政治

ABEMA TIMES

2026年3月3日 07:00

かつて新人議員に10万円商品券で批判も…石破氏は高市総理の3万円カタログギフトどうした?ジャーナリストが解説

かつて新人議員に10万円商品券で批判も…石破氏は高市総理の3万円カタログギフトどうした?ジャーナリストが解説
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 高市早苗総理が衆院選で当選した自民党議員315人に、約3万円相当のカタログギフトを贈っていた事をめぐり、批判が相次いでいる。高市氏は「法令上、問題ないとの認識」を示した。

【映像】高市総理が贈った3万円のカタログギフト(複数カット)

 高市総理はXで「衆議院総選挙後、自民党衆議院議員の全員宛に、今回の大変厳しい選挙を経て当選したことへの労いの気持ちも込め、今後の議員としての活動に役立てていただきたいと考え」と綴り、自身が支部長を務める奈良県第二選挙区支部から、総額約1000万円相当のカタログギフトを寄付したと説明。その原資に政党交付金を一切使っていないと主張した。

 政治資金規正法では、公職の候補者の政治活動に関して、個人が金銭や有価証券による寄付を行うことを禁止しているが、支部を含む政党からの物品の寄付は認められている。つまり高市総理は、個人ではなく、あくまで支部からの寄付だとして「問題ないとの認識」と述べているが、今回の騒動は政治とカネの問題で、自民党が大きく揺らいできた中で起きた。

 依然、支持率が高い高市総理だが、ジャーナリストの青山和弘氏は「高市総理ならこれまでの古い永田町の体質を変えてくれる、と期待していた人々を失望させる可能性がある」と指摘する。

 中道改革連合の小川淳也代表は、国会で「私も総理からギフトを頂いたことがあり、奈良のおしょうゆの小瓶を頂いた。1000円はした、そうですか」と質問し、高市総理は「恥ずかしいですが、昭和の中小企業のオヤジ、社長みたいなところが、まだ私にはあるのだろう」と答弁した。

 しかし昭和の社長と政治家では、法律はもちろん、求められる姿勢も異なる。青山氏は「政治資金には所得税がかからないなど多くの特権がある。その代わりに高い倫理性と透明性が求められる。企業の社長が扱うお金とはワケが違う」と語る。

 3万円分のカタログギフトは、どんなものが入っていたのか。高市総理が実際に贈ったカタログギフトの中を見てみると、高級銘柄牛の米沢牛や、江戸前うなぎの蒲焼き、老舗割烹のふぐ刺し、さらにはペアでのリゾート施設宿泊や、寿司店での食事まで、さまざまな品物が並んでいた。

 ギフトコンシェルジュの河野ひろこ氏は「私個人としては、そこに大きなお金をかけないでほしい、という感情はありつつ、3万円のカタログギフトというものは、商品券や現金のような“生々しさ”というか、直接的な金銭的なものをあまり感じさせないもの」と説明する。

 3万円のカタログギフトで、一般的に選べる商品として「ブランドの鍋セット、ホーロー鍋のセット。ファッションアイテムだと、レザーバッグやダイヤモンドを使ったネックレス」があると紹介した。

 この問題をめぐっては、市民団体「検察庁法改正に反対する会」が公職選挙法に違反する疑いがあるとして、東京地検特捜部に告発状を送付するなど、火種が広がりつつある。

 当選祝いといえば、2025年3月、石破茂前総理が初当選議員15人に対し、10万円の商品券を渡していたことが明るみに。石破氏は、1期生の選挙活動を支えた家族に対するねぎらいが目的で、お金はポケットマネーだと釈明。記者の「政治資金規正法に抵触しないか?」との質問には、「第何条のどの条文を仰っていますか」などと逆質問した。

 しかし、批判は高まった結果、石破氏は「法的に正しいといっても、世の中の方々との感覚と乖離(かいり)した部分が大きかったということは、痛切に思っている。大変申し訳ございません」と謝罪。当時、この問題で党内では「石破おろし」が加速し、退陣のひとつの要因になったとも言われている。

 なぜ石破氏の場合は、総額が高市総理に比べると少額だったにも関わらず、あれほど追い詰められたのか。青山氏は「支持率が低迷する中で、野党の批判と世論の風圧に耐えられなかった」と語る。なお、石破氏から商品券をもらった新人議員らは、すぐさま返却したという。

 高市総理は、返還について「求める考えはない」「発注も請求書の宛先も支部名だ。支部の政治資金収支報告書にも記載して報告する」と発言しているが、高市氏の支部から贈られた3万円分のカタログギフトを315人の議員はどうするのか。

 青山氏によると、石破氏は周辺にこう語っているという。「当選14回の私にも届くとは……。だから最初は誕生祝い(2月4日が誕生日)かと思いました。送り返すなんてことはしません。面白おかしく取り上げられるだけですから」。

 青山氏は「今回高市総理は、いろいろな省庁にも『違法ではないよね』と相当確認をして出した」と解説する。「石破氏の場合は、有価証券の商品券でお金に近いが、カタログギフトは物扱いだ。最悪交換しなくても良いと、二重の意味でファイアウォールというか、大丈夫なように考えている。法律上問題があるかないかよりも、物を贈り合ったりして政治にお金がかかっているのかと。特に高市総理は、今までの永田町文化とはかけ離れた、新しい風を送ってくれる人として期待した人も多く、昔から続いているこういったものが『今でも必要なのか』と思わせた」。

 自民党内からも「カタログギフトなんて贈る必要なかった。余計なことをしたもんだ」「選挙で大勝して高市さんも舞い上がっちゃったのかね」との声が出ているという。「これだけ選挙で勝ったのは高市総理のおかげだと、みんなわかっている。いまさらカタログギフト3万円をもらい、さらに恩義を感じる人はほとんどいないから必要なかったねと言う声も。ただ、自民党内でも『法律上は問題ない』のだから良いんじゃないかといった擁護論はもちろんある」。

 「中小企業のオヤジ」発言については、「高市総理はユーモアに変えるのがうまいが、『労って欲しい』という連絡がたくさんあったそう。石破氏もそうだったように、新人議員とは1回食事会を開いたり、小泉純一郎元総理も“小泉チルドレン”に食事会を開いていた。『物をもらうより、総理と直接話したい』が当たり前だと思うが、高市総理は基本的に夜の会合をやらない人。本人は『飯会が苦手な女だ』と冗談めかして言って、だから気持ちとして労いを示したいという中でギリギリの判断でカタログギフトにした」。

 価格設定には「結婚式のご祝儀と同程度と考えた。高すぎず安すぎずが3万円だったと明かしているが、3万円のカタログギフトはあまり見ない。しかも結婚式はご祝儀を渡すが、引き出物はこんなに高くない。ちょっと庶民感覚から離れているかなというのは否めない」との認識を示す。

 石破氏の周辺への取材では「まさか自分にまで届くとは思っていなかった。自分は結局、商品券を送り返してもらうことになったが、自分は高市さんに送り返さない。送り返せば、メディアが騒ぎ、また『後ろから鉄砲を撃っている』などと、高市氏の足を引っ張っているみたいに面白おかしく取り上げられるだけだからそんなことはしない。事務所に置いてあるという」と明かす。

 青山氏は「来年また自民党の総裁選がある。党内からまた対抗馬が出るかもしれない。高市総理は元々、党内基盤があまり強くないため、少し固めておきたいという思惑が脳裏をよぎったのかもしれない」。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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