高市総理主導の衆院選で自民党は圧勝し、単独で3分の2以上の議席を獲得。大敗を喫した「中道改革連合」は巨大与党にどう対峙するのか。新たなリーダーに選ばれた小川淳也・代表は、2月15日「BS朝日 日曜スクープ」に生出演。「国の長期的な繁栄」に向けての野党の役割を強調し、党勢回復への決意を語った。
1)衝撃の大敗で小川代表「何のために存在する党か、明確に」
衆院選で中道改革連合は167議席から49議席と、議席数を激減させた。大敗を喫した状況で、小川淳也新代表は何から始めようと考えているのか。
どんなことから始めるかは、なぜ負けたのかということと深く関わっている。選挙直前の新党結成で、ある意味、アイデンティティが揺らいで、有権者の間にも戸惑いがあったと認識している。一体何のために存在し、どこを目指す野党第1党なのかということを改めて明確にしていく。これが立て直しに向けた最大にして唯一のコンテンツだ。
さらに小川代表は今後の党運営について以下のように語り、党人事の方針を明らかにした。
国家にとって、社会にとって、国民にとってこのように役立つ党だと、このようなことを目指している党だとはっきりすればするほど、それが推進力となり、推進力から求心力が生まれ、求心力があるからこそまとまっていくというストーリーを私は描きたい。
代表選挙直後の人事は、代表選挙の構図を踏まえたものにならざるを得ない。さらに、公明党との合流新党であるため、あらゆる意味での党内バランス、党内融和に配慮しなくてはならない。そうした中で、できるだけ若手・女性の登用に努め、体制を刷新していきたい。公明党議員の中にも、お互い既知の人も少なからずいるので、ひざ詰めでじっくりと話し、意見を交わしていく。
長年、政治の動きを取材してきたゲスト解説者も小川代表に今後の党運営を問うた。
来年春には統一地方選がある。さらに再来年夏には参議院選挙がある。今回、衆議院では公明党が中道についたが、公明党の支持母体である創価学会は、地方選挙とりわけ統一地方選には力を入れていて、1年前には選挙の準備に入る。さらに参議院は、いわゆる組合系の組織内候補を中心に、労働組合は2年前から二巡するというのがこれまでのパターンだ。
(公明党出身の前共同代表)斉藤鉄夫氏は「地方議会や参議院も、新党に合流してもらう」と言及していたが、変わりはないのか。
大方針として意識に置きたい気持ちはある。ただ、選挙結果が極めて厳しかったので、各自それぞれの想いがある。それは当然と受け止めている。その上で、これから党勢浮揚につながるような取り組みに成功すれば、期待をかけてみようと思う人も出るだろうし、上手くいかなければ、どん詰まる可能性もある。先がどうなるかは党勢浮揚と表裏一体だ。仕掛けた人の思いは大事にしたいが、あまり固定概念は持たずに取り組みたい。
今回の衆院選は複雑な経過がある中、1000万人以上の方が比例で「中道」と書いてくれた。大勝した自民党でも、比例票を投じたのは2000万人。その半分が「中道」に票を投じてくれた。この重みは、今国会において全身全霊で体現していきたい。好んで投票された方も、複雑な思いで投票された方もいると思う。そうした方たちの期待や想いを決して軽視したくない。
前回の衆院選で立憲民主党と公明党が集めた票に、今回、中道が集めた票数は達していない。1+1は2にならなかった。代表選のときも、旧立憲と旧公明、バラバラに集まって会議していた。現場で取材をしていると、党内の結束には、だいぶ時間がかかりそうだと認識している。
もともと結党した時には、共同幹事長、共同政調会長という合併直後ならではの並存の態勢になっていたが、それはやめたい。責任の所在を明らかにする。党内融和を意識した時に、例えば何々委員長がこの人であれば、補佐する形で、何々委員長代理とか代行とかをこちらからとするなど、バランスは取りたいと考えているが、まずは骨格を固めなくてはならない。
2)国民民主・玉木代表とは高校の同窓生「国のため国民のためには…」
中道改革連合は、衆院選前に中道勢力の結集を呼びかけて結成された。小川代表と国民民主党の玉木雄一郎代表は、香川県立高松高校の同窓生。連携を強めていく考えはあるのか。
玉木代表とは隣町で、20年一緒にやってきた。半分以上同じ党で苦楽を共にしてきた。外から何と言われようが、2人にしか分かり合えない世界がある。同志でありライバルであることを否定しないが、国のため国民のためにやろうと思えば、そんなこと、どっちでもいい。私が立憲民衆党の幹事長の時から、国民民主党と連携しようと努力して、できた部分とできなかった部分がある。代表としては玉木氏が大先輩なので、謙虚に丁寧に色々とご相談申し上げたい。
自民党を中心とした政権与党が過半数を割るという、日本の歴史を振り返っても数回しかないような状況が1年前。あの時、野党の足並みがそろっていれば政権交代で、高市政権が誕生していたかどうかもわからない。私は、定期的に政権交代が行われ、システムとしてインフラとして野党第1党がしっかりしていて、時々政治の浄化と政策の軌道修正が行われた方が、必ずこの国は長期的に繁栄すると確信している。そのために野党第1党に身を置いている。野党の足並みが乱れた間に、1年で自民党は過半数割れから300議席を越えた。それぐらい、自民党は強くてしたたかなことを前提に、野党各党の皆さんと色んなことを乗り越えたい。お互い体面や面子もあるだろうが、国のため国民のため乗り越えようではないかと、謙虚に、丁寧に呼び掛けたい。
中道路線という部分で公明党と立憲民主党は、もともと親和性はあった。他方で、公明党は昔の野党時代も旧田中派との連携があるなど、純然たる野党というよりも、政策実現的な要素が非常に強い。今回も政権交代はあまり声高に叫ばずに、むしろ穏健な保守も含めて、場合によっては自民党も含めて中道勢力の結集だと言っていて、ある意味インパクトに欠けた。旧立憲民主党の場合は、政権、自民党、公明党と対峙してきた。高市自民党とは組めないが、自民党の穏健保守とは組めるというのは、野田氏も言ってはいるが、とりわけ公明党側に強い。そう考えると、まだ温度感の違いというか、同床異夢の感がある。この基本的なスタンスは、実は統一地方選や参議院選挙に挑んだ時に、政権を取りにかかるのかどうなのか、非常に大きな違いがある。
私は議会制民主主義発祥の国であるイギリスに1年間いた。イギリスには「政権は野党が奪うものでは決してなく、与党が失うものだ」という格言がある。これは、野党は政権を奪いに行かなくていいということではなくて、準備、備え、鍛錬を怠ってはいけない。それには、当然、権力監視は厳しく行う。一方で、与党政権に対し、社会は将来こうあるべきという、未来の社会像を明確に提示していく。これら車の両輪が揃って初めて野党第1党だ。
有権者が現状の政治に不満を持っているのは間違いない。「中道」はいいが、改革を打ち出していくことが高市総理と対峙する上で一番重要ではないか。中道改革連合としての改革、コンテンツは何なのかという部分を密にして提示し、改革の旗を出すことをどう考えているのか?
私はそのために政治家をしている、全身全霊をかけて。自民党がこれまで掲げてきたいくつかの政策は、私に言わせれば、看板倒れだ。看板、スローガンを掲げたが、大して社会は変わってない。その本丸に豪速球を投げ込むような社会改革ビジョンを掲げたい。チャレンジする。ぜひ見守っていただきたい。
(「BS朝日 日曜スクープ」 2026年2月15日放送より)
<出演者プロフィール>
小川淳也(「中道改革連合」代表。元自治・総務官僚。東京大学法学部卒業。当選8回。自身に密着したドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」2020年公開)
久江雅彦(共同通信社編集委員兼論説委員、杏林大学客員教授。永田町の情報源を駆使した取材・分析に定評。新著に『証言 小選挙区制は日本をどう変えたか』(岩波新書))
今野忍(政治ジャーナリスト。元朝日新聞記者。菅・岸田元総理らを担当。政治部で官邸、与野党、防衛省など幅広く取材)
杉田弘毅(ジャーナリスト。21年度「日本記者クラブ賞」。明治大学特任教授。共同通信でワシントン支局長、論説委員長などを歴任。著書に「国際報道を問い直す-ウクライナ紛争とメディアの使命」(ちくま書房)など)






