政治

ABEMA TIMES

2026年2月17日 07:00

“ムネオの娘”鈴木貴子氏が仕掛けた「高市人気丸乗り戦略」…ジャーナリストが驚いた衆院選「戦後が終わった日」

“ムネオの娘”鈴木貴子氏が仕掛けた「高市人気丸乗り戦略」…ジャーナリストが驚いた衆院選「戦後が終わった日」
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 自民党圧勝となった衆院選について、ジャーナリスト・青山和弘氏は「自民党の圧勝は、“戦後レジーム脱却”への転換点。言い換えれば『戦後が終わった日』と言える」と指摘しつつも、想定外の連続だったという。激動の永田町取材歴30年以上の青山氏が、それでも驚いた“衆院選のびっくりランキング”を紹介する。

【映像】元議員が驚愕!鈴木貴子氏が取った行動

 まず10位は「『このハゲー!』豊田真由子氏が復活当選」。豊田氏は参政党から比例北関東ブロックで出馬し、「このハゲー!」発言から9年ぶりに国政復帰となった。青山氏は「『このハゲー』問題で、自民党での公認は難しかったはず。だが参政党が、官僚出身で能力は高い豊田氏に目をつけて、比例上位で優遇して復活した。これも今回の選挙の1つの象徴的な方だ」と話す。

 第9位は「減税日本・ゆうこく連合、河村たかし氏 愛知1区で堂々当選」だ。選挙前の調査で厳しいと言われていたが、立憲民主党を離党した原口一博氏と「減税日本・ゆうこく連合」を組み、77歳で7回目の当選を決めた。民社党から自民党、日本新党、新進党、自由党、民主党、名古屋市長、減税日本、日本保守党を経て、現在の党に至った。

「これだけ高市旋風があり、中道で小選挙区を通ったのは7人しかいない中で、愛知1区という名古屋のど真ん中で、自民党の候補者に小選挙区で勝ってくる。できたばかりの政党で、名前も長い。中道はどうだったと言われているが、河村氏も決して準備万端ではないし、『何がやりたいのか』はかねてから彼が言っていること。だけど勝ち切る。まさに選挙モンスターだ」

 第8位は「共産、社民、れいわ“リベラル勢力”大惨敗」。元衆議院議員の宮崎謙介氏は、「安保法制反対、脱原発のテーマにこだわりがあるなら、旧立憲の支持者の票はそれを掲げる政党に流れるはず。しかし、共産、れいわにいかなかった。単純に消えたことになり、まさに消えたリベラル票だ」と指摘する。

 青山氏は「いっときのことなのかどうか、ちゃんと検証しないといけない。世界全体で、トランプ氏もそうだが一国第一主義、右傾化が進み、帝国主義のような時代に戻る中で、日本もその流れに巻き込まれているのではないか。中道結党で左側が空いたのに、ここに票が入らない。いわゆる右・左のイデオロギー対立の時代は終わったのではないか。『戦後の日本が終わった日』と指摘したが、もうイデオロギー対立では勝てない時代に日本がなったのではないか。この惨敗はそれぐらいの大きな意味を持っている」と見る。

 第7位は「中道 選挙区当選はたった7人の衝撃」で、青山氏は「ここまで焼け野原になるとは誰も想像できなかった」と驚く。「7人というのは想像を超えるあり得ないことだ。枝野幸男氏や安住淳氏、岡田克也氏、小沢一郎氏のように、これまで何があっても、希望の党騒動や郵政解散といった逆風でも勝ってきた人々が落選した。岡田氏は比例重複していなかったが、他の人たちは比例復活もできないぐらい、完膚なきまでに叩きのめされた。中道は当選の花を付けるのもやめたほどだった。7人だけつけても寂しいだけじゃないかと」

 第6位の「チームみらい 11議席獲得の大躍進」は、「行き場のない無党派の票がここに結集した」と分析する。「財政の状況を懸念する一定の有権者と、AI・デジタルによる社会の進歩に期待する層に刺さり、差別化に成功した」。

 青山氏によると、「当初の予想は1か2議席程度と言われていたが、消費税減税を1党だけ訴えなかった。また、(当選時の)“バラ付け”の代わりにモニターを使うなど新しい、デジタルを使っての先進性も今後モデルになるだろう。野党勢力はみらいに学ぶことが多い。参議院でも2議席あるため、自民党は安野貴博党首を引きずり込みたいと思っている。ただ今回衆議院で11議席取り、簡単に自民党と一緒になるのは逆に難しくなったと思う。今後安野氏らの立ち振る舞いが注目される」という。

 得票については「消費税を下げないことに同調する年配の票が結構入っている。子育て世代も、経営マインドのある人からも幅広い支持を得ている。YouTubeではあまりバズらなかったが、新聞などで(日本の)財政大丈夫かなと思った人が意外と票を入れている。割と支持層も自民党と被らなかった部分がある」と分析する。

 第5位は「中道改革連合の公約に『目玉なし』」。「既存の勢力が選挙目当てにくっついただけに見えた。これでは無党派層の支持は得られない」「『共同代表だった斉藤鉄夫氏と野田佳彦氏の2人の顔が古い』などは最初から懸念されていた。そのせいだとするとこの現象を矮小化してしまうと思う。何よりも公約に目玉がなく、特に無党派層の期待感を集められなかった点が大きい」と指摘する。

 そして「選挙戦で演説を聞けば、『なぜ中道という塊を作ったか』『公明党の人たちは決断して偉かった』という話がほとんどで、政策の話にならず、守りの選挙だった。政策も消費税は自民党と違いがなく、安全保障も原発も立憲と公明がくっついたことで自民党とさほど違いがない。簡単に言うと『やや右寄りの高市氏』と『やや左寄りの中道』の左右の対決だけになった。それだけだと投票する理由にならなかった。みらいのような先進性や、日本を成長させるにはどうするのかなど、何らかの公約の目玉が必要だったのではないか。新代表の小川淳也氏が目玉を打ち立てられるのかが、大きな焦点だ」と語った。

 第4位は「自民党 名簿が足りず14議席返上」だ。自民党は比例の獲得議席が、候補者の数を上回ったため、14議席を他党へ譲った。青山氏は「これは躍進したみらいの11議席よりも多く、あり得ないことだ。自民党ですら『最高でここまでだろう』という得票を超えてしまったことだと思う。前回、国民民主が3議席返上したが、14議席は今までにない数だ。これがなければ、れいわは1議席も取れなかった」と話す。宮崎氏は「制度としてはおかしい。民意を反映できていない。自民党を応援したいと思って入れた票が、死に票どころか逆票になるので。制度を変える必要があると思う」

 第3位は「裏金問題の焦点 下村博文元文科大臣が当選」。旧安倍派の元事務総長として、派閥裏金事件で党員資格停止1年の処分を受けた下村氏は、前回は落選したが、今回は当選した。「これで企業団体献金の規制など『政治とカネ』を巡る議論が立ち消えになることが懸念される」。

「中道などは裏金問題を忘れてはいけないと訴えていた。旧安倍派の事務局長が、安倍氏が(還流を)やめろと言った時にやめなかったのは、下村氏の指図だったと法廷で証言している。下村氏は否定しているが、本当かどうかわからず、裏金問題の一種の焦点となっている人物だった。ただこの人でさえ、小選挙区で大差で勝った。これで『裏金問題は国民から許された』と自民党が言ってくる可能性も高いし、“政治とカネ”の議論がうやむやになる可能性もある。それぐらい象徴的な存在だった」

 第2位は「鈴木貴子広報本部長『高市人気丸乗り戦略』」だ。鈴木宗男氏の娘である鈴木貴子氏。高市総理の動画は1億回以上再生されたほか、新聞に高市総理の広告が掲載され、公約集にも高市総理の写真が多数あしらわれた。「無党派層をターゲットに『高市さんを見てください!リーダーでこんなに変わる!』という戦略を立てていたそう。それは高市総理から広報本部長に抜擢された鈴木貴子氏の仕事だそうだ」。

「高市人気で自民党は圧勝したが、その人気をブーストさせたのは自民党の広報戦略だ。パンフレットは“高市写真集”のように高市氏の写真を前面に出し、候補者にも高市氏の音声をどんどんダウンロードさせて、選挙カーや演説会場で流すように仕向けた。私は総裁選で小泉氏に投票した人に指導しているところに立ち会った。『あなたも堂々としなさい。あなたは高市政権の一員なんだから』と。その選挙区は参政党からも出馬して、ビビっていた。参政党が高市氏を応援するのはおかしいと言ってきても、いや、総理大臣指名選挙で高市さんに入れたのは(選挙区で)自分だけなんだといいなさい、と指導していた。ネット戦略でも1億回再生を超えた動画では、とにかく他党の批判をせず、シンプルな背景で『リーダーが変わると雰囲気も変わる』と前面に打ち出す戦略を取った。鈴木氏の馬力が、結果を最後後押しした」

 そして第1位は「投票率全国最低 石破茂前総理の地元“鳥取県”」。衆院選の小選挙区の投票率は、前回より2.4ポイントアップの56.26%だったが、石破氏の地元・鳥取は10.41ポイント減と全国最低だった。また衆院選では、前回から唯一、比例代表で自民票を減らした都道府県にもなった。

「大雪で下がるのではと言われていたが、全国で2.4ポイント上がった。北陸などは下がったが、そんな中で10ポイントも下がり、しかも投票率がワーストだったのが鳥取だ」「石破氏が総理の椅子を不本意な形で降ろされたこと、そして高市政権への反発や失望があるのではないか」

 青山氏は、今回の衆院選が時代の転換点になるのではと考えている。

「戦後日本は、戦争の反省やGHQの支配の元で、平和国家として歩み出した。一定のリベラル勢力が『憲法を守れ』『自衛隊は違憲』と言う人たちがいたが、今回そうしたリベラル勢力がほぼ壊滅状態になった。戦後日本の歩み、安倍晋三元総理の言葉で言えば『戦後レジームからの脱却』。安倍政権では公明党との連立で難しかったが、維新との連立に組み変わり、国際情勢も変わり、一気に日本がかじを切った日と言っていいぐらいの結果だった」

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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