影響を与えているといいます。さらに、悩みの種は他にも。
こちらの工場では従業員の賃金を、4年連続で5%〜6%のベースアップを実施。その理由は?
工場にとって長年培ってきた技術を継承していくためには、人材の育成が重要だといいます。そのため、新たな労働力の確保や離職者を減らすために、人件費は削れないそうです。しかし…。
「はっきり言って今、川口のどこでも、中小企業は仕事がないですよ。だいたい8割か7割ぐらいの感じですかね、操業率が。淘汰されました」
石川社長によると、40年ほど前には673社が加入していた川口市の鋳物工場の組合も、現在は40社ほどに減っているといいます。
「先行きが見えないというのが一番経営者としてもつらいところがあって、先行きが見えれば、それに対してどういうものを設備していくかとか、人員はどうするかとか、人件費を増やしたほうがいいのかとか、いろいろ手が打てるんですよね」
「人件費も含めて、給与も含めて、物価も含めて、もっと大きい計画を立てて、『何年先は待っていろ』『何とかするよ』というような強いメッセージの、目先のことじゃなくてという政治家がほしいですね」
「税金は悪じゃない」
東京・板橋区の高島平団地にある子ども食堂。NPO法人が週2回、ボランティアスタッフで運営しています。4日のメニューは「豚のしょうが焼き」でした。
井上温子代表
「野菜は近くに物流の拠点がありまして、そこで余っている野菜とか、市場に出せないものとかをご寄付いただいて。国も子どもの貧困を解消していこうということで、補助金自体は子ども食堂に対して厚くなってきていて、そこで食材とかは購入できるようにはなっています」
栄養バランスが考えられた食事が、高校生以下には100円、大人には500円で提供されます。とてもリーズナブルということで特に子育て世代が多く利用しています。
「(Q.増えている要因は?)やっぱりすごく今物価が上がっていて、食料品とか高くなってるので、ものが買えないっていうのがすごく困ってるんじゃないかなって」
4日も、持ち帰りを含め50食分ほどの予約が入り、食堂はにぎわっていました。
「食事代は全体的に上がっているなというのは肌でも感じますし、その中で子ども食堂は、献立とかも考えずにおいしく頂けるというのは、とてもありがたく思っています」
「ご飯とおかず、メインのおかずの他にも、副菜がついていたり、汁物があったり500円という金額の中で、自分も子どもも食べられる。すごく助かっています」
リピーターが多い中、こんな利用者も
「(Q.(ここに)来るの何回目ですか?)実は初めてです。(前を)通った時にあれ?って気になって、ちょっと入ってみた」
4日、初めて子どもと訪れたという女性は食堂の明るい雰囲気にひかれたといいます。
「(Q.きょう初めて来てみて、今後どう?)ぜひ、利用したいです」
子ども食堂というかたちで安く食事を提供し、物価高に苦しむ人たちを支えている井上さん。今回の衆院選で、多くの政党が訴えている“ある政策”に、疑問を感じているといいます。
「(Q.各政党がいろんな政策を掲げている中で、一票を何に投じますか?)寛容な社会になってほしいなというところがあって。どんな家庭に生まれても、例えば大学まで無料だよとか。皆がチャレンジできるような社会を目指してくれるところに、一票を投じたいなって思っています」
「皆、孤立しがちな社会になっているので、そこをどうやって支え合える仕組みを作るかみたいなところを、もう少し訴えてくれるところがあったら即投票するんですけど。今みんな同じこと(減税政策)で盛り上がっちゃってて、そこが難しいなって見てて思っています」
「あしたまで生きられるの?」
4日午後9時30分、東京・池袋の公園に集まった多くの人たち。そこで配られていたのは、おにぎりです。
NPO法人「TENOHASI」では、毎週水曜日に生活に困った人たちにおにぎりやパンを配布しています。4日用意したおにぎりは163個。公園には、55人が集まりました。
行列に並んでいた男性(58)はこのように話します。
止まらない物価高騰によって、ここ数年、おにぎりなどの支援物資をもらいに来る人が増えているといいます。
大野力さん
「物価高のあおりもあって今まで通りのやりくりでは金銭的にもたないということで、1食を浮かせるために公園までおにぎりを受け取りに来る、そういう方がいらっしゃるので、人数はどんどん増えていっていると思います」
生活に困っている人たちは、常にあすへの不安を抱えながら生きているといいます。
「本当に『あしたまで生きられるの?』とか。10年先20年先より『あしたどうしよう』という感じだから。格差を少なくしてほしいですね。(投票を)お願いしますってまわるだけで(政治家には)実際こういう現状を見てほしいですよね。だっておにぎりとかパン1個で、こんなに並ぶっておかしくないですか」
厚生労働省の調査では、公園や河川敷などで生活しているホームレスの数は、去年、全国で2591人。年々減少しているといいますが…。
「明らかに実数に伴っていないと思います。昨今はそういう調査に表れない、いわゆるネットカフェで過ごす方、半ホームレスのような方がたくさんいらっしゃいますので。広義的な意味でのホームレスの方々は、その何倍もたくさんいらっしゃいます」
こちらの50代の男性は現在、住む家がなくネットカフェで生活をしています。
「(Q.どういう政治家に投票したい?)福祉を手厚くしてくれる人」
いくら政治に期待していても、住所不定だと選挙人名簿に登録されず、選挙で投票することはできません。つまり、自らの思いを政治家に届けることはできないのです。
3日後にせまった衆議院選挙。貧困問題に向き合う大野さんは、政治に何を求めているのでしょうか?
(2026年2月5日放送分より)









