政治

ABEMA TIMES

2026年2月15日 11:00

高市一強で“憲法改正”は?「改憲 vs 護憲の不毛な二項対立が終わった」今後の争点は

高市一強で“憲法改正”は?「改憲 vs 護憲の不毛な二項対立が終わった」今後の争点は
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 自民党が衆院選で歴史的勝利を収め、高市早苗総理は憲法改正に意欲を見せている。憲法改正は、改正案の提出後、衆参両院の各3分の2の賛成で可決。その後の国民投票で、賛成票が投票数の過半数に達すれば、新しい憲法が誕生する。

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 自民大勝により進展があるのではとされるなか、『ABEMA Prime』では、憲法改正を推し進める「ヒゲの隊長」こと自民党前参院議員の佐藤正久氏と、改正自体には賛成だが「やり方次第」との立場を取る弁護士とともに、そもそも憲法改正とは何か、今後の争点は何かを整理した。

■衆議院、自民圧勝「3分の2以上」議席を持つ意味

憲法改正の流れ

 憲法審査会で与党筆頭幹事を務めた経験もある佐藤氏は、「自民・維新に国民民主党、参政党、日本保守党を足すと、改憲もしくは9条改正に賛成する衆院議員が5分の4を超えた。これは国民の民意であり、早く国民投票を問うのが政治の責任だ」と語る。

 改正が必要な理由として、「今の憲法は、占領下の主権もない中で作られた。当時は自衛隊がなく、武装集団がない中で制定されたため、主権国家に不可欠な『いかなる時でも国民を守らないといけない』という規定がない。その手段も書かれていないのは、他国とは異なるため、直さないといけない」と説明する。

 そして、「本来はGHQが去った1952年に、その部分を憲法改正しないといけなかった。今回、国民の民意として、改憲派が5分の4になったのであれば、改正しないと『政治の不作為』と批判されても仕方ない」とした。

 弁護士の倉持麟太郎氏は、「リベラルな憲法改正は必要である一方で、自民党案には反対」との立場を取る。「戦後の“55年体制”では、大きな与党と野党が存在し、『改憲』と『護憲』を基軸にしていた。しかし、これは不毛な二項対立であり、今回やっと『護憲』が票を取れないことがわかった」。

 一方で、改憲内容については「私も改憲派だが、佐藤氏とは中身が全く異なる。第三極的なリベラルな憲法改正が、選択肢として国民に提示されていない。そうした議論を今後していってほしい」と語る。

 日本国憲法は制定以来、改正されたことがない。「そこには構造の問題がある。民主主義国家の憲法は、英語で2万5000ワードが平均だが、日本は4998ワードと少ない。条文が抽象的で、法律や政府の解釈で運用することになっているためだ」。

 また、「国民の機が熟していないという人もいるが、『憲法があっても、軍隊みたいな組織がある。自分の生活を良くするものではないが、邪魔するものでもないため、どうでもいいや』という機運はできた」と分析する。

■自衛隊、緊急事態対応など改正時のポイントは

国民の意識

 自民党は2018年、憲法改正に関する「たたき台素案」を公表した。そこでは日本国憲法の3原則である「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」は堅持しつつ、改正・追加項目として「安全保障に関わる『自衛隊』の明記と『自衛の措置』の言及」「大地震が発生した時などの緊急事態対応を強化」「参議院合区解消、各都道府県から1人以上選出」「家庭の経済的事情に左右されない教育環境の充実」の4つを提案している。

 今後の日程を見通して、佐藤氏は「高市氏は4年以内にやりたいというスケジュール感を持っているだろうが、一番のネックは参議院だ。そこで国民投票で50%を取れる条文案を作れるか。まずはたたき台として、マイルドな案を出す」と予測する。

 9条2項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」を引き合いに出し、「この条文を残しながら、自衛隊を明記しても、『自衛隊は戦力じゃないのか』となる。国民投票を見据えて、平和主義の9条を残しつつ『例外的に自衛措置は良い』とマイルドに書いているが、維新は9条2項の削除を求めている。出口となる国民投票から、参議院で予想される条文修正、その前の衆議院でどう合意するか、との逆算がカギになる」とした。

 また、現状の運用については「災害派遣となれば、自衛隊に反対する人も含めて、必要最大限に行うよう命令が来る。一方で国防になると必要最小限。理解しがたい部分がある」との考えを示す。

 倉持氏は「イタリアもドイツも、再軍備で憲法改正の国民投票を行ったが、自民党は解釈改憲で運用してきた。集団的自衛権もそうだ。9条2項をめぐっては『自衛隊は戦力にあたるか』が議論されていた。たたき台素案では『戦力を保持しない』を保ちつつ、自衛隊を『実力組織』と定めている」と違和感を示す。

 コラムニストの小原ブラス氏は、「アメリカが100年後も日本を助けてくれる覇権国家であり続けるのかわからない情勢だ。アメリカに助けてもらえるのは、コスト的に安いのかもしれないが、日本は自主防衛できる国になるべきだ。自衛隊だけでなく、軍隊として持ってもいいと思うがダメなのか」と問いかける。

 政治学者の岩田温氏は、「吉田茂元総理は、経済成長のために軽武装で、軍事費をとにかく少なくする“吉田ドクトリン”を作った。しかし晩年になって、『焼け野原だった日本に軍隊は要らないが、大国になってもアメリカに守ってもらえると考えるのはおかしい』と自分自身で書いている。それでも大事に守ってきたのは、自民党や国民の怠慢だ」と批判した。

 憲法改正をめぐっては、“緊急事態条項”を加えるかも争点になっている。倉持氏によると、「世界各国の93.2%が、憲法に盛り込んでいる。有事の多数派が暴走しないよう、緊急事態でも侵してはいけない権利を、事前に憲法で定めるのが世界的な風潮だ。しかし自民党のたたき台素案は、法律に委ねる部分が多く、そうなると多数派によって決められてしまう」という。

 コロナ禍を振り返り、「無法の緊急事態宣言を経験した。“緊急事態条項”では、ああいう時こそ『権利の制限はダメ』『裁判所が機能しないとダメ』『事後的に裁判所がチェックする』などと決めておくべきだ」と話す。

 佐藤氏は「緊急事態条項は、武力による有事ではなく、大規模災害やコロナのような際に機能するイメージだ。公共の福祉との関係で、国民の権利を抑えるかと考えた時に、国にどれだけの権限を持たせるか。国防とは分けて考えないといけない」と説明する。

 そして、「緊急事態条項も9条も、他国から『日本は何があっても動かない』と誤解されてしまうと、日本の抑止において良くない。あいまいさを議論でなくしていくことが大事だ」と理解を求めた。 (『ABEMA Prime』より)

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