先の衆院選で自民党が圧勝し、中道改革連合は大敗を喫した。立憲民主党系の議員は、わずか約15%に激減。共産党やれいわ新選組が議席を減らし、社民党も獲得議席ゼロになるなか、SNSでは「リベラル総崩れ」との声も見られる。
『ABEMA Prime』では、今の政局が「右と左」「保守とリベラル」で語られているのかを議論。若手識者からは、高市旋風を「推し活」と表現するメディアや野党に対しての疑問も投げかけられた。
■右も左も関係ない 自民圧勝・中道大敗の理由

東京25区から中道改革連合で立候補し落選した、よだかれん氏は、「政策的に中途半端になった。立憲民主党は結党時の思いに立ち返り、公明党は自公政権を振り返り、反省しつつも新たな立ち位置でやっていくことが期待されていたが、そうではなかった。立憲は大幅に右へ寄ったが、公明は立ち位置を変えず『よかったら一緒に』という構図を感じた」と敗因を語る。
日本若者協議会・理事の佐々木悠翔氏(23)は、若者の投票行動を分析したnoteの記事が話題だ。「中道は政策面であいまいだった。選挙ドットコムのデータによると、中道支持者に“支持する政策”を聞いたところ、政治資金問題だけが勝っていた。他は教育や雇用、経済政策を取っても、自民には勝てなかったと結論づけられる」。
そして、「安全保障政策や経済政策で、かなり迷走していた。消費減税は、立憲内部ではルビコン川を渡る思いで意思決定したのだろうが、高市政権が消費減税を決めてしまい、論点が崩れてしまった。それ以降、二の矢、三の矢の政策を出せず、どんどん埋没していった」と考察する。
また、価値観の差として、「私たち若年層には保守・リベラルの対立軸が浸透していない」と指摘する。「書籍『イデオロギーと日本政治』の分析によると、自民党は右であることが明らかだが、左は世代を通した一致が見えていない。政治に詳しければ、共産党が左に来るはずだが、若い世代には立ち位置はわからない。最近では国民民主党や参政党、維新のように、目の前の課題と、その解決策を提示する姿勢が、自民党に対峙(たいじ)できる政党として評価されている」。
近畿大学 情報学研究所 所長の夏野剛氏は、「もはや“リベラル”という言葉がわからない。高度成長期で働きづめの時代に、知識階級が『これで幸せになれるのか』と提唱した。『労働者の環境を守ろう』といった違う角度で切ったため、一定の支持が付いたが、今は国際情勢も厳しく、経済も悪いため、争点にならない」と話す。
そのような状況下では「どの政党にも簡単に解決できず、争点にならない。その中で、新しい角度として『女性首相が変えてくれる』と思ってしまった。中道の“おじさん2人”では変わった感じがせず、イメージで負けた。消費税の争点もつぶして、自民党に票が集まった」とみている。
■「推し活選挙」呼びはズレている?

今回の衆院選は「推し活選挙」だったとの報道が相次いでいる。日経新聞(2月10日)は「『推し活』選挙が溶かした政党政治 『戦後民主主義』に引導渡す」、毎日新聞(2月10日)は「まるで『推し活』で地滑り的勝利 高市自民の圧勝をどう見るか」、朝日新聞(2月13日)は「『推し活』化した衆院選と野党崩壊は何を招くか」と報じた。
しかし佐々木氏は「『推し活』と断じることに違和感がある。新聞社の『無知の大衆が雰囲気だけで決めて、頭の良い私達にとっての“正しい選択”がなされなかった』といった姿勢が浮き彫りになっている」と批判的だ。
「理由は2点あり、まずは高市支持の理由として、“実行力”や“政策”を挙げている人が多いこと。過去の政権を見ていると、人柄や『支持政党の党首だから』といった理由が一番上だった。また、街頭演説などで、他党より粘り強く政策を訴えていたことも印象的だった」
夏野氏は「保守に対する革新は、変革や改革を意味しているのに、“護憲”と言うことで『保守ではないか』となっている。野党はもっと規制改革を主張した方が良い。世界でライドシェアが解禁されていないのは日本だけで、自民党だから変えられない。なぜこれらを争点にしないのか。僕は規制改革会議に居たが、野党の方がむしろ『弱者をいじめるな』と反対する。『古い規制を変えよう』は野党的なのに、これすら言わないため、現状維持に聞こえてしまう」と語った。
野党に対するイメージとして、佐々木氏は「リベラル勢力に『我々は大衆を導く光だ』という思想があるのではないか。自らを選択肢の1つではなく、唯一の終着点だと位置づける。あるいは人権や環境など、誰もが反対できないことを主張して、議論を自分の土俵に導いている。その位置から降りることが第一歩だ」と提案する。
野党の立ち位置について、ひろゆき氏は「高市氏の経済政策を批判しているが、中道よりはマシだ。中道は『原子力発電所を使うかどうか』を議論しているが、石油やガスが高い中で、電気料金を安くするには、原発を使うしかない。経済に至る土台にすら立っておらず、『こいつらに経済を任せたらとんでもないことになる』と認識されている。そのズレを感じず、『自分たちならできる』と思っている」と分析する。
中道の小川淳也新代表は「権力監視の先頭に立とう」と宣言していたが、夏野氏は「“権力監視”という言葉から、昭和を感じる」と述べる。「『巨大与党の権力の横暴や怠慢』など感情論を話しているが、それは議席で決まるものだ。何をもって“権力監視”とするかもわからず、その暇があれば、国民民主党の『103万円の壁』などワンイシューで勝負すべき。“権力監視”と言うことで、偉そうに感じる」。 (『ABEMA Prime』より)