衆院選で歴史的大勝を収めた自民党。“高市一強体制”が確立されるとも言われる中、高市早苗総理大臣は、安全保障政策で大胆な政策転換に挑戦するとしている。
情報収集能力の底上げへ
まずは、高市総理がすぐに着手する政策からみていく。
高市総理は、テレビ朝日「選挙ステーション」の中で、特別国会で予算成立後、直ちに着手したい政策について聞かれた際に「インテリジェンス(情報収集)機能を高める」ことだと話した。
自民党と日本維新の会との連立政権合意書では、現在の内閣情報調査室を格上げし、「国家情報局」にするとしている。外務省、防衛省、警察庁、公安調査庁などの情報部門が持つ情報を集約するという。
今年に国家情報局の創設を目指すというが、それとは別の組織として2028年3月末までに「対外情報庁」の創設を目指す、としている。
朝日新聞によると、対外情報庁はアメリカのCIAなどを念頭に置いた組織で、維新の政策文書によると、対外情報庁の機能は「諜報(ちょうほう)」「防諜(ぼうちょう)」「非公然活動」の3つで、スパイ活動のようなものを行うという。
ここまでは日本政府が情報収集するという内容だが、外国による日本での諜報活動を制限する内容の話もある。
自民と維新の連立政権合意書には、スパイ防止法を速やかに成立させると記載されている。自民党は衆院選の公約にも「他国からの不当な介入を阻止するための関連法制を整える」などと記載されている。
では、この「スパイ防止法」とは具体的にどういったものなのか?
高市総理は総理就任前の去年5月、自身のSNSでスパイ防止法について「外国政府勢力によるスパイ活動を規定し、監視し、必要があれば逮捕することができる法律」だと説明している。
ただ、こうした法案は過去にも国会に提出されたことがある。1985年に自民党は「国家秘密法案」を国会に提出したが、言論の自由が侵害されるなどの反発が広がり、廃案となった。
武器輸出拡大 狙いは中国抑止?
高市総理は武器輸出の拡大にも意欲を見せ、安全保障政策の強化を打ち出している。
9日に高市総理は、安全保障政策の抜本強化などについて「大胆な政策転換、改革について、果敢に挑戦していきたい」と話している。
衆院選の自民党の公約には、「本年中に国家安全保障戦略を含む『三文書』を改定」し、「防衛装備移転三原則の運用指針の5類型を撤廃」すると明記されている。
そもそも防衛装備移転三原則とは、武器の輸出先を制限したルールのことで法律ではない。「紛争当事国への移転などを禁止」しているほか、移転するには「国際協力や日本の安全保障に資することが要件」だとしていて、輸出した後に関しても「目的外の使用や第三国への移転は事前に日本政府の同意が必要」だとしている。
輸出先を制限する三原則は今後も守るとする一方、武器の使い道を制限する「5類型」は撤廃するとしている。日本が輸出できる防衛装備品は、救難・輸送・警戒・監視・掃海という殺傷性のない5つの用途に限定するとしていて、これを撤廃することで、日本の武器が殺傷性のある用途にも使えるほか、殺傷能力のある武器の輸出拡大にもつながるという。
なぜ、この5類型を撤廃するのか?それは対中国を念頭にした「同志国との連携強化」にあるという。
朝日新聞は、中国と南シナ海で対峙(たいじ)するフィリピンが、対艦ミサイルなどを備える海上自衛隊の中古護衛艦の購入を求めているとしている。インドネシアは日本の護衛艦や潜水艦に関心を示していると報じている。
中国周辺の友好国に武器を輸出することで、中国を抑止することや、日本の防衛産業の振興にもつなげたい考えがあるとみられている。
非核三原則 “例外的持ち込み”踏襲か
高市総理は「非核三原則」の見直しを持論としてきたが、本当に見直すのか注目されている。
8日、テレビ朝日の「選挙ステーション」に出演した高市総理は「非核三原則」について堅持するのか見直すのか聞かれた際、「今は非核三原則を政府は堅持している」としたうえで、「これから国家安全保障戦略を作っていく。最終的にどういう表現を使うか分からない」と明言を避けた。
非核三原則とは、核兵器を「持たず」「つくらず」「持ち込ませず」とする政策で、日本の国家安全保障戦略に「堅持してきた」と明記されている。日本の国是ともいわれる政策だ。
ただ2010年、当時、民主党政権で外務大臣だった岡田克也氏が国会答弁で、非核三原則を堅持すると強調したうえで、有事の際にはどうやって日本の核抑止力を確保するかと問われると、「核の一時的寄港ということを認めないと、日本の安全が守れないというような事態がもし発生したとすれば、それは時の政権が政権の命運をかけて決断をし、国民の皆さんに説明する」と有事の際、例外的に「持ち込む」ことを認める答弁を行っている。
「選挙ステーション」でも高市総理は「当時の岡田大臣の発言を踏襲する」として「持ち込ませず」について歴代政権同様、緊急時には例外を認める考えを示した。
国旗破損で刑事罰に?
高市総理は日本の国旗を損壊した場合、刑事罰を科す法律にも意欲を示している。それが「日本国国章損壊罪」で「日本の国旗を傷つける行為を処罰できる法律」案のことだ。現在の法律では、他国の国旗を損壊した場合には処罰される規定があるが、日本の国旗は処罰の対象外となっている。
高市総理は、今回の衆院選の公示日に秋葉原で行った第一声の中で「今の刑法92条、外国国旗を損壊したら2年以下の懲役、日本国旗を損壊しても全くお沙汰なし。変じゃないか。日本国旗も外国国旗もお互いに尊重しよう」と話していた。
自民党と日本維新の会が署名した連立政権合意書にも、日本国国章損壊罪を今年制定することが明記されている。
自民党は2012年にも高市氏が中心となって、同様の法案を国会に提出したが廃案になっていた。その後も高市氏は再提出を目指して活動を続けていて、高市総理の悲願とも言われている。
ただ、これに関して党内から疑問の声も出ているという。自民党の岩屋毅前外務大臣はホームページに公開した動画の中で「国旗が尊重されなければいけないということは当然だと思うが、国旗が燃やされたり破られたりするような事件はない。そういうことがないのに刑法に罪を設けるのは慎重に考えるべき」だと話している。
(2026年2月11日放送分より)











