政治

ABEMA TIMES

2026年2月7日 11:45

ネットメディア中の人に聞く「公平・中立」どこまで意識?選挙をどう伝えるべき?

ネットメディア中の人に聞く「公平・中立」どこまで意識?選挙をどう伝えるべき?
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 テレビや新聞、インターネットなどで、連日選挙情報が伝えられている。政治や選挙で「最もよく使う」情報源の調査では、「テレビ」と回答した人が、46.5%と約半数にのぼる。

【映像】各メディア勢揃いしてる様子(顔出しあり)

 しかし地上波テレビでは、公平・中立というルールがあるため、「中立を意識するあまり、どこも同じで物足りない」という意見も見られる。そこで『ABEMA Prime』では、選挙放送で存在感を見せるネットメディアとともに、選挙報道のあり方を徹底討論した。

■ネットメディア各社のスタンスと中立性

 放送法などが関係する地上波テレビと比較して、ネットメディアは基本的に自由に発信できるのが特徴だ。とはいえABEMA Primeの杉田哲也プロデューサーは「公平中立はめちゃくちゃ意識している。ABEMAからテレビ朝日に制作委託しているため、基本的にテレビ朝日基準で放送する。討論会で言えば、いわゆる政党要件を満たした11党を呼ばなくてはいけないという制約がある」と説明する。

 ReHacQ(リハック)の高橋弘樹プロデューサーは、「基本的にネットは気にする必要ないが、ReHacQでは意識している。前職がテレビだったため、放送法や公職選挙法は、テレビ以上に守っている。テレビが最近まで呼ばなかった少数政党を呼ぶなど、公平性は気にしている。『テレビが手の届かない情報も、しっかり届けたい』という問題意識がある」と語る。

 選挙ドットコムの鈴木邦和編集長は、「意識しているが、その仕方がマスメディアとは異なる。1年間で約50人の政治家が出演するが、そのバランスが国会の議席構成と大体同じになるようにして、年間の出演回数まで公表している」と話す。

 その理由は「メディアが必ず公平中立であるべきとは思わないが、選挙ドットコムは、なるべく多くの人に選挙情報をフラットに届けたいメディアだ。ルールより『視聴者がどう感じるか』が大事で、ルールを守っていても『公平でない』と思われたら終わりだ」との考えにある。「ルールを自分で作りつつ、視聴者にフェアなメディアだと思ってもらえるかを大事にしている」。

 NewsPicks(ニューズピックス)編集部の小林伸代記者は、「党首討論に全員を呼んだり、出演回数を数えたりはしていない。面白い候補者や争点があれば、候補者間の公平性はあまり考えずに、ピンポイントで深掘りする。ただ、候補者に対しては、嫌なところまで質問するなど、公平性を意識している」とスタンスを示す。

■解説者の重要性と「政治家の本音」へのアプローチ

 ReHacQ高橋氏は「深く真相を知り、見えていないものを可視化したい」との思いを抱いている。「各党が決めた公約を言っているだけの党首討論だけ見ていても意味がない。ReHacQでは今、東京の30小選挙区すべての討論会をやっているが、同じ自民党の候補者でも公約に対しての思いはさまざまだ。『税調としては難しい』といったニュアンスで話す税調インナーもいれば、口ごもる人も、討論会に出てこない人もいた。総合体としては“党”だが、党首の発言だけ見ても、何もわからないに等しい」。

 選挙ドットコム鈴木氏は、「政治家を呼び、話を聞くのには限界がある。政治家の言葉をそのまま聞いても面白くなく、そこに隠された意図や思惑を翻訳して、解説してくれる方が、有権者にとって価値がある。政治家を呼ぶ回より、裏を解説する回の方が視聴されている」と明かす。

 パックンは、「日本の政党は、マニフェストは似ているが、手段が少し違うことがある。誰かが代わりに実現可能性を伝えてくれれば良いが、そうでないと宣言を聞くだけになるため、深掘りしてくれるのはありがたい」と考えている。

 その上で、「気になるのは公平性だ。間違っている時に、しっかり言えるか。アメリカの中道テレビ局は、バランスを取るために間違っていることもそのまま伝え、結局ファクトから離れた報道になっていた。ずっと『政治家が言うことはファクトチェックできない』といった恐れがあった」との論点を示す。

 これにABEMA Prime杉田プロデューサーは、「収録中のファクトチェックは、うちはできるが、ほとんどのネットメディアには多分無理だ。今も僕がしゃべっている裏で、まずいことを言っていないかチェックしている。体力も人材もあるが、それを他のネットメディアに課すのは酷だ」と返し、一方で「そこに引っかかると面白くなくなる面もある」との考えを語る。

 選挙ドットコム鈴木氏は、「我々の体力では、ファクトチェックより、コンテンツの質と量を上げることにリソースを割くべきだ。もちろんファクトは重視していて、チェックもしているが、リソースの大きさは異なる」との現状を語った。

■地上波とネットメディアの共存

 従来メディアとネットメディアは、どのような立ち位置を取っていけばいいのだろうか。日経新聞出身のNewsPicks小林記者は「政治部で自民党の二階派や森山派を担当していたが、『誰と誰が会うか』の日程ばかりを追いかけていた。引きで見ると、ずっと追いかけている人がいることは大事だと感じたが、私には我慢できなかった」と振り返り、「新聞社やテレビ局の報道は、ずっとやり続けてほしい」と求めた。

 そして、「『情報はネットメディアだけで完結する』『YouTubeは正義だ』と思う人は危ない。公平に触れてほしい。その時に、テレビや新聞による情報の切り取り方が大事になる」と、両者のすみ分けについて語った。

 ABEMA Prime杉田プロデューサーは、「地上波は完成度が高い。VTRもスタジオもクオリティーが高く、ネットにそのまま切り出せる幕の内弁当として完璧だ」と評価。

 その上で、現状の役割分担として、「政治にめちゃくちゃ興味ある人に向けて、番組を作っているつもりはなく、むしろ『アベプラで興味を持った』くらいの人をターゲットにしている。ReHacQは政治をかじって『この政治家好き』と思う層で、もっとニッチになると選挙ドットコムへ行く」との見立てを示しつつ、「NewsPicksも含めて、連携した方が地上波に勝てる。地上波は優れていると認めた上で、敵ではなく連携するのが良いと思っている」と語った。

(『ABEMA Prime』より)

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