衆院選で大勝した自民党の一方で、「中道改革連合」は歴史的惨敗となった。立憲民主党と公明党による新党だが、特に立憲出身者は144議席から21議席と、8割以上が落選。安住淳共同幹事長ら党幹部や、小沢一郎氏、岡田克也氏、枝野幸男氏らの大物が相次ぎ敗北した。
【映像】10〜30代はわずか5〜6% 中道の比例世代別投票先(グラフ)
期待の中堅や若手も破れ、比例復活もかなわなかった。“1人負け”の状況の中で、中道はこれからどうするのか。『ABEMA Prime』では落選した立憲出身の元議員とともに、敗因と今後について語った。
■旧公明の力は借りれたが…旧立憲はなぜ惨敗?

政策立案能力に定評のある中谷一馬氏(神奈川7区)は、「1月17日の結党から、公明党の人々には、熱心に助けてもらった。万策を尽くした結果の大敗であり、すべての責任は候補者の私にある」と話す。「情勢調査では直前まで0.4〜5ポイント差の“激戦区”だった。しかしふたを開けると、惜敗率60%で肌感覚と差があった」。
得票を見ると、「前回から1万6000票減り、相手は4万5000票増えた。高市早苗総理の人気により、自民党は新たな支持層開拓に成功したのでは」と分析した。
新党名案が報道された当時を振り返り、「若手・中堅からは、執行部に『違う名前がいい』と提言していた。新党の代表も、公明からは岡本三成氏、立憲からは吉田晴美氏のようなエースを出した方が、選挙戦を展開しやすいと提案した。ただ、私達の政治的影響力は大きくなく、改善されないまま進んだ結果、大敗した」と分析する。
弁護士・税理士の資格を持つ藤原規眞氏(愛知10区)は、新党設立に向けた「プロセスがおかしい」と批判的な一方で、「党綱領に納得して、入党した後は感謝しかなかった。結果を出せなかったのは完全に私の責任だ」とした。
慣れない党名には「思わず『りっ(けん)……』と言ってしまった。当事者ですらそうなのだから、有権者には大きな影響があっただろう」と戸惑いを見せた。「支援者は理解してくれたが、参議議員と自治体議員は立憲と公明に残ったままのため、どうしても『半身で帰る道を残している』と捉えられたのは痛かった」。
選挙戦については「街で『戻る橋がある』『どうせ終わったら解体する』と言われ、その払拭から始まったのはハンデだった。やるなら完全にまとまるべきだった」と語る。また、「ベテラン落選で世代交代が実現した」との声には、「そうだが、代償は大きかった。私も無職になったが、授業料は正直大きい」と述べた。
東京8区で落選した吉田晴美氏は、「街頭演説には多くの人々が集まり、公明党支持者には感謝と敬意を表したい。ただ今までの選挙とは違い、街頭や電話掛け、ボランティアの増え方から『票につながるのか』と不安を感じていた」と明かす。
合流については「無所属を考えた人もいるだろう。『中道』で出る道も、『立憲』で出る道もあるといった選択肢があれば、また違ったのかもしれない。結集には丁寧な話し合いが必要だが、衆議院解散となれば議員は走るしかない」と語る。
中道結成にあたっては、「女性の顔が見えない」「すっと入ってくる短い名前がいい」などと主張したという。広報戦略についても「同性婚や食料品の消費税ゼロ、家賃手当など、良い政策はいっぱいあった。若年層に届く政策を打ち出せれば、違ったかもしれない。ファーストインプレッションは重要だ」とした。
元経済産業大臣で、旧民主党代表の海江田万里氏(東京1区)は「高市政権に強い危機感を抱いている。議員になる前に、私の番組に高市氏をよく招いたが、当時はアメリカ帰りでリベラルな発言もしていた」と回想しつつ、現在の高市氏を見て「1人の議員ならいいが、日本国の1億2600万人の指導者としてはいいのか」と苦言を呈した。
そして、「彼女には『政治家一家ではなく、女性でガラスの天井を突き破った』という期待感が先行しているが、十数年先の日本はどうなるか。何か起きて初めて『あの時の選択は良かったのか』と思うのではないか」と予想した。
■「高市早苗は総理でいいか」ワンイシューに敗れた中道

2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は、「『2世議員ではなく普通の家庭で育った女性総理』と『宗教で上がった人とおじいちゃん』のどちらがいいかと言えば、若い人には前者が改革に見える。“中革連”と略される名前も、党内で止めることができなかった。当然の負けだ」と指摘する。
世間の受け止めとして、「自民党政治の“失われた数十年”で、少子化や経済の低迷が起きたが、これを『“おじいちゃん政治”のせいだ』と捉えた時に、中道はおじいちゃん政治を続けるように見えた。ドラムをたたいて外交する高市氏は、今まででは絶対にできないことをやっている」と考察する。
また、昨今の風潮について、「『おじいちゃん政治を続けるとダメ。だったら賭けた方がいい』と社会が変わり始めている。参政党が伸び、自民党総裁選も議員票に強くない高市氏が党員票で制した。政治家と大衆の考え方がズレ始めているが、大衆に合わさず、“おじいちゃん政治家の考え”で突き進むと、より差は広がる」との考えを示した。
投票先選びにおいても、「若者は政策がわからず、『女性初の総理』と『おじいちゃん』という、わかりやすいイシューで選んだ。これを“イシュー”だと思わない感覚を持つ人が、中道の中枢にいたから負けた」とする。
経済学者で慶應大名誉教授の竹中平蔵氏は、「今回の選挙は“ワンイシュー・エレクション”だった。2005年衆院選の『郵政民営化に賛成か、反対か』と同様に、今回は『高市早苗は総理でいいか』と言った。マスコミが作り上げた対立構図でもあるが、野党は『NO』としか言えず、『またNOとしか言えない野党だ』とレッテルを貼られた」とみている。
ただし、「郵政民営化は法案を出し、100時間以上議論しての判断だった。高市氏は積極財政を掲げるが、まだ何をやるかもわからない。その状況で今回、白紙委任のような結果が出たのは怖い」とも付け加えた。
とは言いつつ、「郵政選挙で与党が3分の2を取ったが、慶大教授の調査では、ほとんどの賛成者が『よくわからない』と答えた。賛成者は、その理由として『小泉純一郎総理がここまで言うなら』と言っていた。高市氏も今回、パッションを感じさせたから勝利した」と、共通点についても触れる。
藤原氏は「ずっと自民党と寄り添ってきた公明と、ガチンコで野党をやってきた立憲が、いきなりくっついた。その違和感は自民と維新の連立よりも大きかった」と、有権者の受け止めを振り返る。
海江田氏は、野田佳彦氏(後の中道共同代表)が選ばれた2024年の立憲代表選が「分かれ道」だったと感じている。「よく“常在戦場”と言っている割に、この代表選で『選挙の顔』を選ぶという意識がなかった」。
中道の次期代表選には、階猛氏と小川淳也氏が立候補した。中谷氏は「小川氏は人の話をよく聞き、丁寧に議論を進める。強制的に世代交代になった以上、これからの中道に期待したい。『ちゃんとできる政党にならなきゃ』と、皆が思っているだろう」と語った。 (『ABEMA Prime』より)