戦後最多の316議席を獲得してから、一夜。高市総理は9日の会見で、党が結束する必要性を強調しました。
「さまざまな声に耳を傾け、謙虚に、しかし、大胆に政権運営に当たってまいります。そのためにも国民の皆さまとお約束した政権公約を礎に、自民党が結束することが大切です」
17ある常任委員会で委員長ポストを独占し、すべての委員会で過半数を取ることができる“絶対安定多数”を確保した自民党。“少数与党”から一転、国会運営の主導権を握る立場となります。
「国論を二分するような大胆な政策、改革にも、批判を恐れることなく果敢に挑戦していくためには、どうしても政治の安定も必要ですが、国民の皆さまの信任も必要」
解散を表明したときには、その具体的な内容には触れなかった高市総理。9日、改めて、真意を問われ、こう述べました。
「まずは、これまでの自民党の政権公約には掲げられていなかった責任ある積極財政への経済財政政策の大転換です。これは、もう何としても、納税者の皆さまに先にご審判を仰ぐべきだと考えていました。それから、安全保障政策の抜本的な強化についても触れました。インテリジェンス機能の強化も訴えさせていただきました」
「責任ある積極財政」に加えて、“インテリジェンス”、つまり情報の収集・分析を行う機能の強化。いずれも“高市路線”を色濃く反映したものです。
「(Q.国論を二分する大胆な政策ですが、特別国会は、まず予算と税制だと思いますが、その後、直ちに着手したいものは何でしょうか)国家情報局を設置して、いま、さまざまインテリジェンス機関はありますけれども、その司令塔として、いまは内調が調整はしているわけですけれども、内閣情報調査室ではなく、局として格上げをする」
情報を一元化する司令塔として、『内閣情報調査室』、通称“内調”を『国家情報局』に格上げすること。これは、連立を組む日本維新の会との合意文書にも掲げられた内容です。
その先には、“保守派の宿願”ともいわれるスパイ防止法に取り組む可能性もあり、与野党からの反発も予想されます。
さらに、自ら力を込めたのが。
「この国の未来をしっかりと見据えながら、憲法改正に向けた調整も進めてまいります」
自民党が「党是」としてきた憲法改正です。公約でも「自衛隊の明記」など、4項目を中心に「国民への丁寧な説明」を行うとしてきた自民党。選挙結果を受け、党内からも前向きな発言が飛び出しています。
「ひとりの自民党議員として、どう思うかと答えさせていただければ、速やかに進めるべきだと思います。やはり自民党は、憲法改正は党是ですから、一度も国民投票にかけたことがない。そこに向かって進んでいくべき」
「3分の2あれば、憲法改正の発議もできるわけですから。もともと自民党を、何のためにつくったのか」
衆参それぞれで3分の2以上の賛成が必要となる憲法改正の発議。かつて、改憲勢力で3分の2を確保していた安倍元総理のときでさえ、実現には至りませんでした。しかも現状、参議院では、与党が過半数に満たない状況です。
「先の総裁選挙で、高市さんの掲げた基本政策は、特に経済政策ね、我々とほぼ一致してたのね。エネルギー、憲法、安全保障、これも非常にシンパシーを感じました。したがって高市さんのやりたい政策に、ブレーキをかけるつもりはありません」
「9条に関しましては、私自身としましては、解釈によって現状を乗り越えるというよりかは、しっかりと現実に即したものにしていくべきかなと」
憲法改正に明確に反対しているのは、共産、れいわ、社民の3党のみ。参議院でも、3分の2にあたる166議席を集めるのは、高いハードルとはいえないかもしれません。
「これまでの論点整理や、議論の蓄積を踏まえまして、各会派のご協力も得ながら、改正案を発議し、少しでも早く憲法改正の賛否を問う国民投票が行われる環境をつくっていけるように、私も粘り強く取り組んでいく覚悟でございます」
◆政治部官邸キャップの千々岩森生記者に聞きます。
(Q.9日の会見、どう見ましたか)
「大きなポイントの一つは、消費税です。高市総理が『夏前に中間とりまとめをしたい』とスケジュール感をおっしゃいました。実は、選挙戦の最中から、官邸筋からは、このスケジュール感は聞こえていました。ただ、9日夜、総理側近を取材すると『会見前の総理スクリプト、原稿を見て驚いた』と話しました。かなり限られた人数で、このスケジュール感は準備されていたようです」
消費税減税について、9日の総理の発言です。
9日の会見で、2年間の飲食料品の消費税ゼロについて、これまでの説明から少し踏み込んだ発言がありました。「給付付き税額控除までの2年間のつなぎ。国民会議は給付付き税額控除に賛同する野党と行う。夏前には、国民会議での中間とりまとめを出したい」と発言しました。
一方で、会見で「国論を二分するような政策」について問われた高市総理は、この3つを挙げました。
まずは“本丸”と力を込めた『責任ある積極財政』。「大胆な投資のため“予算の作り方”を変える。補正予算の前提をやめ、当初予算でやる」と話し、2027年度の概算要求から取り組むということです。次が『安全保障政策の抜本的強化」。「安保3文書を前倒しで改定する」などと説明しました。そして『インテリジェンス(情報収集・分析)機能の強化』。国家情報局の設置や外国から日本への投資の安全保障上の審査体制を強化する対日外国投資委員会設置のための法案を次の国会に提出する」と説明しました。
(Q.“国論を二分する政策”について、総理は、大筋は言うけれども、具体的に中身が見えてこない印象を持ったのですが、どうでしょうか)
「まさに文字通り、国論を二分する政策というのは、言葉をかえれば、世論が賛成・反対で真っ二つになるという意味です。ということは、こういうプラス、こういうことがマイナスになると、リスクも含めて、提示して、じゃあここで判断すればいいんだと。3つ出ていますが、責任ある積極財政、安全保障、インテリジェンス、これをどこで判断すればいいのか。私も含めて、本当にわかっている人はいないと思います。例えば、安全保障政策の安保3文書の改定ということでいえば、具体的には、大きなポイントの一つは、防衛装備品移転。つまり武器輸出です。日本から海外への。例えば、日本からの武器を得て、国が守れる。これに喜ぶ国は、当然、あるかもしれない。日本の防衛産業の基盤強化にもなるかもしれない。一方で、日本の武器で人が死ぬかもしれない。紛争を助長してしまうかもしれない。いろいろなプラスマイナスがあるが、それを表に出して、初めて判断ができると思うのですが、そこまでの説明がないわけです。高市総理って、私も普段、聞いていて、わかりやすく、自分の言葉で、率直に語るところが、支持を受けたと思うのですが、あれ、なんか霞ヶ関文学で終わっていない?これまでの政治家と同じじゃないということになってしまったら、せっかくの良さが消えると思います。ぜひ、何がプラスで何がマイナスなのか、そ上に出してほしいなと思います」













