政治

ABEMA TIMES

2026年3月21日 10:00

防衛装備品は武器とは違う?日本が迫られる“武器輸出”の意味と是非 専門家「日本1カ国だけで日本を守るのはもう難しい」

防衛装備品は武器とは違う?日本が迫られる“武器輸出”の意味と是非 専門家「日本1カ国だけで日本を守るのはもう難しい」
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 中東やウクライナ情勢のみならず、アジアでも安全保障環境に緊張が走るなか、日本では防衛装備品輸出のルール見直しが議論されている。日本は現在「防衛装備移転三原則」に基づいているが、高市早苗総理は「時代が変わった」と発言した。

【映像】日本製の防衛装備品

 日本は国際社会において、どのような役割を求められているのか。『ABEMA Prime』では専門家が、日本が置かれている立場などを解説した。

■海外への武器輸出が日本のため?

防衛装備移転三原則

 防衛装備移転三原則は、「日本が締結した国際条例や国連決議に違反する国、紛争当事国への移転は禁止」「平和貢献・国際協力や日本の安全保障に資する場合に限定して移転を認める」「目的外使用や第三国への移転については、日本の事前同意を相手国政府に義務付けて、適正管理が確保される場合に限定して可能」から構成されている。

 自民・維新の与党は3月6日、「防衛装備移転三原則の運用指針」の見直しに関する提言を高市総理に提出した。主な内容として、殺傷能力を持つ「武器」の海外輸出を原則可能にすること、武器輸出先を国連憲章に沿った使用を約束する国に限定し、戦闘が行われている国へは原則認めない、などが盛り込まれている。

 日本の安全保障の要である防衛装備庁の元長官、土本英樹氏は、「核の均衡を保ちながら、各地で代理戦争が行われていた冷戦期とは違う。日本は今、核兵器を持つ3カ国に囲まれている。ある国は日本の近くに弾道ミサイルを撃ちまくる。ある国は力で現状変更しようとして、尖閣周辺によく来る。もうひとつの国は、ヨーロッパの正面で国際法違反の侵略行為をしている」と説明する。

 こうした状況もあり、「明らかに日本周辺の安全保障環境が変わり、政府も最近の防衛白書では『戦後最も複雑で最悪な状況だ』と評価している」のだという。「日本1カ国で防衛は成り立つのか。日本を守るには、2つのパーツがある。まずは“抑止力”で、諸外国が『これを持っている日本に攻めると大変なことになる』と感じる。もうひとつが、攻められた場合の“対処力”。攻められたときに、何もできないのでは困る」。

 そして、「これを1カ国でやるのは非常に難しい。となると、同盟国や同志国に日本の装備品を渡して、その国のキャパシティーを高める。地域全体を安定させるべく、しっかり抑止力を確保し、いざという時の対処力も強化する」ことが、武器輸出拡大の理由のひとつだとした。

 また、「ウクライナ戦争がここまで長期化するとは、誰も思っていなかった。継戦能力を保つには、弾薬やドローンを供給し続けないといけない」とし、その時に装備移転が果たす効果について話す。

 防衛産業への影響として、まずは「平時は移転しておいて、万が一日本が攻撃された場合に、移転用の生産ラインを自衛隊向けにする」。2つ目は「海外に出せるとなると、企業としても投資しやすくなる」。第3に「量産で価格が安くなる」、最後に「サプライチェーンの国際化で、万が一の時に備える」が考えられる。「オーストラリアに護衛艦を輸出する予定だが、最初の3隻は日本で作り、4隻目からはオーストラリアで作る。すると両国で同じ装備品が作られるため、有事で日本の防衛産業がやられても逆輸入できる」。

■世論調査は反対過半数、どう伝えるべき?

世論調査では反対過半数

 しかし現状、世論調査では反対が過半数だ。共同通信によると、全国電話世論調査で、防衛装備品の輸出ルール緩和による殺傷能力のある武器輸出緩和について聞いたところ、「認めるべきではない」56.6%、「認めるべきだ」36.9%となった。こうした声に、土本氏は「日本の事前同意を取る枠組みで、懸念に対しては担保しているが、政府の説明は少し足りない」と返す。

 「武器を渡すから、戦争が続く」という意見もある。これには「ウクライナのように、国際法違反で侵略を受けた国に対する支援は、正義ではないか」と返答する。「今回の与党提言では、殺傷力のあるものは協定を結んでいる18カ国に限定する。ここにはアメリカも入っている。そして原則的に、戦闘が行われている国は認めない。あくまで“原則”であり、日本の安全保障上必要がある場合は認められており、ウクライナのようなケースを念頭に置いていると言われる」。

 また武器輸出をめぐる原則には「誤解がある」とも話す。「憲法9条は武器輸出を禁じていない。戦後すぐは東南アジアにピストルを出している。日本政府は『憲法の平和主義の精神にのっとる』と言っていて、国際紛争の助長や、国際法違反の侵略行為に使われるのがわかっている輸出はダメだと言っている。今の三原則も、この精神にのっとっている。武器輸出で地域の抑止力が高まり、日本に対する侵攻の抑止につながる。そうした同志国に輸出する」という。

 イメージ面については、「岸田内閣の戦略三文書で『防衛産業は防衛力そのものだ』と肯定的な評価を得た。高市内閣は年末に新たな三文書を作るというが、その時に『防衛産業の装備移転は、“死の商人”ではなく、日本の平和と安全のためだ』と積極的にアピールすべきだ」と提案する。

 そして、「与党提案も『殺傷能力のあるものを積極的に出す』と言っているわけではない」としながら、「もし将来、殺傷能力のあるものを移転した場合には、事後でもしっかり政府が説明責任を果たし、国権の最高機関である国会で議論してもらう。このデュープロセスを経ることで、だんだん皆に理解してもらう」というアイデアを出した。 (『ABEMA Prime』より)

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