「高市早苗が内閣総理大臣でよいのかどうか、国民の皆様に決めていただく」と、高市総理が仕掛けた解散劇。SNS上の選挙の話題も高市総理が席巻した。
高市総理の名前を含む投稿の数(リポスト、返信など含む)は公示日から右肩上がりに増加し、投票日前日には1日でおよそ200万投稿に及んだ。他の党首と比べると8倍以上となっている。
X上の選挙の“主役”は、去年2025年夏の参院選では「参政党」だったが、今年2026年の衆院選では「高市総理」となり、わずか半年で入れ替わった。「株価の乱高下のようなスピード感で消費されている」と専門家も驚く選挙におけるSNSの実態を追った。
(テレビ朝日選挙本部・秋本大輔 竹田美月)
「自民」関連の投稿最多 参院選の“参政旋風”が半年で激変
X上の「政党名」を含む投稿について、去年の参院選と今回の衆院選を比較する。
政党名では「自民党」を含む投稿が最も多く1539万投稿だった。2位は「中道改革連合」でおよそ913万投稿、3位は「参政党」でおよそ655万投稿だった。
投稿には、政党に好意的なものと否定的なものの両方が含まれているため、「支持数」とは異なることに注意が必要だが、それでも選挙の話題の中心が自民党だったとは言える。
一方、去年の参院選では結果が大きく異なっていた。トップは「参政党」の2186万投稿で、2位の「自民党」と比べても2倍以上となっていた。
高市総理の全投稿が“万バズ” 「反応数」は石破前総理の9倍
衆院選について、各党首の「発信力」をみると、高市総理が他の党首を大きく引き離していた。党首の公式アカウントから発信された投稿(返信投稿など除く)について、いいね数やリポスト数などからなる「エンゲージメント(反応)」の総数を比べた。
高市総理のアカウントの1投稿当たりの平均“反応数”は4万6408に及んだ。一つの投稿で「いいね」やリポストが1万を超えると“万バズ”など呼ばれるが、選挙期間中の高市総理の投稿はすべてが“万バズ”だった。
他の党首を見ると、2位は日本保守党の百田尚樹代表でおよそ2万1914、3位は中道改革連合の斉藤鉄夫共同代表でおよそ1万1523だった。高市総理は他党の党首に2倍以上の差をつけるなど圧倒していた。
最も反応が多かった投稿は、「私のけがについてご心配を頂いております。」「関節リウマチの持病がありまして、手が腫れてしまいました」とNHKの討論番組の欠席理由を伝える投稿で、「いいね」数は34万を超えた。
では、去年の参院選ではどうだったのか。日本保守党の百田尚樹代表が2万881でトップとなっていた。2位は参政党の神谷宗幣代表が1万5001。3位は国民民主党の玉木雄一郎代表で6291となっている。
自民党の石破茂前総理は4位の5158だった。今回の衆院選の数字と比べると、高市総理は石破前総理の実に9倍となっている。
番組“ドタキャン”擁護が拡散 衆院選は「中国VS日本」投稿も
X上で高市総理に関する話題がどのように盛り上がっていったのかを見ていく。
Xのすべての投稿を対象に“高市総理”の名前を含む投稿数(リポスト・引用ポストなども含む)を分析すると、投票日に向かって右肩上がりに増えていた。その中でも特に投稿数が急増する3つの時期があることが見えてきた。
【1:解散表明 衆院選を「中国VS日本」とする投稿拡散】
1つ目の盛り上がりは高市総理が解散を表明した1月19日と翌日20日だった。
この時期の投稿のうち、高市総理の名前を含む投稿で最もリポストされたのは、「中国国営メディアが中道改革連合の結成を報道」、「衆院選は『中国VS日本』」だとして、高市総理への支持を訴える保守系インフルエンサーの投稿だった。およそ2万1000リポストとなっている。
この時期は同じように、「中国VS日本」を強調する内容が他の上位投稿の中でも複数確認された。また、リポスト数上位10位までの投稿のうち7投稿が高市総理に好意的な投稿だった
【2:公示日「演説に涙」など拡散 統一教会との関係めぐる疑惑も】
2つ目の盛り上がりである公示日に最もリポストされたのは、高市総理の演説について「これほど明確な解散理由はない。周りの人たちも感涙」とする投稿だった。ほかの上位の好意的な投稿でも「総理の演説に涙が出た」とするものが複数入った。
一方で、この時期は高市総理と旧統一教会の関係をめぐる週刊誌報道を受けて、疑惑について言及する否定的な投稿も増えた。この日のリポスト数上位10投稿のうち、高市総理に好意的な投稿は4つ。旧統一協会に言及し否定的な投稿が4つ。どちらともいえない投稿が2つだった。
【3:討論番組“ドタキャン” 擁護の声がより拡散か】
3つ目の盛り上がりである2月1日は、NHKの「日曜討論」に高市総理が欠席し、そのことに言及する投稿が急増した。
最もリポストされたのは「医師の立場から」として、関節リウマチの症状の辛さを伝え、高市総理の欠席を擁護する投稿で、3万リポストを超えた。
2月1日のリポスト数上位10投稿をみると、「ドタキャン」として批判する投稿もあったが、擁護する投稿の方がより拡散されていた。擁護が6投稿、欠席に批判的な内容は2投稿だった。
SNSのトレンド変化「株価の乱高下のようなもの」
SNSと政治の関係について研究する立命館大学の谷原つかさ准教授は、選挙におけるSNSのトレンドの動きを、「非常に投機的」だと説明する。
また、SNSで高市総理に話題が集中した背景については、次のように指摘している。
自民党の100本を超える投稿動画すべてに「高市」
Xで見られた“高市人気”は、自民党の動画戦略にも如実に表れた。
衆院選期間中に自民党の公式チャンネルに投稿された動画は、YouTubeが82本、TikTokが59本の合わせて141本に及んだ。それら全てのタイトルに「高市」というワードが入っていた。タイトルの通り、全ての動画に高市総理が出演する形(うち3本は静止画)で、「党首を前面に押し出す」投稿が目立った。
内容でみると、高市総理の演説動画が97本で全体の約7割を占め、総理のインタビューの切り抜き動画が23本、高市総理からのメッセージとして、期日前投票を促す内容や党のPRをする内容の動画が18本だった。
投票前「静かに自分で考える時間を」
最後に、谷原准教授に選挙中のSNSとの向き合い方を聞いた。








