政治

ABEMA TIMES

2026年2月27日 21:30

高市総理の発言が波紋 「男系天皇」って何? 専門家「勇み足では」「“私の信念”と押し切ってしまうと…」「鷹派の小林政調会長と示し合わせたかもしれない」

高市総理の発言が波紋 「男系天皇」って何? 専門家「勇み足では」「“私の信念”と押し切ってしまうと…」「鷹派の小林政調会長と示し合わせたかもしれない」
広告
1

 27日、皇位継承の在り方を巡って高市総理が「男系男子」への強いこだわりを示した。なぜ高市総理は固執するのか? そもそも「男系男子」とは何か?象徴天皇制に詳しい名古屋大学の河西秀哉准教授に聞いた。

【映像】これまでの「女性天皇」一覧

 高市総理の「皇統に属する男系の男子に該当するものに限ることが適切とされています。政府としても私としてもこの報告を尊重します」という国会での答弁に対し、河西准教授は「少し“勇み足”だと思う。有識者会議の報告書には『悠仁親王までは』と書かれているが『男系男子にこだわる』などとは書いていない。そもそも有識者会議の報告書は皇位継承の問題というより『皇族数を増やす』ことについて書いてある。そのため、自分の思想の方が先に出ている印象を受けた」と述べた。

 なぜ高市総理は「男系男子」に並々ならぬこだわりを持っているのか?

 河西准教授は「おそらく世間的に天皇、皇后の子どもである愛子内親王の人気が高いことに加えて、女性天皇を待望するような声も大きい。その中で『女性天皇がいいのでは』などという声が出てくることを避けようとしているのではないか」と分析した。

 先の選挙で自民党が圧勝したことも高市総理のこのタイミングでの発言と関連しているのか?

 河西准教授はこれを肯定しつつ「自民党の今回の選挙公約の中に男系男子の“旧宮家”と呼ばれる人たちを養子に入れることが第一優先だと書いてあった。この公約を意識していた人は少ないが、この公約を掲げての圧勝したことでかなり強気になっているのではないか」と推測した。

 河西准教授は、そもそも皇位継承について国会で質問したのが同じく鷹派の小林政調会長だった点にも着目する。「もしかしたら示し合わせたかもしれない。つまり、国会でのこの発言によって既成事実を作ってしまい、『これこそ伝統だ』『有識者の報告書も出ている』などと押し切ろうとしているのでは」。

 そもそも、男系天皇、女系天皇とはどのような意味なのか?

 河西准教授は「男系というのは、父方から天皇の血を引き継いでいる人のことをいう。一方で、女系は母方から天皇の血、皇族の血を継いでいる人のこという。だから、例えば愛子内親王は父親が天皇なので男系になる。そしてもし愛子内親王と皇族ではない方との間に子どもが生まれた場合、女系という形になる」と説明した。

 日本の歴史上、女系天皇は存在しなかったのか?

 河西准教授は「とても難しいところだ。例えば大化の改新で知られる中大兄皇子は父親も母親も天皇だ。つまり、男系でも女系でもある形だ。とはいえ、父親が民間人で、母親が皇族という、純粋な女系の人が天皇になったケースは今までなかった」と解説した。

なぜ高市総理は「男系男子」にこだわるのか?

【写真・画像】高市総理の発言が波紋 「男系天皇」って何? 専門家「勇み足では」「“私の信念”と押し切ってしまうと…」「鷹派の小林政調会長と示し合わせたかもしれない」 2枚目

 過去にも女性天皇はいたが、今の政権は男性にこだわっている。いつからこのような流れになったのか?

 河西准教授は「『天皇は基本的に男系男子だ』と規定されるようになったのは明治に入ってからだ。明治の大日本帝国憲法の中に、万世一系の男系男子などと書いてある。明治、つまり日本が近代国家としてスタートして、その後戦争とか突き進むわけだが、国家として“強くマッチョな感じ”になる中に、日本国家を象徴するものとして男系男子天皇がいたということだ。その規定が戦後、日本国憲法になって男女平等が進む中でも結局そのまま残ってしまった」と説明。

 自身が日本初の女性総理になった中、なぜ高市総理は男系男子にこだわるのか?

 河西准教授は「先述のように、日清・日露などの戦争に勝利するという輝かしい時代の遺産、そこからの伝統だ。つまり、日本が強かった時代、勝ち誇ってた時代に決められたものを守りたいという感覚だと思う。実は男系男子にこだわっている人たちは、例えば選択的夫婦別姓にも反対してる人たちと非常に重なる。家がすごく大事で、はっきりは言えないが『家の中でお父さんが一番偉いのだ』というある種の家制度、その根幹としての象徴天皇みたいなところがあるのでは。そんな中で高市総理が男系男子に固執するのは、自身がまだ残っている男優位社会の中で勝ち残ってきて、まさに女性として初めて総理になった。女性の中でも“特異な存在”であるということが『あえてその制度を作らなくても』という形になっているのだと思う」と分析した。

結婚相手には「男性を生まないといけない」という重圧が生じる?

【写真・画像】高市総理の発言が波紋 「男系天皇」って何? 専門家「勇み足では」「“私の信念”と押し切ってしまうと…」「鷹派の小林政調会長と示し合わせたかもしれない」 3枚目

 現在の皇室の家系図見ると、皇室が減っていることは明らかだ。現行制度のまま進むと悠仁さまには「絶対結婚しないといけない」というプレッシャーがかかり、そして結婚した場合も結婚相手には「男性を生まないといけない」という重圧が生じるだろうか?

 河西准教授は「その通りだ。このまま進むと皇位継承できるのは悠仁親王しかいなくなる。自民党を含めて、それじゃいけないということで、例えば愛子内親王を結婚後も残そう、女性皇族を結婚後も残そうという案は出ている。そして、戦後離れた旧宮家と呼ばれる人たちを養子にしようという考えもある。それでも、例えば愛子内親王が残ったとしても、現在国会で話し合われている案では、結婚相手も子どもも皇族ではないので、言ってしまえば、その代がいなくなったらまた皇族の数が減ってくる。旧宮家と呼ばれる人たちを養子に入れたところで、そこでも『男の子が生まれなければいけない』という状況になっていく。だから、『今はいいから』といくつか制度を変えたとしても、後々『やっぱり男の子を生まなきゃいけない』という最終的なところが変わらない限り、またどこかで危機が訪れる」と説明した。

 今後、皇位継承についてどのように議論を進めることが望ましいか?

 河西准教授は「国民の意見をもっと吸い上げるような形を取った方がいいと思う。今回の高市総理のように『私の信念』などというような形で押し切ってしまうと、他の人たちが『いや、私はそんな制度を認めない』と言ったときに、この象徴天皇制自体が国民にとって必要ないという話になりかねない。だから、世論をもっと聞いて、『一番みんながまとまれるところはどこか』、総理の信念とは別に、ちゃんと考えた上で、対案を作ってほしいと思う」と述べた。

(ABEMA/ニュース企画)

広告