政治

ABEMA TIMES

2026年3月27日 11:15

石川県知事選…なぜ落選?馳浩本人が敗因分析 復興をめぐる金沢市民との“温度差”とは

石川県知事選…なぜ落選?馳浩本人が敗因分析 復興をめぐる金沢市民との“温度差”とは
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 石川県知事選で、能登復興を推進していた現職・馳浩氏が落選した。代わりに当選したのは、前金沢市長の山野之義氏だ。馳氏は県内19市町のうち、被災地を含む16の町村で勝利したが、勝利したのは最大の金沢市で勝利した山野氏だった。「ABEMA Prime」では、山野氏が当選した理由を考えつつ、馳氏本人に今後の復興について聞いた。

【映像】馳氏、負けたのは3市だけ…石川県知事選結果

■「16勝3敗」なのに落選…なぜ?

知事選の結果

 石川県内では、馳氏が16市町、山野氏が3市町で勝利した。金沢市の有権者は37万1249人で、県全体の約4割。山野氏が勝利した自治体では、金沢市(山野氏10万9854票、馳氏7万5876票)、白山市(山野氏2万6345票、馳氏2万4395票)、野々市市(山野氏1万1105票、馳氏9528票)という結果になった。

 馳氏は退任を目前に「やり残したこともあるが、創造的復興に向けた道筋は、すでに作ってある。予算執行を早めて、県民挙げて復興に取り組むよう願っている」と語る。

 また選挙結果については、「能登の復旧復興について、金沢市民とはちょっと温度差があった。金沢でも県全体でも、4年間の取り組みや、今後の創造的復興、県の成長戦略についての訴えは受け入れられている認識だった。ただ投票行動とはギャップが出たため、今後しっかり分析したい」とする。

 馳氏敗北の要因について、元プレジデント編集長の小倉健一氏によると「金沢経済が停滞しているという将来不安」もあるという。「震災当時、金沢はほぼ無傷。でもお客さんは激減した。そもそも金沢の経済に石川県は頼っている。なのに知事は震災対応にかかりきり、金沢のことをしっかりせよと、金沢市民は思ったかもしれない」。

 またHAB北陸朝日放送の県政担当、荒木美佑記者は、金沢市内での街頭演説が少なかったことや、そもそも山野氏は金沢市で人気が高い点(約10年知事を務め知名度が圧倒的、“石川への近さ”をアピール)、能登では復興や観光だが、金沢では「復興は前提として、経済や人口流出を対策してほしいとの声」が出ていることを要因とした。

 これらの指摘に対して、馳氏は「金沢駅前や兼六園などの政策に触れていたが、十分に届いていなかった。金沢の経済が停滞している認識は持っていない。むしろ北陸新幹線の開業以降、観光客は過去最高にまで増えている。モノづくり産業も盛んだ」と訴える。

 認識のズレについては「現職の立場では、県全体に言及する必要があった。能登では能登のこと、金沢では成長戦略、加賀ではモノづくりを含めた観光振興などを訴えたが、残念ながら票には結びつかなかった」と振り返る。

 その上で「能登の復興が大事だと、みんなわかっている。同時に金沢は観光、加賀はモノづくりで伸びている。高等教育機関も、人口比率で京都と匹敵するぐらい若い学生がいる。それだけ魅力のある地域だが、報道を含めて『能登を助けよう』という主張に偏りがちだった。ただ金沢も加賀も頑張らないと、県全体の発展や復興は成し遂げられない」とも語る。

 2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は、「能登では馳氏に投票している人が多かったが、有権者の4割が金沢にいるため、金沢の票で決まる。能登復興に一生懸命でも、“金沢県”では金沢のことをやってくれる人に投票したくなるのではないか」と推測する。

 そして、投票行動については「復興と経済のバランスではない。金沢で生まれ育った山野氏を、金沢市民は応援したくなる。そして応援したら、勝ってしまいビックリしているのではないか。他の地域は全体を見たが、金沢の有権者が多すぎるため、金沢の応援でいきなり知事になる。この歪な構造に問題がある」と指摘した。

 「国から復興予算をどう持ってくるか。馳氏が元々自民党にいたおかげで、話が早かった部分はある。それに比べれば、山野氏は弱い。しかし、そんなのは知ったこっちゃない。『金沢の仲間がいれば応援する』というレベルで決まってしまった」。

■能登の復興、今後は

創造的復興

 馳県政では2025年4月、「石川県創造的復興プラン」がまとめられた。「元通りにするのが行政の『復興』だが、それだけでは人口減少・高齢化における復活はあり得ない。魅力を掘り起こし、交流人口を増やして、観光産業などを活性化させるのが“創造的復興”の考え方だ。デジタルを活用し、安心して生活できる医療・介護の環境づくりや、芸術祭、駅伝、トキの放鳥などで魅力発信に力を尽くす」。

 能登復興の現状は「3年目に入り正念場だ。公費解体も廃棄物処理も終わり、公営住宅が8月から建つ。仮設住宅の住民にも生活支援をする。仕事は9割方復活した。本格的には7割方だが、仕事や生活のできる環境は、おおむね整ってきた」として、「時間差のある映像を使うのは、石川県民として心外だ。道路などのインフラも整ってきている」と説明する。

 高齢化などを背景に、全国的には「集約化」が進められつつある。しかし馳氏は「能登半島は拉致被害にもあった地域だ。国防の観点でも、穴を開けてはいけない。地域ごとに人が住み生活する、分散型の都市が重要だ。災害時に備えて、デジタル技術を活用した防災も必要となる。地域ごとに人が住める環境づくりと、それをつなぐ経済システムに力を尽くしてきた」という。

 まちづくり計画にあたっては、「奥能登の6市町では、地域ごとに議会や経済界、一般市民が話し合いを重ねた。そこから生まれた計画をバックアップするため、国と掛け合い復興基金を540億円、重点支援の交付金を500億円と、ハードとソフトの両面から予算を確保した」のだそうだ。

 金銭面だけでなく「専門性のある人材も少ないため、外からプロボノに入ってもらう取り組みも行っている。協力しながら、まちづくりをして、なりわいを再建し、新たな仕事を作る。その回転で、能登が元々持っている魅力を引き出していく最中だ」とした。

 ひろゆき氏も「国防の観点」から論じる。「離島に日本人が住む場合、結構な金額が投じられる。無人になると、尖閣諸島のように中国人が『俺たちの島』と言う可能性がある。そのため国境に近いエリアは、日本人が監視して、永続的に住む状態にしないといけない。島根県では竹島が『独島』と名付けられ、日本人なのに日本の領土に入れない」。

 そして、“コンパクトシティー”を求める風潮には、「内陸の埼玉県で人が住まない村が出るのは、どうでもいいと思う。ただ、沿岸地域に関しては、日本が生活し続けないと、取られてしまう。お金をかけてでも守る必要がある」とした。

 また、全国的に人口減少が進む現状では、「フェアに競争すべきだ」と提言する。「災害が起きた地域は、災害以前のインフラまでは国が復旧する。そうしないと、災害が多い地域ほど『家を買ってもなくなるから』となり、東京と大阪ばかりに人口が集中してしまう。長期的には、日本の国土を有効利用できなくなるのはまずい。災害時には国が責任を持って元に戻すが、その後は住みたいところで住めばいい。『足立区に住みたくない』というなら、もうしょうがない」。 (『ABEMA Prime』より)

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